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今回紹介いたしますのはこちら。

「ポンコツンデレな幼馴染」第1巻 海月れおな先生 

講談社さんのKCDXより刊行です。



海月先生は06年に麗王奈名義で活動を始めた漫画家さんです。
07年より現在のペンネームに改め、4コマ漫画やページ数の少ないショートギャグを中心に発表されています。
代表作はチャンピオンREDで連載されていた「ゆりめくる日々」シリーズでしょうか。
そんな作品からもわかるように、女の子たちがメインのちょっと(頭の)おかしいギャグを得意とされているのですが、本作は先生自身もおっしゃられているように、珍しい「男の子と女の子」の漫画になっているのです!!

そんな男の子と女の子の漫画になっている本作ですが、やはりそこは半端じゃないアレっぷりを誇る女の子を描き続けてきた海月先生。
とんでもない強烈なキャラクターが待っているのです!!


神田翔太は、幼かったころに住んできた父の実家に引っ越してきました。
この春から入学することになった高校が近いということでここに住むことにしたのですが、今この父の実家は誰も住んでいない空き家状態。
必然的に独り暮らしと言うことになるわけですが、翔太に不安はなく、初めての一人暮らしに胸が躍っている様子。
とはいえ今までほとんど人の出入りがなかったわけですから、庭なんて雑草が生え放題。
この辺りもきれいにしたいところですが、なかなか大変そうです。
と、その庭の先にお隣さんの家が見えました。
そう言えばそのお隣さんには仲良しの女の子がいたはず。
早菜恵ちゃん、元気にしてるかな。
ちょっと抜けてたけど、そこがかわいい子だったんだよな。
記憶の中で再生された早菜恵ちゃんは、歩き方を忘れちゃった、と四つん這いになってべそをかいている姿。
幼稚園児としてもなかなかアレな女の子でしたが、今はどんな子になっているのか、と思いをはせる翔太。
すると、そんな翔太を呼ぶ声が聞こえてくるではありませんか。
翔太くん!?うそ……!
そう言って息を飲むその声の主は……早菜恵ちゃんでした!!
感動の再会、と言いたいところでしたが、彼女の後ろには
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立派な世界地図の描かれたお布団が干されていまして……!?

翔太くんだよね、久しぶり、こっちに戻ってきたの!?
そう言って喜ぶ彼女との再会はやはりうれしいのですが、どうしても……後ろの布団が気になってしまいます。
恐る恐るその布団はどうしたの?と尋ねますと……そこでやっと彼女はまずいものを見られていることに気が付いたようで。
さっと体で布団の地図を隠しつつ、布団を干すのは当たり前じゃない!?と謎の不敵な笑みを浮かべるのでした!
ジュースをこぼしただけだ、と取り繕う彼女。
そう言えば昔はおねしょ癖があった彼女ですが、さすがに高校生になる今までそれが残っているなんてことは……
翔太が気を取り直そうとしていますと、早菜恵はお互い大きくなったね、ここで話す時も植木の下だったもんね、と生垣の下の隙間を抜けて遊びに来ていたことを思い起こします。
そして、すっかり大きくなったにもかかわらず、その子供のころのように生垣の下の隙間に体をねじ込んで入り込もうとしてきたのでした!!
当然のように早菜恵は引っかかり、強引に引っ張りだす羽目になってしまいます。
その勢いがあまり、早菜恵は思いっきり飛んで翔太を押し倒す形に!!
こうなればお約束、翔太は両手にむにゅりと柔らかいものが触れる感触を覚えることとなるのです、が。
良太が握っていたのは
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頭にできた二つの大きなたんこぶだったりしまして……
しかもなぜか、スケベと思いっきりビンタされてしまうのでした。

