今回紹介いたしますのはこちら。
「コロコロ創刊伝説」第1巻 のむらしんぼ先生
小学館さんのコロコロアニキコミックスより刊行です。
のむら先生と言えば、ある一定以上の年齢の方ならば「とどろけ!一番」や、「つるピカハゲ丸」という知らない人はいないのではないかというメジャー作品を描いた大ベテランの漫画家さんです。
「ハゲ丸」後も継続的にコロコロコミックおよび系列の雑誌で作品を発表し続けていらっしゃるのですが、人気作には恵まれませんでした。
そんなのむら先生が、コロコロコミックを卒業した人々に向けた新雑誌、「コロコロアニキ」で描く本作。
果たしてその内容は……?
1978年にデビューして、35年以上が経ったのむら先生。
振り返ってみれば、実に様々なことがありました。
24歳の時に「とどろけ!一番」をヒットさせ、29歳で描き始めた「つるピカハゲ丸」はアニメ化やゲームも発売される大ヒットを記録。
26歳の時に結婚した奥さんとの間にも3人の子供ができ、順風満帆の漫画家人生を歩んでいました。
ほどなく時代はバブル絶頂期へ。
「ハゲ丸」のおかげで億単位のお金を稼ぎ、自社プロダクションを設立。
その目もくらむようなお金に溺れ、睡眠時間を削って飲めや歌えの大騒ぎに興じる毎日を過ごしていたと言います。
ですがどんな作品もいつかは終わりをむかえ。
プロダクションの売り上げもどんどん減り、気が付けばアシスタント代を出せず、銀行に30万円を貸ししてくれと頼む状態に陥ってしまっていました。
おまけに、今のあなたにはびた一文出せません、と断られてしまう始末……
晴れた日には傘を貸し、雨の日には傘を貸さない。
その言葉を身をもって感じたのでした。
そんな今急にあえぐ日々を送っていたある日、さらに追い打ちをかけるようなとんでもない出来事が起こってしまいます。
その日も机に向かい、漫画を執筆していたのむら先生。
そんなのむら先生に、奥様がいきなり謝ってきたではありませんか。
あなた、ごめんなさい……別れてください。
去り際に奥様はさらにこう言ったと言います。
あなた、漫画と心中したいんでしょ。
その望み、叶えてあげます。
……そのときののむら先生には、奥様を引き留める術はなかったのかもしれません。
三人のお子様はすでに立派に成長して親元を離れています。
バブルのころに買ったマンションは半値にまで価値が下がってしまい、そのほかの視線も手放し済み。
のむら先生は、最後まで残ってくれていた奥様までも……すべてを失ってしまったのです。
この時ののむら先生は59歳。
まだギリギリ50代、ここが正念場だ!!
新しい漫画を描く!俺のラストチャンスをモノにする!!
そんな意気込みで、逆境をばねにと新作に更なる情熱を傾けるのでした!!
ついに生み出した会心の新作。
編集者さんに見せると、その反応はこんなものでした。
さすがベテランの先生です!!よく描けています……
その反応に笑顔が漏れるのむら先生ですが、そのあと編集者さんはこう続けたのです。
はっきり言っていいですか……!?
古いんですよねー!!
今はもう時代が違う、昔のコロコロではない。
自分の漫画が古いと断言されてしまい、のむら先生はアワアワとうろたえるばかり。
そんなのむら先生に、編集者さんはこんなアドバイスをして送り出すのです。
考え方を変えてみたらどうですか?
今風のギャグに近づけようとせず、もっと先生にしか描けないものを……
寒風の吹く中、のむら先生は肩を落としながら歩いていました。
古いときっぱりと言い切られ、受けてしまった大きなショック。
ですが、若いころのような「悔しさ」はほとんど湧いてきませんでした。
老いたのか……
そんな自らの変化に戸惑いながら、同時に編集者からの言葉も自身を苛んでいます。
オレにしか描けないもの?
この年齢になって、それができれば苦労はしない……
人気がなければ、何の支えもない。
そんな漫画界の恐ろしさに震えながら、のむら先生は考えます。
本当は、とっくに自分の時代ではなくなっていることに気づいていた。
ただ、あきらめるのが怖かった。
人生のすべてが終わってしまいそうで……
オレから漫画を取ったら何が残る!?
月を見上げながら、机の前でのむら先生は考えています。
自分にしか描けないものと言っても、もう40年近く漫画を描いてきたんだ。
描きたいネタはもう描き尽くしてきたんだよな。
あてもない問いへ向かい、のむら先生はただただ無為に時間を過ごします。
そんな時、突然鳴り響いた電話の呼び出し音。
出てみれば、それはこんな一報だったのです!
千葉さんが、亡くなった……!!
千葉さんとは、コロコロコミックの初代編集長、千葉和治さんのことです。
訃報を聞いたのむら先生の脳裏に、千葉さんとの数々の思い出がよみがえります
漫画産業は隙間産業だ、隙間を探したものの勝ちだ!
