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今回紹介いたしますのはこちら。

「女子高生に殺されたい」第2巻 古屋兎丸先生 

新潮社さんのバンチコミックスより刊行です。

さて、女子高生にその命を奪われたいという歪んだ欲望を持つ教師・東山。
東山はその歪んだ欲望の達成を、8月8日に設定。
その殺害してくれる相手として定めたのは、多重人格の美形女子高生、佐々木麻帆でした。
まほに絶対の信頼、そして恋慕の気持ちを寄せられることに成功していた東山は、着々とその日の準備を進めるのです。


8月を持って、教師の職を辞する手続きをした東山。
そして、身辺の整理も着々と進んでいました。
決行を間近に控えた7月25日。
自分の暮らしていたマンションの一室、そのトイレ、風呂場、キッチン、リビング……そのあらゆる場所から、自分の痕跡を消したのです。
家財道具は一つ残らず処分。
そして、身元創作の手掛かりになるような毛髪や指紋が一つも残らないよう徹底的に掃除しました。
携帯電話、光熱費関係の契約をすべて解除、請求が来て身元がばれてしまうというようなへまをしない準備が完了しています。
そして預金680万円すべてを引きだし、万が一作戦が失敗した時のために林の中に埋めて隠しておきました。
さらに作業は続きます。
免許証、保険証と言った身分を証明するものは、結構直前になったら破棄。
数か月後に郵便が届くというサービス会社に、ある手紙を託し……
必要最低限の者だけをバッグに詰め、東山はホテルへ向かいました。
8月8日までの間をホテルで暮らすのです。
自分が生きていくための者をすべて捨て去った東山。
ここまでくれば、もう作戦の決行までの間に引き換えすことはできません。
身分を証明するための者をすべてなくしてみると、自分が何者なのか、と言うことがわからなくなってきます。
言え、仕事、証明書。
それらもろもろこそが「自分」であり、この肉体はただの道具にすぎないのではないか……?
自分がなくなって無価値になったこの体は、死ぬのにふさわしい。
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東山は、自身の歪んだ夢に向かって、戻れない道を踏み出すのです。

そのころ、麻帆の周囲でも様々なことが起こっていました。
麻帆に中学時代から思いを寄せていた雪生。
雪生はつい先日麻帆が多重人格であること、そして彼女が幼いころ虐待を受けていたことを知って彼女を救いたいと強く思い……
スクールカウンセラーであり、かつて東山の恋人でもあった五月に電話をかけて彼女を救うすべを尋ねていたのです。
目の前で麻帆の豹変を見てもなおその気持ちをぶれさせず、彼女のために行動しようとしている雪生。
彼女と同じ学校に通うため猛勉強を行い、何回フラれてもあきらめず彼女の友人として一緒にい続け、できることならしてあげたいと願う彼を、五月は信頼できる人物だと感じたようで。
麻帆の病気は治る、でもそれには周りの支えが必要だ、一緒にやってみましょう、と力強い返答を変えしたのです。
強い決意を感じさせる瞳で雪生はうなずくのでした。

一方の麻帆は、親友のあおいに不安な胸中を打ち明けていました。
最近気を失うことがあったけど、その時の自分は何かへんじゃなかったか?
そんな質問に、あおいはぜんぜんへんじゃなかった、と返すのですが……
その返答に待歩は一応安心はするものの、心の中のもやもやは消えていないようで。
今まで言いたくても言えなかった、隠していた秘密を打ち明け始めたのです。
それは、麻帆がこの街に引っ越してくる前に起こした……ある事件のことでした。

ホテルのベッドの上で大の字になる東山。
東山は迫る決行の日を前にしても、まだその実感を得られないままでした。
8月8日午後4時、35年前に自分が生まれたこの時。
35歳になった瞬間、殺される……
35歳での死と言うのは一般的に言えば早すぎる死と言えるのでしょうが、東山からすれば別の見方のほうが大きいようです。
自分は35歳という若さで、長年の夢を手に入れる!
この機会を逃したら、麻帆のような美しく自分を殺すことのできる女子高生に出会うことなどできないだろう。
そんなことを考えながら、東山は一冊のスクラップブックを荷物から取り出し、広げました。
そのスクラップブックに挟まれていたのは……9年前に起きた、殺人事件の新聞記事のスクラップ。
少女の犯行と断定、と記されたその殺人事件こそ……麻帆の語る、ある事件そのものだったのです!!

05年8月22日、パートの女性が自宅の公営住宅に帰宅すると、今で知らない男が倒れていた。
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その傍で8歳になる、女性の一人娘が泣きじゃくっていた。
死亡していたのは同じ公営住宅に住む無職の男。
玄関には鍵がかかっていなかった。
少女には事件時の記憶はなく、捜査の結果、男の死因は扼殺による窒息死、死亡後も幾度となく壁や窓ガラスに頭をたたきつけられていて、殺人事件と断定された。
しかし捜査をさらに進めていくと、不可解な事実が続々と明らかになった。
被害者の頸に残っていた手の跡と、双所の手の形がぴったり一致。
少女の細い腕についていた、被害者の抵抗の後と思われる手の跡。
それらの状況証拠から、彼女の犯行と断定された。
131センチ、26キロの少女が、181センチ、82キロの成人男性の首を絞めて殺し、何度も壁に頭を打ち付けた……
にわかには信じがたいものの、証拠はそれを現していて……男が悪戯目的で少女に襲い掛かり、抵抗した少女に殺害された、という真実が浮き彫りに。
その不可解極まりない事件は、連日のようにマスコミや世間をにぎわせ……時とともに、忘れ去られていった……

東山は天井を見上げ、つぶやきました。
僕を殺してくれ、この事件のように。
あの美しい少女が豹変し、僕を殺す!!
佐々木麻帆、いや、キャサリン!!
キャサリン!
キャサリン!キャサリン!キャサリン!!
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まるで呪詛のように麻帆と……そしてキャサリンと言う謎の女性の名前を口走る東山。
東山はこの事件が起きた9年前から、ずっとこの時を待っていたのです!!
入念に準備を進め、彼女をひそかに見つめながら……!!
……その時は、間もなくやってきます。
歪んだ夢と、少女の絶望が折り重なる、その時は……


というわけで、とうとう完結となる本作。
東山は自分勝手な欲望のために、自分に恋する少女に自分を殺させようとします。
自分勝手な欲望、とはいえ、東山は東山なりにそのあとのことは考えているようで。
万一死体が発見されても身元不明の死体として処理され、被害届が出ないように仕組んだり、もし仮に死体から身元や犯人がばれるような事態になってしまっても、麻帆に罪が降りかかりづらくなる仕込みなどもしてあるのです。
が、だからと言って少女の手を汚させるような凶行が許されていいはずがありません!
が、着々と進んでいく犯行計画、そんなことも知らず教師をやめるという東山への思いを募らせていく麻帆……
二人の運命の歯車は、容赦なく動いていくのです!!
おそらくその歪んだ夢を止めることができるのは、あおい、雪生、五月の三人だけでしょう。
いびつな夢をおくびにも出さず進めてきた東山のその夢に気が付くことができるのか?
彼のうちにはらんだ異常性を感じ取ることができるのか?
物語は結末に向けて一直線に進んでいき……
そして、フィナーレを迎えるのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!