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今回紹介いたしますのはこちら。

「不死(しなず)の猟犬」第3巻 八十八良先生 

エンターブレインさんのビームコミックスより刊行です。

さて、人間が不死であるのが当たり前の世界の物語である本作。
そこで「愛させる」ことによって不死の人間を死ぬ状態にしてしまう「RDS」を感染させる、死ぬ人間「ベクター」を逃がすことを生業とする「逃がし屋」をしているリンですが、今回の仕事は厄介でした。
ネットゲームのクランの「姫」として君臨し、その男たちを籠絡し、39人ものRDS感染者を出した「白雪姫」。
対ベクターの国際機関、UNDOまでもがマークするその白雪姫を逃がさなければならないのです!


東砦署のベクター特別班の三人は、カフェで食事をとりながら話をしています。
RDS、復活不全症はなんなのか?と言う話を。
まず一般的に考えられているような、伝染病ではない、と言うのは確実です。
ですが、「伝染する」ということも確実なのです。
伝染するのに、伝染病ではない……ということは……
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RDSは、「病気」ではない、ということ……?
だったら何なのか、という結論にはまだまだ至りません。
この真実をさらに探っていけば……「知りすぎた男」として消されてしまうかもしれない、などと言う根拠のない不安もどんどんとわいてきて……
ともかく今はこれ以上子のことを考えても仕方無いでしょう。
とりあえずは、UNDOにも協力要請をされている白雪姫の調査のことを考えたほうがよさそうです。
白雪姫は、周知の通りネットゲームのチームに参加し、その参加者を食い散らかしてRDSをばらまきます。
これだけでは、白雪姫を特定することなど夢のまた夢。
何せこの世の中にはネットゲームと言うだけでいくつあるかもわからないくらい存在するのですから。
ですが調査を進めたことにより、白雪姫がこのんで狩場に選ぶのは、比較的女性プレイヤーの少ない一人称視点のシューティングゲーム、FPSだということがわかりました。
そして、自分が若い女性であることをわかりやすくし、かつ「落とし」やすくするために……ボイスチャットを使っている可能性が高いと思われます。
FPSの、紅一点のチームで、ボイスチャットを使っている。
これでかなり絞られては来ているのですが……それでもまだまだ該当するチームは膨大でしょう。
もう少し絞りたいと考えるのが当然なのですが、ここで剣崎はとんでもないことを言い出すのです。
重さんはいろいろなゲーム内で、ボイスチャットについて「ベクターの捜査だ」と大々的に触れ回って探ってくれ。
若林は、女が一人はしゃいでいるチームを聞いて回れ、これも派手にだ。
そんな調査をしてしまえば、白雪姫が逃げてしまうのではないでしょうか!?
まるでこれでは捕まえる気がないようですが……
ですが、それこそが剣崎の狙いでした。
UNDOには、捜査へ協力しろとは言われたが、逮捕に協力しろとは言われていない。
今回はまんまと逃げてもらう、と言う!!
被害者が40人近い事件にもかかわらず、なぜか広域捜査にはせず、自分たち三人にだけ協力を頼んできたUNDO。
彼らが何か……重大な失敗の責任のようなものを自分たちにかぶせようとして要るのかもしれない。
剣崎はそう考え、何か事が起こる前に白雪姫に自分の管轄から出ていってもらおうと考えたのです!!
UNDOは敵ではないというだけで、味方とは限らない。
相手の腹の底が見えない以上、慎重になってもなりすぎるということない……と。
ですが、決して剣崎はまるっきり白雪姫を逮捕する気がないのかと言えばそうではないのです。
今までの話を聞く限り、白雪姫はおそらくガキだ。
案外あっさりぼろを出すかもしれんぞ。

その頃、白雪姫は夜の公園で一人、遊具で遊んでいました。
するとほどなくして、いかにもチャラい感じな二人の男が現れ、白雪姫をナンパしてきたのです!
どこかに遊びに行こうかと語りかけてくる男たちに、
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朝まで僕を愛してくれる場所ならいいけど、と返す白雪姫!!
男たちは大喜び、どっちが先かとジャンケンを始めるのですが、そのジャンケンの間をわざわざ通る人物が現れました。
その人物は……リンでした。
どうやら白雪姫とリンはここで待ち合わせをしていたようです。
男たちはがっかりして、さすがにお友達は朝までOKじゃないよね……とうなだれるのですが、白雪姫はあっさり大丈夫だよと答えちゃいまして。
喜び勇んだ男は、一回戦終わったら交代しようね、とリンの肩を抱くのですが……その瞬間、リンはその男の腹に思いきりひじ打ちをたたき込み、さらに顎に膝蹴りをぶち込みました!!
挙句に警察手帳を見せて、痴漢の現行犯で逮捕されるのがいいか、立ち去るのがいいかと迫り・……男たちを追い払ったのでした。

リンは白雪姫にこの土地を離れろとアドバイスするのですが、彼女は全く聞き入れる気がないようです。
この世界は、愛なんてあやふやなものが「ポイント」ではっきりわかる。
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結局「ここ」だよ、男の愛なんて「行為」だよ、そしてその価値は、見た目で決まるんだよ。
「向こう」でも愛が数字で見えたら、何も悩まずに済んだのに。
……白雪姫は今のところ逃げるつもりはないようです。
でも、いざってときはよろしくね。
そう言って笑い……白雪姫は自らの、愛を確かめる生活へと帰っていくのでした。


というわけで、白雪姫編が本格始動する今巻。
白雪姫はこの通り今一つ危機感にかける人物ですので、警察の網にかかってしまうのはもはや時間の問題でしょう。
問題はそのあと。
UNDOまでもが絡んでくる白雪姫包囲網から、リンは無事逃がすことができるのでしょうか!?

そして白雪姫を逃がす仕事が終わった後、物語は新展開へ。
UNDOの施設に襲撃をかけることとなったリンと切子なのですが、二人でその任務をこなすことはこんなんだと考えた「ママ」によって、新たな人物がこの物語の舞台に立つこととなります。
「雁金」の名を持つその逃がし屋、ママが呼びつけるだけあってとんでもない実力を有しています。
ですが、実力以上にその性格に癖があって……?
雁金の登場、そしてUNDO施設への襲撃。
物語が大きく動き始める今巻、そして今後……
ますます目が離せませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!