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今回紹介いたしますのはこちら。

「黄門さま~助さんの憂鬱~」第6巻 徳弘正也先生 

集英社さんのヤングジャンプ・コミックスGJより刊行です。

さて、黄門さまのボディーガード、助さん役として漫遊の旅で奮闘する進ノ助。
スリルばかりを追い求める黄門さま、世直しなど二の次……なのは確かなのですが、それでも意外に世直しも考えてくれいないわけではないような感じのような。
そんな今回の旅は、どんなものになるのでしょうか!?


黄門さまは苦々しげな表情を浮かべていました。
旅で差し掛かった場所にあった藩を取りつ武士、徳川の領地にした今の将軍、綱吉の所業の愚かさを嘆いているようです。
ここにあった橘藩の殿はやさしく聡明な藩主だったそうなのですが、些細な届け出の不備が綱吉の気に障って藩主を辞めさせられ、平民にされてしまったのだそうです。
橘藩は譜代大名だっただけに、これはあんまりな仕打ち。
今までは綱吉もここまであれではなかったのですが、彼ににらみを利かせることのできた唯一の存在、大老堀田正俊が死んでしまってからはもうやりたい放題なのだそうです。

綱吉が徳川領にした途端、このあたりの年貢はなんと5割増しになったのだそうです。
そんな極端のことをすれば、農民の不満が溜まるばかり。
悪政と言うほかないその判断をした綱吉を、老中の柳沢吉保は素晴らしい素晴らしいとほめるだけなのだそうです。
それもそのはず、吉保は18のころから綱吉の小姓番衆をしていまして、いろんな意味で綱吉にとっても「可愛がられている」人物。
ただのイエスマンではない、いうなれば恋人のような関係なのです!!

あとに降りてみれば、農民たちの表情は一様に険しく。
やはり荒れているんだなと漏らしながら歩いていますと……そこに一人のナタを持った坊主が現れました。
怪しげな人物かと思いきや、彼は黄門さまとの知り合いでして。
拝む仏すらない貧しい者たちのために、その手に持った鉈で全国に仏像を作って廻っている円球と言う僧侶なのだそうです。
円球は子の里の惨状を憂い、百姓の名やに仮住まいをしながら大作を作っているとか。
彼の今回の作品は、巨木を切らず、立木のまま仏像を掘り上げるという彼ならではの作品です。
が、立木に作るといううことはいずれこの彫刻で木が腐り始め、後世に像が残ることはないでしょう。
ですが円球は、万物は常に変わるもの、消えるからこそ仏に魂が宿ると考えているのでした。

その夜は、円球が身を寄せている納屋にとまることになりました。
その納屋の中で、円球は思いの丈をぶちまけ始めます。
この土地の領民は本当に苦しんでいる、にもかかわらずこの近くの森に柳沢吉保が別荘を建てた。
百姓の年貢は上げるだけ上げ、その金で己の快楽のためにでかい屋敷を作るなんて……
黄門様、どうか百姓たちをお救いください!!
円球の心からの願い。
そしてその願いが切実なものであることを、黄門さまはよく分かっております。
が、黄門さまは一言「だめ」とその願いを却下するのです!!
……なぜなら、柳沢吉保は黄門さまをこの世から抹殺したいと考えているから!!
彼とねんごろである綱吉は、黄門さまが大嫌い、吉保もそれに右へ倣えです。
水戸が納得する、黄門さまを切腹させる正当な理由を日々彼らは探している……
吉保にかかわることは、自らの命を縮めに行くのも同じこと。
だから黄門さまは断固としてそのお願いを聞き入れないのです!!

翌朝、黄門さまはこんな辛気臭いところはさっさと離れて旅を再開しようと先頭きって歩きだしました。
ザ・真面目である格さんがたまりかね、苦しんでいる百姓の年貢を少しでも下げられないかと頼んでみても、やっぱり「無理」の一言。
円球も無理に頼むことはしないようで、そんな一同をうなだれながらも見送るのです。
が、その時のこと。
突然馬に乗った侍が現れ、頭ごなしに円球に命令をして来たのです!!
明日、柳沢吉保さまの別荘に来い!!断ればこの場で成敗するぞ!と!!
いくら侍と言えど、この行為はあまりに無礼。
徳川と言えど、礼儀くらいはわきまえろ!!
そう言ってブチぎれたのは
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なんと黄門さまでした!!
突然横やりを入れてきた老人に激怒する侍ですが、老人が黄門さまであることを知ると態度を急変!!
土下座して謝ってきました。
そこで一同は、急に円球を別荘に呼ぶ理由をその侍に聞いてみることにします。
すると、余に名高い円球が近所にいると耳にした吉保が、鉈彫りを見たいと言っているんだそうで。
吉保が明日、わざわざ別荘に足を運ぶのだとか!!
……吉保が、この地に来る!
それを聞いた円球は、少し考えた後、伺いますと侍に頭を下げました。
大喜びしつつ、平身低頭で帰っていく侍……
それを見送る円球の表情を見て、進ノ助は確信します。
円球のやつ、
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その場で吉保に直訴する気だな!
……正直言って、僧侶がその身一つで吉保に直訴したところで何の効果もみこめません。
それどころか、ほぼ確実に円無礼を働いたとしてその命を奪われてしまうでしょう。
進ノ助は、円球を見殺しにするんですか、と黄門さまに語りかけます。
ですが、よく知った中である円球の命がかかっていると言っても……やはり黄門さまは二の足を踏むのです。
田舎隊妙に意見をするのとはわけは違う、徳川幕府の老中を相手にうかつなことをすれば、わしと言えども切腹じゃ。
そう言ってぐずる黄門さまに……進ノ助は囁くのです。
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スリルがあるじゃないですか、と!
今の黄門さまは、自分ですすんでチャンバラの中に参戦していくほどのスリル中毒。
吉保に意見しに行くというのは、確かにスリル満点でしょう!
ですが、その天秤にかかっているのは……
悩む黄門さま、腹を決めた円球。
果たしてこのいまだかつてない相手を前にした一行の選んだ道とは!?


というわけで、VS吉保編に突入していく本作。
この後円球は吉保の目の前での仏像彫をしに行くことになるのですが、そこには予想だにしなかったとんでもない出来事が待ち構えているのです!!
そしてそこで起こった出来事をきっかけに、いよいよ黄門さまが目を付けられてしまうことに……?!
今までの、超偉い人VSちょっと偉い小悪党、といった図式がついに崩れたこのエピソード。
果たしていまだかつてないビッグな敵を相手にした黄門さま御一行は、ドンな運命をたどっちゃうのでしょうか!!

さらにこの後、意外な実在の大物が登場するエピソードが収録されるのですが……その内容は割といつも通りの平常運転に戻ります。
そしてその平常運転のエピソードで本作は完結!!
特に何事もなく事件は終わり、各キャラのそのあとを描いてフィニッシュとなります!!
あんまりにも急な完結で驚きますが……漫遊の旅を終えるエピソードと言うのも想像しづらいですし、この完結方式は仕方ない気もします。
進ノ助が最初の試験でやってしまった男の家族関係だけはもうちょっと書いてほしかった気もしますけど!
とにかくファンとしましては、新作の発表を早く!と願わずにはいられません!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!