言い漫画を描くんじゃない、面白い漫画を描くんだ!!
子供のいない俺には、コロコロが自分の子供だ……
そんな数々の千葉さんの言葉。
千葉さんからはたくさんのことを教わった、漫画家になれたのも千葉さんがいたからだ。
もっと俺の漫画を読んでもらいたかった……
それを皮切りに、次々に蘇る、漫画家になったおかげで味わえた「良かったこと」。
その思い出に浸り、涙するうちにのむら先生は思いたち、ペンを握りました。
オレにしか描けないもの、オレだからこそ描けるもの。
オレは……コロコロ創刊から、35年以上ずっと見続けてきた……
あったよ、まだ描いていない物語が!!
描きたい、描いておきたい!!
そうしてのむら先生が描き始めた物語こそが……そう!!
コロコロ創刊伝説!
というわけで、のむら先生が満を持して描く本作。
本作はそのタイトル通り、コロコロの創刊当時から始まる物語です。
主役となるのはのむら先生で、のむら先生の活躍や体験を物語の中心に据えつつも、同時に活躍していた漫画家さんたちにもスポットライトを当てていきます。
件の千葉さんや、のむら先生の担当となる平山さん、そしてコロコロコミックの看板となった「ゲームセンターあらし」の作者であるすがや先生……
そう言った歴代の面々の勇姿を、のむら先生らしいコミカルで懐かしい……所謂、「古い」ノリで描いていくのです!!
のむら先生の物語の裏に隠され様々なトラブルや、結婚に関しての裏話、かの大先生のお言葉といった見逃せない様々な要素が詰め込まれた本作なのですが、もう一つ見逃せないのはのむら先生の今を取り巻く状況!!
全てを失ったというのむら先生ですが、失ったどころか実はマイナスで、借金もあるとのこと。
なにせ漫画作品ですので脚色もあるのでしょうが、少なくとも7ケタ以上の借金があると作中で明かしています!!
そんな借金の返済、そして自らのもとを離れていった家族たち。
本作は、それらを取り戻すための逆転の一手でもあるというのです!!!
そのあたりは第3話や第5話で触れられていますので、コミカルに描かれていながらも実際はものすごく切実なのかもしれないその思い、皆さまもぜひご確認を!!
ちなみにその目標は、うそかまことか10万部以上だとか……
本作の連載継続、のむら先生の借金&孤独な生活の脱却は、すべて読者の方々にかかっている……と、そう言うことみたいですよ!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
「コロコロ創刊伝説」第1巻 のむらしんぼ先生
小学館さんのコロコロアニキコミックスより刊行です。
のむら先生と言えば、ある一定以上の年齢の方ならば「とどろけ!一番」や、「つるピカハゲ丸」という知らない人はいないのではないかというメジャー作品を描いた大ベテランの漫画家さんです。
「ハゲ丸」後も継続的にコロコロコミックおよび系列の雑誌で作品を発表し続けていらっしゃるのですが、人気作には恵まれませんでした。
そんなのむら先生が、コロコロコミックを卒業した人々に向けた新雑誌、「コロコロアニキ」で描く本作。
果たしてその内容は……?
1978年にデビューして、35年以上が経ったのむら先生。
振り返ってみれば、実に様々なことがありました。
24歳の時に「とどろけ!一番」をヒットさせ、29歳で描き始めた「つるピカハゲ丸」はアニメ化やゲームも発売される大ヒットを記録。
26歳の時に結婚した奥さんとの間にも3人の子供ができ、順風満帆の漫画家人生を歩んでいました。
ほどなく時代はバブル絶頂期へ。
「ハゲ丸」のおかげで億単位のお金を稼ぎ、自社プロダクションを設立。
その目もくらむようなお金に溺れ、睡眠時間を削って飲めや歌えの大騒ぎに興じる毎日を過ごしていたと言います。
ですがどんな作品もいつかは終わりをむかえ。
プロダクションの売り上げもどんどん減り、気が付けばアシスタント代を出せず、銀行に30万円を貸ししてくれと頼む状態に陥ってしまっていました。
おまけに、今のあなたにはびた一文出せません、と断られてしまう始末……
晴れた日には傘を貸し、雨の日には傘を貸さない。
その言葉を身をもって感じたのでした。
そんな今急にあえぐ日々を送っていたある日、さらに追い打ちをかけるようなとんでもない出来事が起こってしまいます。
その日も机に向かい、漫画を執筆していたのむら先生。
そんなのむら先生に、奥様がいきなり謝ってきたではありませんか。
あなた、ごめんなさい……別れてください。
去り際に奥様はさらにこう言ったと言います。
あなた、漫画と心中したいんでしょ。
その望み、叶えてあげます。
……そのときののむら先生には、奥様を引き留める術はなかったのかもしれません。
三人のお子様はすでに立派に成長して親元を離れています。
バブルのころに買ったマンションは半値にまで価値が下がってしまい、そのほかの視線も手放し済み。
のむら先生は、最後まで残ってくれていた奥様までも……すべてを失ってしまったのです。
この時ののむら先生は59歳。
まだギリギリ50代、ここが正念場だ!!
