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今回紹介いたしますのはこちら。

「蟬丸残日録」第2巻 ツナミノユウ先生 

講談社さんのモーニングKCより刊行です。

さて、ある日目を覚ますと突然顔がせ身になってしまったサラリーマン、蝉丸。
それまでは取り立てて目立つところのなかった、空気のような人物だったのですが、それ以来良くも悪くも目立つ存在に。
気になる年下女上司の蜂須賀さんとも何となくいい感じになり始めているようないないような感じになってきていますし、蝉になって余命わずかという絶望から一転、人生(蝉生?)は好転した、蚊に見えたのですが……?


会社の同僚の女子たちが、休憩時間にスイーツの写メを取って喜んでおりました。
そんなところで話題になったのは、「写メ」と言う言葉についてです。
そもそも写メとは、「写真付きメール」のことだったはず。
ですが今は個人的に楽しむにしろ、SNSにアップロードするにしろ、その画像を「メールに添付する」と言うために撮影する、ということは少なくなってきています。
そのうち「写メ」の「メ」が何を意味するのか分からないヤングが出てくるのかもしれない、などと会話していますと、そこに蝉丸も参加。
若い世代は「巻き戻し」の意味がわからないらしい、という話をしますと、いよいよ「メ」も通じなくなってきているのか?という疑問が強くなってくるのです。
そこでこの職場の若手の代表格、兜くんに尋ねてみることにしたのですが……なぜか兜くんはうわのそら。
何度か声をかけるとようやく気が付き、「写メ」は普通に使いますよ、と答えてくれたのですが……

そのあとも兜くんの上の空は続きます。
蝉丸が話のネタに「マウスのコロコロ」がきかなくなった、これがないと不便だ、これも「形態の写メ」みたいな呼び方がいると思うんだよ、と話しかけてみても、やっぱり反応なし。
何となく耳には入っていたようで、声をかけると「マウスのコロコロ」でいいんじゃないすか、という適当な返事が返ってきます。
蝉丸的には「マウスのホイールだろ」って突っ込んでほしかったんだそうですが、そんなことよりも兜君の上の空具合が気になってきました。
尋ねてみても、兜君は大丈夫です、とはぐらかすばかりで。
全然大丈夫には見えないのですが……実はこの時、蝉丸のほうも大丈夫じゃなくなっていたのです!
手元から何かが割れるような音が聞こえ、そちらを見てみると……蝉丸が捜査していたマウスがバキバキに壊れています。
予想外の出来事に驚いた蝉丸がバランスを崩し、左手で机を抑えて体勢を立てなおしたのですが、今度はその手をついた部分がひび割れてしまうではありませんか!!
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何が起きているのか分からない蝉丸は、席を立って自販機で何か飲んで落ち着こうとします。
が、今度は取り出した500円玉をぐにゃりと折り曲げてしまったのです!!
自分の体に何が起こっているのか分からない蝉丸は大慌て。
兜君の悩みどころじゃなくなってしまうのですが……そんなタイミングで兜君が現れ、悩みを打ち明けてきたのです。
人の悩みなんて聞いている場合じゃない、と内心思っていた蝉丸ではありますが、兜君の悩みの内容を聞くとそうも言っていられませんでした。
なんと兜君、この会社を辞めようと思っているのだそうです!!
なんでも兜君、先日学生時代の友達と会ったら、みんな忙しそうですごく疲れていたのだそうで。
それを見たら、ちょっと緩いこの会社でぬくぬくしていてはいけないんじゃないか、若いうちはもっと厳しいところでもまれたほうがいいんじゃないか?と思うようになったと言います。
兜君も兜君の、重大な悩みを感じていました。
自分の体がおかしくなりそうな時に、俺は何を言ってあげられるんだろう。
そんなことを考えていますと……自然と力が入ってしまっていたようです。
買ったばかりで封すら開けていないスチール缶を、いつの間にか握りつぶしてしまっていたのです!!
さすがにそれを見た兜君、自分の悩みどころじゃなさそうなことを察しました。
蝉丸は逆にとりあえずこの話題から話をそらそうと、もう一回考え直してみたら、就職難だしさ、としどろもどろになりながらアドバイスをしてみるのですが……
兜君がその時見ていたのは、もっととんでもないものだったのです!
蝉丸の背中に
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羽が生えている!!
顔だけだったはずの変化が、こんなところにまで!?
兜君は、どこか悪いんじゃないかと蝉丸に心配の言葉を投げかけるのですが、蝉丸は取り乱すあまり兜君の肩をがしっとつかみ、今は兜君の相談のほうが大事だ、と声をかけるのです。
が、そのつかみかかった手はまるで重機のような力強さを持っていて……?
兜君は思わず漏らしてしまいます。
その、それって、まさか……まさかですけど、じゅ、寿命、とか……?
蝉丸は思わず、いやいや違うって、そんなわけ、と思い切り否定。
蝉の頭になった時から、いつ死んでも悔いがないようにと過ごしてきたはずの自分が、こんな態度をとったらまるで全然死を受け入れてないみたいじゃないか、と反省するものの……
やはり間近にそれが迫ってくると、死にたくない、と思ってしまうもの!!
その両目から自然と涙が滴り始め……
心配した兜君が、蝉丸の腕をつかむのですが、その瞬間のことです。
その羽根の力なのか、兜君ごと蝉丸が飛び出してしまったのは!!
運が悪いことに飛び出した先は、はるか下に見える1階ロビーまでの吹き抜け!!
このままでは二人とも落下してしまい……地面にたたきつけられてしまうことでしょう!!
兜君を助けなくては!ととっさに考えた蝉丸は、その羽根を羽ばたかせ……見事に飛行して見せました!!
兜君を抱き留め、壁をかかっていた肖像画ごとけりつけて衝撃を殺し、救出に成功!!
……はしたものの、突然矢継ぎ早に巻き起こったとんでもない出来事の連続に、蝉丸や兜君はもちろん、騒ぎを聞きつけてその光景を目撃した蜂須賀さんや同僚たちも、口を開くことはできず。
しばらく沈黙が続いた後……蝉丸は
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なぜかこのタイミングで、仕事をやめない方がいいという旨の長文による説得を試みるのでした……


というわけで、蝉丸の体に大きな変化が起きてしまう本作。
この衝撃的な出来事の起こったお話のタイトルは、「残日録1」。
そう、蝉丸のカラダに起こった変化は、本作のクライマックスを迎えるカウントダウンの始まりだったのです!!
いよいよ迎えることになってしまった蝉丸運命の時。
ここから5話にわたって、本作の最終章がスタートします。
蝉丸に起こった変化は、やはり寿命が近づいたことによる、消える前のろうそくが最後に燃え上がるアレなのか!?
死がいよいよ近づいてきたかもしれない蝉丸は残りの日をどう過ごすのか?
蜂須賀さんとのあれこれは!?
様々な出来事が巻き起こりつつ、いつものような緩い空気も忘れない怒涛の展開が始まり、本作の始まりである「蝉への変化」の謎も明かされちゃうこのラストシリーズ、必見です!
いつものような脱力笑いと、最後に訪れる感動は、今までのツナミノ先生作品でも実証されている安心の高クオリティですよ!!

もちろんそのシリーズに入る前の蝉丸の空回りや、蜂須賀さんのかわいさなんかのへ雨情運単も楽しめること必至。
描き下ろしのおまけカットや、カバーした本体の特別編もあり、隅から隅まで堪能できる一冊に仕上がっているのです!!


今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!