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今回紹介いたしますのはこちら。

「レイリ」第1・2巻 原作・岩明均先生 漫画・室井大資先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックス・エクストラより刊行です。



岩明先生はもはや説明不要ともいえる、皆様ご存知の「寄生獣」を描かれたベテランの漫画家さんです。
最近では漫画原作(脚本提供)も手掛けるようになりまして、雑誌連載時は岩明均名義、単行本ではなぜか別名義、という形態ですでに一作発表しております。

室井先生は、00年にデビューした漫画家さんです。
16年現在でいうところのKADOKAWAさん系列の雑誌を中心に活躍されておられまして、バイオレンスや4コマ、コメディと実に様々な作品を発表されています。

そんなお二人がタッグを組んで描く本作は、本格的な時代漫画となっています。
ですが当たり前の時代劇をこのお二方が描くはずもないのです!!


天正7年。
小山城の庭で、多くの男衆が棒を使って賭け試合をしています。
激しいつばぜり合いに、沸き立つ観衆。
次々と勝負が決していくと、いよいよと言うべきか、大本命と目される男が勝ち残ります。
押し寄せる男衆を、難なく打ち倒していくその男の名は、権蔵。
結局最後に勝つのはこの俺様よ、と高笑いする権蔵の強さを疑うものはその場には誰もおりません。
流石に強い、戦場での手柄も数知れずだ、と彼をほめたたえ……権蔵も気分よく、掛け金がたっぷり入れられた器を手にするのです。
……が。
すぐにその空気は変わってしまいます。
権蔵はその高笑いをやめ、観衆たちも勝ち逃げは許さないと口々に文句を言い始めました。
お前が一人銭を稼いで、なんでもみんなこんなに喜ばなきゃいけないんだ。
これはもう慣例なんだよ。
口をそろえて促された権蔵は、しゅんとしながらその器を持って、すぐ近くにいたある人物へと持っていきます。
あの、レイリどの。
おずおずとそう話しかけたその相手は……髪をうなじの上でひとまとめにした、つい先ほどまで興味なさげに洗濯物を干していた……まだうら若い少女だったのです!!
彼女はゆっくりと振り向き、権蔵にこう答えました。
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また権蔵さんが勝ち残り?やるじゃん。
権蔵は完全に気おくれした感じで、それほどでも、と愛想笑いをして……その後、いかにも気の進まないといった風に立ち合いをお願いしたいのじゃが、とお願いしてきました。
レイリは、めんどくさいよ、権蔵さん勝ち抜いたんだからもらっちゃえば?と余裕の表情で受け答えます。
そうしたいのはやまやまなんじゃが!と、やけくそのように答える権蔵と、その後ろで雁首をそろえている男洲夕の表情を見て、ようやくレイリは大きく息を吸って立ち上がりました。
手を後ろに組み、ゆっくりと試合場に歩いていくと、観衆の一人が棒を手渡してきました。
全くやる気を感じさせない表情でそれを受け取り、また稽古させてもらうよ、と権蔵に向き直るレイリ。
……一見腰の引けているように見えた権蔵でしたが、実際には心の中に燃えるものがあるようで。
今度こそ、この金を全部わしのものに!と闘志を燃え滾らせていたのでした!!

始め、の声とともに、力強い踏み込みとともに棒で付いていく権蔵。
レイリはそれをほんのわずかに体をそらすことで回避し、後ろに回り込んで首筋に軽く二打、打ち込みました!
負けじと振り向きざま、横なぎにふるう権蔵でしたが、またもレイリは少しだけ姿勢を低くすることで回避して見せ、今度はどてっぱらに反撃を打ち込むのです。
権蔵の攻撃は、幾たび振るっても空を切るばかり。
そして、手首、足首、わき腹、顔面、と何度も何度もレイリの攻撃を浴び……
あっという間に、権蔵の顔ははれ上がり、鼻血や口の中を切ったことによる出血によって真っ赤に汚れてしまうのでした。
その流れる血を見たレイリは……その目を見開き、らんらんと輝かせます。
膝に強烈な一打を浴びせ、たまらず権蔵が座り込んでしまったと見るや、さらなる追撃を開始!!
亀のように体を丸め、打たれるがままになってしまっている権蔵に、レイリは喜々として棒を撃ちすえ続け……
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それは、観衆たちに落ち着け、諭されるまで続いたのでした。
しかもそんな行いをした後、落ち着きを取り戻したレイリが浮かべた表情は……見下すような、憐れむような、何とも言い難い笑顔で……
権蔵だけでなく、観衆たちも彼女に空恐ろしいものを感じてしまうのです。

城の主が帰ってきました。
岡部丹波守、かつては今川家にその人ありと言われた好人物で、現在は武田家につかえ、この城を任されています。
レイリは、彼を見るなり丹波さま、お帰りなさい、と笑顔で駆け寄っていきました。
そして……こんなことを尋ね始めたのです。
丹波さま、もうそろそろ……ダメですか?
戦です、戦に、早く私を戦に連れていってください!
丹波は困り果てた顔をして、何度も言っているように女子を戦に連れてゆくことなどできぬ、とレイリを優しく諭すのです。
が、レイリは続けます。
でも丹波さま、私強いんですよ、ここにいる人達はもうだれも私に勝てないんですよ?
わたし、丹波さまの敵を殺します!10人でも、20人でも!
向かってくる敵なんかみんな殺してやる!
使えますよ!!わたし!使ってください!
殺して殺しまくって!
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そして最後は丹波さまの盾になってちゃんと死にます!
ちゃんと最後死にますから!!
早く私を使って……使い切ってください!!
狂気しか感じられない笑顔で、そう謳いあげるレイリ。
その姿を見つめる丹波の表情は、暗く沈んだもので……
なんで、こうなった。
丹波は、レイリとだった、忘れられない出来事を思い出すのです……


というわけで、戦って、そして死ぬことを望む少女、レイリの物語を描く本作。
この後、レイリがこうなってしまった原因である、丹波と出会った夜の出来事が語られることになります。
彼女が歪んでしまったのも無理はないのではないか、と言うほどの無残なその出来事……
目を覆わんばかりの出来事を目に焼き付ければ、その後の驚くべき運命を歩んでいくレイリに感情移入できることうけあいです!!

第1・2巻同時発売となっている本作ですが、それもそのはず、物語がきちんと始まるのは第2巻の中盤くらいから!!
それまではプロローグと言える、レイリの人生を変えることになる出会いや、もうすでに壊れてしまっているのかもしれないレイリの心の中、丹波の人となりなどが描かれていきます。
第2巻から幕を開けることになる、レイリの求めるものを満たすかもしれない、戦ではないその使命。
一体レイリはどのような使命を受け、そしてどのように生きていくのか!?
激動の戦国時代、もはや定められている運命に向けて進む登場人物の生き様から目が離せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!