引っ越しの片づけをしながら、翔太は先ほどのことを思い起こしていました。
まさか久しぶりに会った幼馴染にビンタをされるとは。
それにしても早菜恵ちゃん、なんか変わった子に育ってる感があるような……
そんなことを考えておりますと、早苗の声が再び聞こえてきます。
さっきはごめん、ともじもじしながら謝ってきた彼女。
お互い悪かったしチャラにしよう、と言う言葉は、落ち度がないような気がする翔太にはちょっぴり引っかかりますが、彼女はお腹すいてるでしょう、と食べ物の差し入れをしてくれました。
何だちゃんとしてるじゃないか、と安心したのもつかの間。
彼女が差し出してきたのは、うめえ棒のパック詰めでした……
正直おにぎりとかサンドイッチ的なものを想像していた翔太ですが、まあ今の今で用意も難しいだろうし、自分が勝手に想像してしまったのが悪いんだし、と気を取り直し、快く受け取ります。
懐かしい、しばらく食べてないなと言いながら袋を開けていますと、早菜恵が子供のころ、このうめえ棒を両手に持って食べてたなぁ、という思い出がよみがえってきます。
で、いまの早苗はと言いますと
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全指の間にうめえ棒をはさんで食べるというアップデートを果たしているじゃありませんか!!
しかも彼女、大真面目でそれをやっているようで、ギャグとかじゃなさそう……!!
翔太は確信します。
彼女は外見は美少女に成長しているものの、中身は子供のころから何も変わっていない!!
そこで翔太は思わず、そのままストレートに言ってしまいました。
早菜恵ちゃんって、昔と変わらずポンコツだよね。
小さい時はわかるけど、高校生になって珍しいよね。
……すると、早苗はハンナ気になりながら、衝撃の事実を明かしたのです!
忘れたの、あの日の約束の事!!

子供のころ、砂場で遊んでいた二人。
早菜恵は日本昔話もかくやと言う勢いの砂の山盛りご飯を作ってハイどうぞとやっていたのですが、そのお顔は泥だらけになってしまっています。
翔太はそれを拭ってあげながら、こう言ったのです。
おれ、早菜恵ちゃんと結婚したい!
顔に思いっきり泥つけちゃうような心配でほっとけない早菜恵ちゃんを守りたいんだ!
早菜恵は涙を浮かべながら翔太の手を握り、うん、早菜恵、翔太くんと結婚する、とその告白を受け入れたのです……

早菜恵によれば、翔太が早苗のポンコツなところがかわいいと言ったから無理して直さないで来たんだ、とのことで……
そのカミングアウトに、翔太は少なからず衝撃を受けてしまいました。
自分の何気ない言葉のせいで、早菜恵ちゃんをこんなにしてしまったのか!!
責任とってよと迫ってくる早菜恵ですが、もしかすれば早菜恵がこんな有様になってしまった原因が自分なのかもしれないとすれば、その必要はあるかもしれない、と考える翔太。
彼は、早菜恵を見つめながらこう言うのです!
俺にも責任があるから、早菜恵ちゃんがまともになるよう協力する!
早苗は涙と笑顔を浮かべながら、こう答えるのです。
わかった、とりあえずおねしょ癖から克服してみる、と!!



というわけで、ポンコツな幼馴染との日々が幕を開ける本作。
ツンデレな幼馴染も、ポンコツな幼馴染も、最近のラブコメ的な作品やら女子たちがキャッキャウフフする作品やらにはあふれております。
が、この作品の早菜恵はと言いますと……もう、格が違うわけです!!
ほほえましいポンコツもなくはないのですが、早菜恵のポンコツはもう常軌を逸しています!!
海月先生作品の読者の方ならば何となく予想できるかとは思われますが、本作のポンコツは萌えたりするような範疇ではなく、完全にギャグの範疇!
萌えを求めて本作を購入する方は、ちょっと覚悟がいるレベルなのです!!
が、型破りなのは間違いないにしろ、彼女の翔太を想う気持ちは本物でして。
とんでもないポンコツながらも、翔太のハートをつかむために頑張る彼女の姿は、滑稽でありながらも応援したくなることでしょう!!
海月先生らしいハイレベルなギャグと、時折見せるほんわかする描写。
それらが両方楽しめる作品なのです!!

さらにこのほか、レギュラーキャラが1人、セミレギュラーになりそうなキャラが1人参戦!
早菜恵のポンコツぶりをいろいろな意味でカバーする、正統派(?)な美少女キャラとなっていますので……こちらのほうなら萌えられるかも!?
そんな新キャラを交えた恋愛模様も、見どころ……かもしれません!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!