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今回紹介いたしますのはこちら。

「いぬやしき」第7巻 奥浩哉先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。

さて、壱郎の正体が娘の麻理に感づかれてしまった前巻。
ですがそんなことよりも、問題になるのは晧のほうでした。
警察に乗り込んで大虐殺を働いたばかりか、ついには日本全土に宣戦布告!!
まずは100人を殺すと宣言し、新宿で無差別殺人を行ったのでした!!


新宿の街はパニックに陥ります。
次々に倒れる人々、それにおびえ逃げ惑う人々……
街頭ビジョンには、ニュースが映し出され、この惨状の報道、そしておそらく屋上から狙撃しているから屋内に避難しろ、というアナウンスがされています。
ですが物陰に隠れたとしても、晧の狙撃から逃れることなどできないのです。
路地裏に入り込んだ高校生が、スマートフォンで友人に連絡しようとしたところ、その瞬間頭を撃ち抜かれて死にました。
……晧は、スマートフォンの電波を通して、射撃をすることができるのです!!
しばらくたつと、あの人がごった返す新宿の街は人っ子一人いなくなりました。
報道の指示に従って、みな屋内に逃げ込んだのでしょう。
そんなことで晧の目から逃げられるはずもないことなど知らずに……

直行は、壱郎に連絡をします。
今、晧がやっている、何人被害者が出ているかわからない、狙撃か何かとテレビで言っているが、と現在の状況を伝えられ、壱郎は必死に晧の居場所を探り始めます。
が、どうしても晧の居場所をつかむことができません。
壱郎には焦りが募るばかり……
そんな中、晧が新たな動きを見せました。
報道しているテレビ番組の司会者のもとに、一本の電話が届けられます。
メインキャスターがそれを受け取ると……電話の主は、晧その人でした!
テレビ電話で自分の顔の画像をさらしながら、電話をかけてきた晧。
キャスターはその画面をテレビに見せつけ、確かに晧本人からの電話であることをし調査に確認させると、いよいよ晧との会話を始めました。
電話口から聞こえてきたのは、俺、お前嫌いなんだよね、と言ういきなりすぎる言葉でした。
当然気分を悪くするキャスターは、なんやねんお前、と悪態で返した後、テレビだということを意識した言葉を晧に告げるのです!
俺は、世間は、日本はお前を絶対に許さんぞ!!
少年法とかで守られてると思ってるかもしれ経んけどな、お前は終わりやぞ!
国民はお前を許さんからな!!
そんな言葉を言い終わった瞬間のことです。
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ばん、という晧の声とともに、キャスターの頭が撃ち抜かれてしまったのは……

その映像は、落ち着きを取り戻し始めていた人々を再び恐怖のどん底に叩き落とすことになります。
屋上からの狙撃などではないということが、これで誰の目にもわかったのですから!
狙撃ではないなら、どうすれば標的にならないのか?
戸惑い、恐怖する人々……
そんな中、直行はそこで気が付くのです。
電話中に狙撃された……スマホ!?
スマートフォンを通じて、晧は狙撃をしているんだ、と!!

誰もいない街の中に、一人の小学生が歩いていました。
そして彼が興味深そうに眺めているのは……スマートフォン!
しかもその画面には、晧が映っているではありませんか!!
これだけ話題になっているのですから、小学生も晧のことを知っているようです。
その小学生を見て、35、と数える晧……
おそらくこの少年を、35人目の犠牲者に選んだのでしょう。
晧は、少年にこのケータイを耳に当ててみて、とささやきます。
疑うことを知らない少年は、そのまま素直にスマートフォンを耳に当てようとするのですが……その瞬間、こんな声がスマートフォンから響いてきたのです!!
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みなさん、獅子神はスマホを使って殺人を行います!!
スマホを今すぐ捨ててください!!
画面のほうも、真っ黒い背景に白抜きで「みなさんスマホを体から離して置いて下さい」という表示に代わっています。
少年はその言葉に従い、スマートフォンを地面に投げ捨てるのです。

わらをもすがる思いなのでしょう。
多くの人々がその言葉に従い、スマートフォンを投げ捨てました。
効果はてきめん、犠牲者は出なくなりましたが……壱郎によって電波をジャックし、広くこの情報を広めたのですから、当然晧もその以上に気が付きました。
この声は、直行か。
何やってくれてんだアイツ。
友人の思わぬ邪魔に、思わず笑みが漏れてしまう晧。
ですがすぐに、その行為の異常性に気が付きます。
すでに人間ではない晧ならばたやすく行うことができる電波ジャック。
生身の普通の高校生であるはずの直行が、それをどうやって行っているのか……?

再び落ち着きを取り戻し始めた新宿に、人々が戻り始めました、
スマーとフォンを使って狙撃するのなら、捨てるなり電源を切るなりすればいい。
その行動は確かに間違いではありません。
ですが、だからといって安全だと考えるのは間違いです。
街頭ビジョンに映し出された、晧の顔。
スマホ捨てても無駄だから。
続き始めまーす。
そう言って……
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街を歩いていた人々を続々と撃ち殺していったのです!!
電波と画面を通じて射撃ができる晧ならば、街頭ビジョンからの狙撃も可能……!!
結局、壱郎が晧の居場所を突き止める前に、晧は100人の殺害を果たしてしまいました。
今日の分は終わったんで、これで終わります、試験運転終わります。
明日からは壱日1000人に増やします!
皆さん楽しみにしてください!
では、明日、また……

一方的にそう宣言し、姿を消した晧。
晧は夜の闇に沈む街を見下ろしながら、つぶやきました。
直行、警察と組んだのか。
敵に回ったのか、直行が唯一の強敵か……
笑える……


というわけで、晧の復讐が本格的に始まる今巻。
通常では考えられない手段で人々を殺していく彼に、対抗できるものは地球人類には存在しません。
警察はもちろん、おそらく軍隊でも彼を止めることはできないでしょう。
母を失い、怒りに燃える彼を止められるものは本当にいないのでしょうか。
その可能性をわずかでも持っているのは、しおんか……壱郎。
ですがしおんの説得は、冷たく固まってしまった晧に届くかどうかわかりません。
説得と言った手段ではない、物理的な方法で晧を止められる、壱郎に頼るほかの道はもはやないといってもいいでしょう。
怒りのままに、さらなるとんでもない方法で人々を殺していく晧。
大掛かりになればなるほど、壱郎が晧の居場所を察知しやすくなるのでしょうが……壱郎としては一人でも犠牲者は生みたくないところ。
多くの人々を救おうとしている壱郎と、日本人を根こそぎ殺してしまおうとしている晧。
その目的は全くの正反対……出会えばぶつかり合いになることは間違いないでしょう。
その戦いの決着は、おそらくこの物語の決着。
二人の出会いは……今巻で、早くも実現してしまうことに……!!
衝撃の急展開を迎える本作、今巻はますます見逃せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!