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今回紹介いたしますのはこちら。

「不死(しなず)の猟犬」第5巻 八十八良先生 

エンターブレインさんのビームコミックスより刊行です。


さて、白雪姫奪還に向かったリンたちでしたが、そこに突如現れたカメリアによってその作戦は阻まれてしまいました。
圧倒的すぎる力を持つカメリアは、とんでもない力を持つはずの雁金をあっさりと片づけ、リンや切子もとらえてしまうのです。
逃がし屋たちの戦力を一気に削減できたと喜んぶベクター班でしたが、そんな時に突然ベクター班最年長の重さんの娘がRDSに侵され、死んでしまったのでした……


重さんの所属する東砦警察署では、所を上げての大調査が行われていました。
重さんの娘である麻理恵が、なぜ、どこで、誰によってRDSにかかってしまったのか。
調査した結果は、感染元は「存在しない」というもので。
ですがそのまま迷宮入りで終わらせるわけにはいきません。
ベクターを追う、ベクター班の刑事の娘がRDSによって死んだ。
その汚名を雪ぐため、何よりも重さんの無念を晴らすためにも、この事件は絶対に解決してやろうとみな意気込んでいるのです!
弔い合戦とばかりに、総力を上げて調査を進めるものの、戦果は芳しくありません。
相関図の抜けを探して徹底的に洗いなおしても、やはり何も出てこないのです。
それでも何か抜けがあるはず。
ネットはどうなのか、所持品を探ったとき会員証が出てきたスポーツジムの関係はどうか?
とにかくひたすら調査を繰り返していく一同なのですが……そんな中で、若林だけが捜査の方針を変えてみないか、と言いだすのです。
とにかく今するべきことは相関図の洗い直しだ、と一喝する刑事課長なのですが、そこへ今まで外に出ていたらしい剣崎が返ってきました。
この捜査の指揮官を務めている剣崎なのですが、はいてくるなり若林を連れてまた出ていこうとするのです。
そんな剣崎を呼び止め、ベクター班にまた聞き込みをするように命令してくる刑事課長。
ですが剣崎はその命令を無駄足だとあっさり却下したうえ、こんなことまで言い出すではありませんか!
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捜査本部を本日付で解散、本事件の捜査は打ち切りとします、と!!
激昂する刑事課長。
剣崎はそんな刑事課長に、今の捜査方針のまま捜査を続けても何も出ない、それでもつづけるというならそれは捜査ではなく、ただの感傷だ、と言い放つのでした!!

怒り狂う課長を置いて、若林と池上に連れられて休憩スペースに引きずっていかれた剣崎。
刑事課長は重さんと同期だったこともあって、今回の捜査に人一倍気を意を入れてたんだからあの言い方はマズイ、とまさかの若林に説教を喰らってしまいました。
ですが、現状捜査が手づまりなのは若林も感じていたところ。
RDSに感染させられるには、ベクターやRDS患者を愛する必要がある、にもかかわらず、電話、メール、SNS、どんなツールにもその関係性をにおわせる痕跡がかけらもない……
この現代社会で、愛する相手との間に、それらに何の痕跡も残さず関係を持つことなどあり得ないと言っていいのですから。
方針の見直しは必要なものの、それを飛び越えていきなり捜査の打ち切りと言うのは無茶だろう、と若林に言われた剣崎は、その理由をいともたやすく明かしてくれました。
ですがそれは、若林も、池上も耳を疑わずにはいられない理由だったのです!
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風間リンを、冷凍監獄から引き上げる。
一瞬の沈黙の後、若林と池上はそろって大きな声を上げてしまいました。
罠に嵌めて、ようやく捕まえた逃がし屋を、早くも開放する?
それだけでも耳を疑うべきことなのですが、挙句剣崎はリンたちを捕獲している組織であるUNDOにも許可をとっていないし、取るつもりもないというのです!!
まったく事態が呑み込めない若林達ですが、剣崎は賛同を得ようというつもりもないようで。
勝手に話をすすめようとしたその時、剣崎の電話が鳴り響きました。
なんとその電話の主は、件のUNDO!
しかも、なにやらUNDOの駐屯地で重さんが何かをやらかしたようで……!?
剣崎の言葉の真意を確かめる間もなく、若林は剣崎とともにUNDOに向かうことに。
残された池上は、他言無用、居場所を聞かれたら適当にごまかして置け、と命ぜられ……
ベクター班の手伝いを申し出たことを、後悔し始めるのでした。

重さんは、カメリアにぼこぼこに殴りつけられていました。
なんでも重さんは、いきなりUNDOの金井課長に掴み掛りながら質問をしてきたというのです。
うちの娘がどうやって感染したのか、からくりを教えてくれ、と……
どうやら重さん、今回の感染が従来の感染経路ではないことを感じ取っていて、そしてUNDOがそれに関して何か知っているという結論にたどり着いたようです。
その場は何とか……手痛い目にはあわされましたが、無事重さんを引き取って帰ってくることができた剣崎たち。
人気のない橋の上で重さんを落ち着かせた後……剣崎は重さんと若林に、リン救出を狙う理由を明かします。
金井課長が何かして散るのは間違いないが、話す気がないのはわかっている。
それなら……
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リンにしゃべってもらうしかない、と!
UNDOには多くの兵隊がいます。
その中からどうやってリンを引き上げるというのか……
どう考えても剣崎や重さんたちには無理としか思えません。
ですが……RDSの謎を一気に解き明かすには、この橋を渡るしかない。
剣崎はそう考えたのです!
相手は途方もない巨大な組織、こちらの人員は池上を入れても4人。
一体どうすればいいのか……
そのヒントは、意外な人物によってもたらされることとなるのです!


というわけで、まさかのリン救出作戦が始動する今巻。
RDSとは何なのか、ベクターが口の端々に見せる気になる言葉の真意は何なのか。
本作最大の謎であるRDS,ベクター、この世界の謎……その真相に迫るための、ひとつのクライマックスと言っていいシリーズに突入したと言っていいでしょう!
ですがその作戦の遂行はあまりにも困難。
なにせこちらはたった4人、相手はカメリアをはじめとするバリバリの戦闘兵をうじゃうじゃと擁している巨大組織なのですから!
普通ではどう考えても無謀としか言えないこの作戦。
ですが……懸命な方ならもうお分かりかもしれませんが、あの勢力に協力を依頼できたとしたら、どうでしょうか!?
とうとうあの人物も重い腰を上げるのです!!

その緊迫の展開が続く中、今まで影の薄かったキャラクターたちも活躍を始めます。
若林と池上、前巻で登場した針魚と魚鷹、ママの側近である柊木と枳殻、そして……
そんなキャラクターとともに、一気に事態が動きだす今巻、必見ですよ!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!