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今回紹介いたしますのはこちら。

「うしおととら 完全版」第4巻 藤田和日郎先生 

小学館さんの少年サンデーコミックススペシャルより刊行です。

さて、ずっと死んだと思っていた母が生きていると知ったうしおは、その真実を知るために北海道に向かうことになりました。
ですが登場した飛行機で、たどり着いた仙台で……と次々に妖怪や光覇明宗の刺客に襲われてしまいます。
無事には終わらないこの旅路、果たしてこの先に待っているのは……?


妖怪のメッカ、遠野でもやはり激闘に巻き込まれてしまったうしお。
妖怪相手でもできることならば戦いたくはなかったうしおにとっては、心身共に厳しい戦いとなりました。
ですが得るものも大きく、何故うしおの母が妖怪たちに恨まれているのか、その動乱のもととなった大妖の存在を知ることとなりました。
なんにせよすべてを知るためには、北海道の旭川に向かわなければならないようです。
とりあえず道路に出てどうするかと考えようとするうしおなのですが、ここでうしおととらがいつものように小競り合いを始めてしまうのです。
小競り合いに夢中になっていたため、二人は車道に出てしまったことに気づきません。
そこに車が通りがかりました。
あやうくうしおたちを轢きそうになってしまったその車は急停止!!
中から二人の男性が顔を出し、急に飛び出してくるんじゃねぇ!!と怒鳴ってきたのです!!
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……とはいえ、彼らも大学を休んでナンパ旅行に来ていまして、今もさんざん振られ続けてきたけど北海道に行けば何とかなる、などとロクに前も見ずに運転していたので……お互い様と言えばお互い様なのですが!
怒鳴られたうしおですが、ちょうどいいやとばかりに北海道方面ならどこまででもいいから乗せて言ってくれと懇願。
あの戦いのためにうしおの身なりがスタボロなせいもあり、その二人はいい顔をせず、乗せようとはしなかったのですが……
その時うしおが、仙台で落とした旅の費用が、二人の車の中にあるのに気が付くのです!
どうやら二人、うしおのお金を偶然発見してネコババしたご様子。
もちろん警察に届けるなんてことを考えはしないうしおではありますが、すでに大分お金を使われてしまっていることもありますから……このことをだしにして、二人に車に乗せてもらうことにしたのでした!!

二人の名前は香上と片山。
お金をネコババしたり、ナンパ旅行のために大学を休んだりといろいろアレな人物ではありますが、基本はノリのいいゆかいなあんちゃんたちのようです。
うしおとも割とすぐに打ち解けまして、三人仲良く青森に到着、旅館に泊まることになりました。
そこのおかみさんが28歳の美人未亡人だと知ると香上&片山の起源は最高潮になるのです!!

ところでこのあたりの町では、今大きな騒ぎが起こっていました。
女性ばかりを狙う、連続殺人鬼が現れているのです。
しかもその殺人内容はとんでもなく猟奇的なもの。
小学生の女子が学校帰りに襲われ……役場の人間や青年団が総出で探し回り、ようやく発見した野ですが……
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その遺体は……丸ごと引きはがされたその子の皮が、血だまりの中に靴も履いたまま落ちていた、と言うのです……
おまけに、もう一つその事件にはとんでもない話がありまして。
犯人を目撃した、と言う人物がいたのですが、その目撃譚がこんなものだったのです。
最初は犬か何かだと思っていたそれが、突然起き上がって、高く飛び上がった。
それは間違いない、あの「なまはげ」だって、と!!
しかもその目撃者はしっかりとその姿を見ていたようで、そのなまはげの首に鈴のようなものがかかっていた、とまで証言。
嘘や冗談で言っているようには感じられないのですが……

槍のことや自分の旅のことなんかを突っ込んで聞かれそうになったため、美味いことごまかして部屋から逃げてきたうしお。
すると、旅館の前でおかみさんの一人娘が道路に落書きをして一人で遊んでいました。
うしおが話しかけてもその子は何も反応せず、落書きを続けていたのですが……ある落書きについて言及したときにようやく反応が返ってきたのです。
このカッコイイのなんだ、オニか?とうしおがその落書きのことを尋ねると、少女はポツリと一言、こういうのです。
なまはげ、と。
あとになっておかみさんに聞いてみますと、まだ父親が生きていた時になまはげを描いてくれたことがあり、その思いでからかああしてなまはげの絵をよく描いているのだそうです。
学校で友達とも遊ばない娘を、おかみさんは昔の自分もそうだったが、と心配しているのですが……
そんなときのことです。
うしおは、旅館の壁に赤い羽の矢が突き立てられていることに気が付きます。
そう言えば小耳にはさんだニュースでこんなことを言っていたような。
連続殺人犯は、被害者宅にあらかじめ赤い羽の矢を刺していた、と……!!
その瞬間、旅館の中から響いてくるもの音と叫び声!!
湧き上がる嫌な予感を押さえきれず、走り出すうしお!!
槍を手にし、おかみさんの娘の部屋に飛び込むと……そこには、いたのです。
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娘を抱えた、なまはげが!!!


というわけで、なまはげとの戦いを描いたエピソードを収録した今巻。
このあと、なまはげの正体や、おかみさんとの関係などが明らかにされていきます。
一体なまはげは何者なのか?何故あんなおぞましい殺し方をするのか?新たな犠牲者が出てしまうのか……?
どうしようもない二人組と思われていた香上と片山の見せ場もある、悍ましさと熱さの共存した印象的なエピソードとなっていますよ!!
……アニメでは多分カットされると思いますが……!!

今回紹介した「おまえは其処で乾いてゆけ」のほかにも、今後の展開に大きく影響をもたらすエピソード、「童のいる家」「遠野妖怪戦道行」、そして一話完結のスピード感あふれるバトルが楽しめる「一撃の鏡」を収録!
今まで以上の激戦となるお話に、物語の全体像が見えてくるお話、のちの物語に絡んでくる人物の登場、うしおととらの絆がより強固になったことがわかる場面などなど、見どころの多い一冊となっているのです!!
もちろんカラー原稿の再現や「風雲録」も収録されていますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!