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今回紹介いたしますのはこちら。

「グラゼニ~東京ドーム編~HELL OR HEAVEN」第5巻 原作・森高夕次先生 漫画・アダチケイジ先生 

講談社さんのモーニングKCより刊行です。

さて、シーズン中の酷使が祟り、左ひじを故障してしまった凡田。
結果として、成功率が高いという手術を受けた凡田なのですが、問題はそのこ焼酎のシーズンの契約です。
来シーズンは働けないことが確定しているものの、今シーズンはかなり働きまくった凡田……にもかかわらず、なんとモップス側は凡田を給料の上限が圧倒的に低い、一軍の試合への出場資格がない育成契約にするといってきたのでした!!


新監督の辺見と新ピッチングコーチの杉浦。
その二人がわざわざ凡田の家を訪ねてきて話したのは、育成契約でお願いしたいというものでした。
事実上の減給告知になるわけですが、それが本来払うべき給料とのかい離が激しいことは辺見と杉浦もよく分かっていまして……
それだけに直々に尋ねてきて、頭まで下げているわけです。
あからさまにショックを受ける凡田ですが、辺見はとりあえず事情の説明を再開。
編成の連中ともやりあったし、杉浦にも反対されたが、どうしても入ってくる人とやめてもらう人のバランスが取れなかった。
ただ、お前の肘が治った時、再来年の頭からは紛れもない戦力と見込んでいる!
俺は嘘をつかない、再来年は正式契約に絶対戻す!!
……凡田はそれを押し黙ったまま聞いています。
この言葉が、その場しのぎの嘘であることもありうるのですから当然のこと……
ですがそこで、杉浦は監督を信用してやってくれ、と後押しを始めるのです。
監督は解説者時代から本当にお前のことを買っていた、凡田を大切に使うようにと常に言っていた。
そして、監督はさらにいろいろとぶっちゃけ始めます。
凡田投手は「オイシー」んだよ、使い勝手がいいんだよ、使えるんだよ!!
だから前監督は「いける」と思った時、お前を使いすぎてしまった。
しかし前監督の気持ちは、作戦スタッフがわからしたらよく分かるんだ。
俺も試合になったら使いたいと思うだろう、じん帯の手術の成功率の高さも信用している!
こういろいろといいわけを並び立てる二人に、とうとう凡田も口を開きます。
僕にも生活というものがかかってまして、ぶっちゃけ……育成契約になってしまうと給料はいくらくらいになっちゃうんですか?
金の問題は、凡田に取っても一荷を争う重大なこと!
本来の育成選手なら、3~400万円がいいところ。
ですが、凡田は特別な育成選手だということで、2000万円に設定したと言います。
今シーズンの年俸は8000万。
ということは……四分の一!
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さすがにショックを隠し切れない凡田なのですが、慌てて辺見はフォローに入りました。
基本の年俸の他に、諸々の「手当」、合計2000万円をつけることができる。
都合年俸は4000万円ということになる、と。
それでも今年の半分ということになるのですが、育成選手ではこれが限界だとのこと。
とはいえやむを得ず育成契約にした関係上、その見返りも用意しているのだそうです。
たとえば、もし来年が現状維持の8000万円と考えたら4000万円足りないわけだから、再来年はその4000蔓延を何かしらの手当てでつけてもらう。
再来年も現状維持をベースとして考えて8000万円、つまり8000万+4000万ということにしてもらう、と!!
その提案はそれほど悪いことではありません。
が、再び口をはさむ凡田。
来年を現状維持と考えるのはどうなんだろうか、と。
実際、終盤での凡田の活躍は相当なもので、凡田自身明確に優勝に貢献したという感覚がありました。
だったら、来年はアップ査定として考えるべきなんではないか?
確かにそれはうなずける話ではあります。
ですが、来シーズンは一球も投げないわけですから、再来シーズンは当然ダウン査定になるでしょう。
そこで間をとって(?)再来年も現状維持ベースとしたということなのです。
正直言って、凡田も一球も投げないシーズンの次の契約はどうなるんだとは思っていました。
そんな不安を抱えている中で、告げられた育成契約の一報。
それは、実はかえって凡田をすっきりさせてくれていたのです!
一球も投げないのに支配下登録になって高級をとる後ろめたさも、ゲラゼニにこだわる凡田には大きなものになるでしょう。
さらに、凡田という超一級とまでは行かない選手のことを、監督とピッチングコーチ二人がここまで気に留めてくれたというのは……もう感謝以外の言葉は出てきません!!
凡田は言うのです。
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再来年、絶対ご期待に応えます!!

とりあえず、契約のことに関しては4000万、8000万プラス4000万ということでまとまりました。
凡田は……生活に潤いを与えるためか、犬を買うことにしました。
一球さんとなずけたその犬をかわいがりながら、あれこれと巷の野球ニュースを眺めます。
オールスターをきっかけとして調子を崩し、戦力外通告をされてしまった杉里は、合同トライアウトにチャレンジ。
したのですが、杉里はなんと3四球という燦燦たる結果に終わってしまうのです。
そして、凡田と入れ替わるように活躍し、優勝の瞬間マウンドに立っていた則川は……年俸が3倍以上アップ、4000万円でサインをしていました!
凡田の8000万円と、則川の1100万円。
6900万円もの格差があった二人が、わずか1シーズンで同じ給料になる……
これがプロ野球……
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凡田は則川を祝福しつつ、再来年の再起をかけての奮闘を誓うのでした!!


というわけで、契約が固まった今巻。
これから、凡田の長いリハビリのシーズンが始まることとなります。
一球さんをかわいがりながら、まずはその影の経過を見守ることになるのです。
ですが問題はギプスをとってからでしょう。
仮に手術が完全に成功していたとしても、まず左腕を普通に動かせるようにしなければなりません。
その後衰えた筋力を鍛え直し、ピッチングに耐えうるようにしなければいけない……
一年間試合には出れないという精神的な苦難もありますし、さらに凡田にさらに背負わなければならないものも増えて……試練は続くのです!!

そして同時に、則川のストーリーも展開することとなります。
凡田にとってかわった形になった彼、いわば凡田とは逆の上り調子。
そんな彼も結婚し、さらに稼がなくてはならなくなりました。
彼のライバルは……凡田。
凡田と彼の役割がかぶっている以上、お互い無視できない存在なわけで……
果たして則川はこのまま上ることができるのでしょうか?
それとも……!!

さらにナッツ編も収録し、大ボリュームの今巻。
試合シーンは少ないものの、だからこそ本作らしさが光る一冊になっていますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!