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今回紹介いたしますのはこちら。

「かみさまドロップ」第11巻 みなもと悠先生 

秋田書店さんの少年チャンピオンコミックスより刊行です。

さて、心の隙に付け込まれ、與によってキケリキーの広告塔となってしまったエル。
それをきっかけにますます勢力を増していくキケリキーですが、バンビや姉の言葉を受けて立ち上がります。
エルに伝えたいことがある。
そう言って、あすなろはバンビとともにエルに会いに向かうのでした!


大いに盛り上がっている、キケリキーのイベント会場。
あふれかえっている客たちは、エルの名前を口々に叫び、歓声を上げています。
エルは沸き立つ客の前に座り、その熱狂の様子を見ていたのですが……そんな時、突然客の一人の女性が倒れてしまいました。
周囲の人々が彼女に駆け寄って、どうしたのかと尋ねてみますと、彼女は苦しそうにこう語ります。
毎日飲まず食わずで働いて、どんな病気でも直してくれる指輪を不治の病の娘のために買おうと思っていた。
でもあの指輪は庶民にとても手が出せるものではなく、ここに来ればきっとエル様の加護がうけられるとやってきた……
その指輪の値段は、浮世離れしているエルからしても相当高いと感じる高価な代物。
儂の好きなトッピング全部の背のクレープが何個買えるのか、などと考えていますと、その脳裏にはあすなろとの楽しい思い出がよみがえってきました。
何を考えているんだと首を振り、彼女の言葉に耳を傾けるエル。
うちの子の不治の病を治してください、と懇願する女性……
エルは、この場所に来ることのできるだけのお金は貯めたということなんだから、何とかしてやれないか、と與に促すのです。
與は、その女性のことを知っていました。
ですがそれは、会員番号3324番の山下、という機械的な知識で。
それを確認すると、與は
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思いきり彼女を蹴り飛ばしたではありませんか!!
そして彼女を会員から外し、ブラックリスト入りを宣言。
さらに、必要なものを用意せずに私はほかの人よりかわいそうだから助けてもらえるなどと甘え驕っている、と罵倒の言葉を浴びせたのです!
流石にその扱いはひどいと客たちは詰め寄るのですが、與は彼らを逆に脅迫します。
私たちの力は、その力であらゆる願いをかなえたあなた方が一番よくわかっているはず。
逆らえば、どうなるかわかっているな、と……!!

あまりにも冷たい態度を取る與に、エルはイベント終了後に詰め寄ります。
目の前にいる困っている人を、助けられたにもかかわらず見捨てるなんて、神としての自分自身に不満はないのか!!
そう言うエルに、與は逆に睨み返して告げるのです。
だからダメなんだ、あなたも、今までの神も。
あなたの言うようにあの場で彼女の願いをかなえれば、契約に必要なものを用意せずとも契約は成立します、と宣言するのと同じ。
奇跡を値切れるとわかればどこまでも値切り、値段を無くした奇跡はやがてあって当たり前になり、それを用意した神への感謝も失われていく。
それでは今までと何も変わらない、神であり続けるなら、奇跡を用意できる絶対的能力者でなければならない。
あとは私にお任せください。
エルは、與に見据えられていくうちに……体から力がうせ、視界がぼやけていくのを感じ始めていました。
そして……自分の望んだ「神」とは、こう言うことだったろうか、という疑問とともに……その意識を、闇へと鎮めてしまったのでした……

そのころ、ごく一部の者しか知らないはずのこのキケリキーの本部の前に、あすなろとバンビがやってきていました。
その情報をリークしたのは、胡蝶です。
全てを失った胡蝶は、もうどうなっても知らない、などといいながら、あすなろたちに本部の場所を教えたのでした。
捨て鉢にも見える彼女の行動ですが、やはりあすなろに心を動かされていたのでしょう。
そんな彼女のおかげで、あすなろたちはまっすぐにこの場にやってくることができたわけです。
ですがそこは敵の本拠地、侵入者を見逃してくれるはずもありません。
大勢の黒服に取り囲まれ、包囲されてしまったのです。
あすなろとバンビはあくまで普通の高校生、屈強な大勢の男たちにかなうはずもなく。
強行突破などできるはずもありません。
……が。
あすなろたちに心を打たれたのは、胡蝶だけではなかったのです。
突如広がる大きな網!
その網によって、黒服たちは一網打尽となったではありませんか!!
網を放ったのは、バンビの両親でした!
彼らもまたあすなろやバンビによって、與の支配から目を覚ましたのです。
そしてあすなろたちを通じて彼らの背中を押してくれたのは、ほかならぬエル。
エルを助けに行くんだろう、ここは私たちに任せなさい!
そんな心強い台詞を投げかけてくれるご両親に助けられ、二人はエルのもとへと向かうのです!!

