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今回紹介いたしますのはこちら。

「乙女のてにをは」第1巻 るなツー先生 

小学館さんのビッグスピリッツコミックススペシャルより刊行です。


さて、本作は女子高生たちの日常を描いた作品です。
以前は「女子のてにをは」のタイトルで連載されていたのですが、単行本1巻を発売した段階で連載はいったん終了。
単行本の売れ行きが好調だったのでしょうか、今のタイトルに改題してやわらかスピリッツでの連載、そして改めて第1巻の刊行となりました!
なんてことはない日常を切り取って描く本作の中から、今回はとある凸凹コンビの様子を描いたエピソードを紹介したいと思います。


図書室で、精いっぱい手を伸ばして本をとろうとしている滝井さん。
そんな彼女に、何してるのと声をかけるのはお友達の萱嶋さんでした。
天の助けとばかりに、滝井さんは萱嶋さんに、あの本をとってとお願いします。
萱嶋さんは、ひょいひょいとお願いされた本を手に取っていきます。
その様子をたまたま見かけた別のお友達は言うのです。
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滝井さん、また萱嶋さんのこと便利に使ってる?
図書委員の滝井さん、図書委員でも何でもない萱嶋さんに本を取ってもらっている……
この風景は珍しいものではないようです。
そんなんじゃないです!とお友達の言葉を否定する滝井さんの身長は148センチ。
そしてその横でニコニコしている萱嶋さんは頭一つ大きい179センチ。
体の大きさは全く違うものの、二人は仲良しなのです!

ある日、クラスで席替えが行われました。
滞りなく行われた席替えですが、先生が問題に気が付きます。
背の高い萱嶋さんの席のすぐ後ろに、滝井さんが座っている……
これでは前が見えないだろうと、せっかく一番後ろの席を引き当てた滝井さんを一番前の席に移動させ、その空いた席に萱嶋さんが移動させるという強権を発動したのです!
納得できないのは滝井さんです。
ちっちゃいものさ別も甚だしい!とご立腹!!
そんな彼女をなだめるのは萱嶋さんですが、私は本当は視力が悪いから前のほうがいいんだけど、後ろの人の迷惑になるから、と滝井さんにはこれっぽっちも共感できないセリフを言うのです。
そうなると自然と話題は萱嶋さんの身長の話になってきます。
間もなく180に手が届こうという高身長の彼女をみて、それだけ身長があればスーパーモデルも夢じゃないよね、とうっとりする滝井さん。
スポーツでも有利だろうし、というのですが、萱嶋さんは、自分はただ背が高いだけで普通の女子高生だし、背が高いからってスポーツができるとは限りません、と現実を直視。
それよりも小さいほうがカワイイし、セーラー服も似合うよと滝井さんを逆にうらやむのです。
……セーラー服が似合う、などと言うあまりにも時期が限定された特典には素直に喜べない滝井さんなのですが!

そんな会話をしていますと、数名のお友達が声をかけてきました。
どうやらクレープの買い食いを楽しんでいたようです。
萱嶋さんも食べようと考え、店員さんに声をかけようとしたその時のこと。
軒先にぶら下がっている照明に、
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思いっきりおでこをぶつけてしまったのです!
おでこを抑えてうずくまってしまう萱嶋さんに、滝井さんは慌てて駆け寄って大丈夫かと声をかけます。
前にも同じところでぶつけてなかった?ちょっと見せてみて、たんこぶできてるかも。
そう言ってひとしきり心配した後、萱嶋さんが注文しようとしていたクレープを注文してあげて手渡してあげたり、口元についたクリームを取ってあげたりと世話を焼いてあげるのです。
いつものように繰り広げられるそんな様子を見ていたお友達、こんな感想を漏らします。
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ほんとお似合いの身長差カップルだよね、と!

あくる日のこと。
萱嶋さんはなぜか教室に入らず、アンニュイな表情を浮かべておりました。
滝井さんが理由を尋ねてみますと、塾の模擬テストの結果がびりから2番目だったんだと明かしてくれました。
確かその塾は結構レベルの高い塾だったはずですが……それでもこの成績は満足できるものではありません。
親御さんにも、こんなに取り絵がなくてどうするんだと怒られたらしく、すっかり意気消沈してしまったというわけです。
しかし萱嶋さんは気を取り直し、決意するのです。
私、将来は滝井さんのお婿さんになって養ってもらう!
さすがの滝井さんも、だったら頑張ってスーパーモデル目指そうよ、とつっこむしかないのでありましたとさ……


というわけで、女子高生たちのあれやこれやをたっぷりと収めた本作。
8Pほどの短編が20編収録されていまして、様々な女子高生たちの様々なワンシーンを描いております。
とにかく本作は女子高生に照準を絞って描かれているのが特徴といえましょう。
男性キャラも出るには出ますが、女子高生たちとの辛味はほとんどなく、あくまでお話のアクセント程度。
ほんのりと百合風味が含まれている本作、男キャラなんて邪魔でしかないぜ!というこだわり派の方も安心してお楽しみいただけます!!!

とにかく女子同士の仲良しな様子を淡々と描いている本作、毒になるようなとがったところはまるでありません。
とにかく純朴そうな女の子たちばかりが登場しまして、今はやりつつあるギャル系の女子すらも出番なし!
物語の起伏や刺激のない、なんだか和んでしまう様子をひたすら眺め、癒される……そんな作品なのです!
日々のあれこれにつかれた貴方の心にすっと入り込む清涼剤としていかがでしょうか!?


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!