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今回紹介いたしますのはこちら。

「ファイアパンチ」第2巻 藤本タツキ先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。

さて、王国の兵・ドマによって自分たちの村や、妹を殺されてしまったアグニ。
ドマの持つ「祝福」は、相手が朽ちるまで消えることのない炎を放つというもの。
その実を炎で焼かれ続けながら、復讐のため立ち上がり、ついにドマを見つけたアグニだったのですが、ドマはすっかり変わり果て、心を病んでしまっていたのです。
それでも復讐しようとするアグニでしたが、ドマの持つ絶大な力は変わってはいませんでした。
アグニは再びドマの業火に焼かれ、地面に倒れ伏してしまうのでした。


普通の再生能力者ならば、頭を落とされれば絶命します。
ですがドマの炎に焼かれても生きているうえに、頭だけになってなおまだ生きているアグニは危険そのもの。
なぜならアグニの体を燃やす炎は、燃え移ったものが朽ちるまで消えることのないドマの炎。
街に出られでもすれば、一気にその街が滅亡してしまう恐れすらあるのですから!
そこで王国は、地位が高いらしい兵士のユダ、英雄ともてはやされるサイモンと言った大物の兵士たちで、アグニを処分することとしました。
燃え盛るアグニの頭を、炎を通さない耐火布でくるみ、海に捨てる。
そう判断したのは、ユダでした。
ユダは、アグニがドマに殺された妹のルナにそっくりな顔や声をしています。
アグニの頭の中は、まさか留奈が生きていたのではないか、と言う思いでいっぱいになっていて……

海に向かう列車の中は、和やかなムードに包まれていました。
アグニの頭を捨てに行く……と言うことを重視しているのはユダだけで、ほかのメンバーはそのついでのはずだった塩の採取のほうに気を取られている様子。
その道中の暇つぶしとして、男たちはネネトと言う少女をもてあそぼうとしています。
王国ではよその地区から人々を連れ去り、様々な目的に「使う」のです……!
抵抗しようとするネネトですが、相手は屈強な兵士で大人数。
乱暴されるのも時間の問題、と思われたのですが……
そこに、
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カメラを構えた軽装の女が現れたではありませんか!
しかも彼女、兵士たちが少女に乱暴しようとしています!と実況しつつカメラを回すだけで、何をしようと言うわけでもなく。
とはいえ兵士たちもいきなり現れた不審人物を看過できません。
何だ、どこから来たんだと問い詰めるのですが、私のことは気にしないで続けろ、と不機嫌そうに答えて……

彼女の名は、トガタといいます。
彼女もまた強い再生能力を持つ人物で、何よりも映画を好んでいました。
再生能力者は寿命が長いのですが、生きているうちに感情などが希薄になっていき、やがて自ら死を選ぶものが多いのだとか。
彼女は映画を見ることに生きがいを感じていたのですが、先日家ごと映画を焼かれてしまってその生きがい男失ってしまったのです。
彼女もまた自ら命を断とうとしたものの、その強い再生能力が災いして死ぬことができません。
絶望する彼女ですが、彼女の言うことを何でも聞く代わり彼女に守ってもらう、と言う契約をかわしていた二人の男が、彼女に死なれては困るとこんなことを言ってきたのです。
映画の代わりになればとこの辺りを車で移動しながら動画をとっていたら、面白いものがとれた。
全裸の燃えている男です。
その映像に記されていたのは、やはりアグニでした。
そして男たちは、トガタにこんな提案をします。
トガタは主人公の条件と言うのは、そいつがどうなるのか知りたくなることだと言っていて、オレは知りたくなった。
この男は、この世界の主人公です。
監督はトガタがやればいい。
後はカメラで撮れば、映画が作れるんです。
トガタは映画が好き、だけど撮ったことはない。
映画を撮って死ぬか、撮らずに死ぬか……!?
その言葉を聞いた瞬間、トガタの瞳に光がよみがえりました。
うれしさを噛み殺しつつも、口元がどうしても緩んでしまうという表情を作りながら……彼女は言ったのです。
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史上最高傑作を作ろう!!

トガタは兵士たちに向け、悪者は死ぬだけである程度のカタルシスが生まれる、どんどん悪いことをしろ、カメラの前で悪いことをすればするほど、私が君たちを殺すことが正当化されていく、と心の内を包み隠さず打ち明けます。
エロいシーンも刺激になっていい、と漏らすトガタですが、ネネトからすればとんでもない話です!!
いやなの、助けて、と必死でお願いしてもトガタは聞き入れませんでしたが、何でも言うことを聞く、なんでもいくつでも言うことを聞くから!と声を上げるとようやく彼女は重い腰を上げてくれました。
襲い掛かってくる兵士の攻撃をいともたやすく回避し、
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懐に潜り込んで顎の下から脳天に向けてナイフをつきたてるトガタ!!
テメーみてーなヤローは死んでこそ世の中のためになるんだ、と笑うトガタをみて、兵士たちは血相を変えて襲い掛かってきました!!
が、トガタは多勢部無勢をものともせず、あっという間に兵士たちを片付けていきます!!
芝居がかったセリフも忘れず殺し、晧さんを表明した兵士も平等に。
ですがその船籍とは裏腹に、トガタはその戦闘シーンがぶれまくってまともに撮影出来ていないことにご立腹のようです。
そこでトガタは考えました。
ネネトをカメラマンならぬカメラガールと名付け、これから起きる一連の出来事の撮影を命じたのです!!
戸惑いながらもカメラを構えるネネトに、トガタは構わずこう命じます。
さあ行くぞ!
主人公へ会いにだよ!!


というわけで、トガタと言う強烈極まりないキャラの活躍が始まる今巻。
アグニの復讐劇という形で始まった本作でしたが、第1巻のラストのあたりからその毛色は徐々に変わってきていました。
ルナにうり二つの女、ユダ。
ルナを殺したことを謝罪し、自分が死ぬ以外なら何でもすると訴えかけてきたドマ……
様々な予想もしなかった出来事の連続に、アグニの心はかき乱されることとなってしまいます。
ですがそれでもアグニが生き続けてきた理由は、ドマを殺すことだということは動かないはず。
様々な出来事の中で揺れるアグニ……そこにトガタというとんでもない人物が現れたのだから事態はもっと複雑なことになっていきます!
アグニを主人公として映画を撮ろうと息巻く彼女、自分の目的のためならばほかの者などどうだっていいという性格がもうすでにありありと浮き彫りになっている彼女が、アグニと出会ったらどうなってしまうのか?
物語はまともここで経路を変えていくことになるのです!!

そして今巻でもこの後また衝撃の展開が待っております。
トガタによって完全に引っ掻き回されていくアグニたちなのですが、このトガタと言う人物は意外すぎるほど様々なことを「知っている」と言うことがわかります。
彼女の口から明かされ、語られる恐るべき事実とは……?
そしてただ映画を撮りたいというだけの彼女が巻き起こす、驚くほかない行動とは!?
ユダやドマたちの動向も見逃せない今巻も、1ページたりとも目が離せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!