ですが二人はエルを目の前にして、再び危機に陥ってしまいます。
落とし穴に落とされて身動きができなくなってしまったあすなろ、そして再び大挙して現れた黒服を前にして、芦をすくませてしまったバンビ。
再び訪れた危機に、無力感にさいなまれるあすなろ……
俺たちはただの人間で、クロ見ないな力もなければ城みたいな知恵もない、ましてやキケリキーのような得伐な力もない。
やっぱり、人間だけじゃ何もできないのか!?
そんな時のことでした。
黒が現れ、黒服の男たちを蹴散らしてくれたのは!!
そしてクロは言うのです。
僕はバカエル様が本当にバカになってしまったと思ってあきらめてしまった。
人間っていきもののあきらめの悪さは、僕らにはない強さなのかもしれないな。
エル様のことをあきらめないでくれたこと、うれしく思う。
素直な感謝の気持ちを伝えてくれたクロ。
その加勢のおかげで、いっきにエルのところへ向かえる。
そう思った時……正面から、みことが現れます。
ですがその姿は、キケリキーの装束姿。
キケリキーの力のこもったその姿で、みことの「叶わぬ思い」の元凶を破壊してしまえ!!
與のそんなつぶやきが聞こえたかのように、みことは力を放ちました!!
やはりみこともまたキケリキーの力に囚われてしまったのか?
そんな不安は、杞憂にすぎません。
美琴の力が振るわれたのは、與の部下の黒服だけ!!
最後の最後まで迷っていたみことですが、この直前にとある人物に決定的な言葉を聞かされ、決意していたのです!
やはりキケリキーの力はすごい。
でも、もういらない。
私は私の力で歩く、途中で転んでも空きあがってまた歩きだせる、そんな強い人間になるために。
自分の本当の居場所まで歩いていけるように、そこで幸せだって笑えるように!!
そんなみことの強い決意を目の当たりにした與は……驚愕を隠し切れないようです。
なぜ与えられた万能の力を捨てる?
なぜ私と結婚することで約束されていたはずの幸福を拒み手放す?
なぜ、すべての運を奪われたと知ったにもかかわらず、一切の希望を捨てずに前に進める……?
何がお前たちただの人間にそんな力を、万能の力以上の力を与えるというのだ!
そう呟いているうちに、あすなろたち4人はもう與とエルの目の前にまで迫っています。
人形のように動かず、椅子に縛り付けられているエル……
エルを縛る與に、あすなろは言いました。
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それが、エルが俺たちにくれた「願いをかなえる力」なんだよ。
ただ願いをかなえるんじゃない、願いをかなえるためにどうしたらいいか自分で考える力をくれる。
失敗してもへこんでも自分で這い上がれる力をくれる。
過酷な運命でもあきらめないで前に進める力をくれる。
大嫌いだった自分のことを好きになれる、自分のことを信じられる力をくれる。
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エルが俺たちに暮れた言葉は、お前のアクセサリーなんかよりずっとずっと、人間の心の中に奇跡を起こせるすげえ力を持った宝物なんだよ!!
あすなろはその、願いをかなえる力で、エルに目を覚ましてほしいという願いをかなえるためにここまできたのです。
そして、與をまっすぐに見据え、宣戦布告を行います。
これ以上、お前の好きにはさせない!!


というわけで、いよいよクライマックスとなった本作。
與との直接対決を迎えることとなる今巻、その戦いは大きく二部構成となっています。
ひとつは、エルの心を取り戻せるかどうか、と言う戦い。
そして文字通りの最終決戦となるのは、本性を現した與との文字通りの「戦い」です!!
與によって意識を奪われたエル。
彼女の心を取り戻すのは容易なことではないでしょう。
バンビと、みこと、シロやクロとの思い出。
そして、あすなろとの楽しくも切ない思い出……
鍵を握るのはあすなろであるのは間違いないでしょうが、逆にエルが與の虜となってしまったのもあすなろとの関係にむなしさを感じてしまったから。
思いを語れば語るほど、エルは心を閉ざしてしまいそうですが……

そして予想以上の大きな規模となる最後の決戦。
神である與の力は、信者たちの願いをやすやす叶えてきたことからも兄弟であることはわかります。
その力を、戦闘にだけ向けるということは……!!
ただの人間であるあすなろやバンビが戦うというのは無理というもの。
眷属であるクロとシロでもほとんど同じこと。
ましてや、神の力が失われたエルならばなおのことです!
途方もない戦力差のあるこの戦い、あすなろたちに勝機はあるのでしょうか?

そして、最終話は一話のほとんどを使い、たっぷりとエピローグを描いて下さっております!
與は、胡蝶はどうなってしまったのか。
そして……エルとあすなろは?
美しいフィナーレを迎える最終話。
とにかく読者の皆さんのその目でご確認ください!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!