新しい漫画を描く!俺のラストチャンスをモノにする!!
そんな意気込みで、逆境をばねにと新作に更なる情熱を傾けるのでした!!
ついに生み出した会心の新作。
編集者さんに見せると、その反応はこんなものでした。
さすがベテランの先生です!!よく描けています……
その反応に笑顔が漏れるのむら先生ですが、そのあと編集者さんはこう続けたのです。
はっきり言っていいですか……!?
古いんですよねー!!
今はもう時代が違う、昔のコロコロではない。
自分の漫画が古いと断言されてしまい、のむら先生はアワアワとうろたえるばかり。
そんなのむら先生に、編集者さんはこんなアドバイスをして送り出すのです。
考え方を変えてみたらどうですか?
今風のギャグに近づけようとせず、もっと先生にしか描けないものを……
寒風の吹く中、のむら先生は肩を落としながら歩いていました。
古いときっぱりと言い切られ、受けてしまった大きなショック。
ですが、若いころのような「悔しさ」はほとんど湧いてきませんでした。
老いたのか……
そんな自らの変化に戸惑いながら、同時に編集者からの言葉も自身を苛んでいます。
オレにしか描けないもの?
この年齢になって、それができれば苦労はしない……
人気がなければ、何の支えもない。
そんな漫画界の恐ろしさに震えながら、のむら先生は考えます。
本当は、とっくに自分の時代ではなくなっていることに気づいていた。
ただ、あきらめるのが怖かった。
人生のすべてが終わってしまいそうで……
オレから漫画を取ったら何が残る!?
月を見上げながら、机の前でのむら先生は考えています。
自分にしか描けないものと言っても、もう40年近く漫画を描いてきたんだ。
描きたいネタはもう描き尽くしてきたんだよな。
あてもない問いへ向かい、のむら先生はただただ無為に時間を過ごします。
そんな時、突然鳴り響いた電話の呼び出し音。
出てみれば、それはこんな一報だったのです!
千葉さんが、亡くなった……!!
千葉さんとは、コロコロコミックの初代編集長、千葉和治さんのことです。
訃報を聞いたのむら先生の脳裏に、千葉さんとの数々の思い出がよみがえります
漫画産業は隙間産業だ、隙間を探したものの勝ちだ!
言い漫画を描くんじゃない、面白い漫画を描くんだ!!
子供のいない俺には、コロコロが自分の子供だ……
そんな数々の千葉さんの言葉。
千葉さんからはたくさんのことを教わった、漫画家になれたのも千葉さんがいたからだ。
もっと俺の漫画を読んでもらいたかった……
それを皮切りに、次々に蘇る、漫画家になったおかげで味わえた「良かったこと」。
その思い出に浸り、涙するうちにのむら先生は思いたち、ペンを握りました。
オレにしか描けないもの、オレだからこそ描けるもの。
オレは……コロコロ創刊から、35年以上ずっと見続けてきた……
あったよ、まだ描いていない物語が!!
描きたい、描いておきたい!!
そうしてのむら先生が描き始めた物語こそが……そう!!
コロコロ創刊伝説!
というわけで、のむら先生が満を持して描く本作。
本作はそのタイトル通り、コロコロの創刊当時から始まる物語です。
主役となるのはのむら先生で、のむら先生の活躍や体験を物語の中心に据えつつも、同時に活躍していた漫画家さんたちにもスポットライトを当てていきます。
件の千葉さんや、のむら先生の担当となる平山さん、そしてコロコロコミックの看板となった「ゲームセンターあらし」の作者であるすがや先生……
そう言った歴代の面々の勇姿を、のむら先生らしいコミカルで懐かしい……所謂、「古い」ノリで描いていくのです!!
のむら先生の物語の裏に隠され様々なトラブルや、結婚に関しての裏話、かの大先生のお言葉といった見逃せない様々な要素が詰め込まれた本作なのですが、もう一つ見逃せないのはのむら先生の今を取り巻く状況!!
全てを失ったというのむら先生ですが、失ったどころか実はマイナスで、借金もあるとのこと。
なにせ漫画作品ですので脚色もあるのでしょうが、少なくとも7ケタ以上の借金があると作中で明かしています!!
そんな借金の返済、そして自らのもとを離れていった家族たち。
本作は、それらを取り戻すための逆転の一手でもあるというのです!!!
そのあたりは第3話や第5話で触れられていますので、コミカルに描かれていながらも実際はものすごく切実なのかもしれないその思い、皆さまもぜひご確認を!!
ちなみにその目標は、うそかまことか10万部以上だとか……
本作の連載継続、のむら先生の借金&孤独な生活の脱却は、すべて読者の方々にかかっている……と、そう言うことみたいですよ!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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