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今回紹介いたしますのはこちら。

「La vie en Doll(ラヴィアンドール)」第2巻 井上淳哉先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックス・ウルトラより刊行です。

さて、「女王の遺品」と呼ばれる魔法のような力を使えるアイテムをめぐる「聖女子(パージィナ)」の戦いに巻き込まれてしまったかすみ。
かすみはその遺品の一つ、香上を手にした時から自身の中にもう一人の人格を宿すことになってしまいます。
便宜上くすみと名付けたその人格は、襲い掛かってくるパージィナを迎撃。
見事撃退することができたのですが、戦いの末海の中へ消えていったそのパージィナは、操られていたかすみの親友、笑美だったのです。


見慣れないホテルの一室で目覚めたかすみ。
自分がここで眠っていたこと、そしてその胸に下げられている鏡があの戦いが夢ではなかったことを現しています。
そして、ベッドの傍らには金髪の青年が。
彼は、笑美を操っていた男と同じ、パージィナがらみの組織か何かに所属している人物のようです。
ですが彼は、目覚めたかすみを同行しようというつもりはなさそう。
話したいことがある、と穏やかに声をかけてくるのです。
とりあえず、話の前にトイレに向かうかすみ。
そこでかすみは、くすみと口論することになります。
あの青年は敵ではなさそうだし、話を聞いて情報を集めたほうがいいのではないかと言うくすみ。
しかしかすみにとって重要なのはそこではなく……いくら身を守るためとはいえ、幾度となく書けた制止の声を振り切り……くすみが、笑美を殺めてしまったことでした。
人殺し、あんなに止めてって言ったのに。
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そう言って涙をこぼすかすみに、くすみはああしなければこっちが死んでいた、殺さずにやり過ごすなんて余裕もなかったし、自分は何もしなかったのに文句だけ言うなんて!と文句でかえすのでした。

ひとしきり泣いて落ち着いた後、かすみは青年に話を聞くことにします。
彼の名はミカエル。
諜報活動を主とする、ある組織のエージェントだそうです。
彼が紺あk命ぜられていた任務は、女王の遺品の回収。
今かすみが胸に下げている「女王の手鏡」、そして左小指につけられている「女王の小指輪(ピンキー)」がその目的のものなのだとか。
その女王の遺品の出自はこんなものだと言います。

昔、ヨーロッパの小国にいた魔女の血を受け継ぐ女王。
彼女は自分の血を使って魔法のアクセサリーと化粧品を作った。
8つのアクセサリーはマナ娘である8人の姫に、8つの化粧品は自分と7人の王族に授け、自分の魔力を一族皆に分け与えた。
やがて小国は、魔女の力を恐れて侵攻してきた国を返り討ちにすることで領土を拡大、大国に成長。
そうなると、今度は化粧品を手にした7人の王族の猜疑心が強まり、彼ら同士の争いに発展していった。
王族は本来姫たちをアクセサリーの強大な魔力から守るための化粧品を悪用し、姫を自分たちの操り人形にする道具にし、その魔力を使って戦果を大きくしていった。
が、その戦いで嬢王が命を落とし、そのショックから姫たちは勝機を取り戻し、自分たちを操っていた王族を殺害。
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姫たちは己の所業を悔い、女王の後を追った……

そのまま忘れ去られていくかに思われていた女王の遺品。
ですが、30年前にミカエルの所属する組織が女王の墓を発見、8つのアクセサリーと8つの化粧品を発見してしまいます。
全ての女王の遺品を手に入れた組織は……にわかには信じがたいことですが……世界を、支配することになった、のです。
この得体のしれない戦いの実態は、なんとなく分かりました。
何らかの手段によって鏡と小指輪がかすみのもとに届き、それを取りかえすために彼女たちは襲い掛かってきた……
では、ミカエルの立場はどうなのでしょうか。
敵なのか、味方なのか……
くすみが表に現れ、そこのところをはっきりしてもらおうと迫ると、ミカエルは言いました。
自分はあなたをかくまっている、それに笑美が持っていた腕輪まで持ってきてしまった、これは裏切り行為だ。
だが後悔はしていない、組織は心優しい女王の意思に背いている、それをあなたに教わった。
自分も信念と平和のため、命懸けであなたを守る。
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その目は、嘘をついてごまかしている風ではありません。
かすみとくすみは、いったん彼を信じることにしたのですが……

ミカエルは、そのまま組織を裏切っていないふりを続けることにいしたようです。
かすみにくれぐれもこのホテルから出るなと命じ、外に出ていきました。
向かった先は、新たなパージィナと、それに付き従う老人。
女王の遺品同士は、半径1~2キロメートル以内に近づくと反応を示すのだとか。
都内を車で移動しつつ丹念に探そうというパージィナの指示を受け、ミカエルは霞をかくまっているホテルの近くを通らないように車を運転することにしました。
これならば時間を稼ぐことができる。
そう思っていたミカエルですが……かすみはその時、どうしても気になってしまっていることがありました。
それは、我が家に残してしまってきていた愛猫、デッカルチェの存在……
このまま放っておくことなんてできない!
そう考えたかすみは、ホテルから外に出てしまっていたのです!!


というわけで、この戦いの全貌が見えてきた今巻。
かすみがはめた小指輪は、はずすことができません。
襲ってくるパージィナたちは、それを例え殺してでも……いや、殺して奪い取ろうと牙をむいてくるのです。
出来れば戦わずにやり過ごしたいかすみとくすみ。
ですが、世界の命運を左右するほどのアイテムとなれば、相手もそう簡単にあきらめなどしないでしょう。
何が何でも奪おうとしてくる相手は手段を選びません。
かすみは、この死ぬか生きるかの戦いを避けることを許されないのでした……!!

物語の軸、女王の遺品の存在が明らかになったことで、これから戦う相手もはっきりしてきました。
いまかすみたちの手には3つの遺品があります。
ということは、鏡と小指輪が別々の遺品とすれば少なくともあと5つは女王の遺品を持つパージィナがいるということでしょう。
その全員が敵なのか、味方となってくれるものはいるのか?
そして、父親は何のつもりでこんなものを送ってきたのか!?
物語の全体像が見えるにつれて、謎も新たに湧き上がってきます。
これから熾烈な戦いが待っているであろう、かすみたちから目が離せなそうです!!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!