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今回紹介いたしますのはこちら。

「囚人リク」第23巻 瀬口忍先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

さて、犠牲を払いながらも極楽島脱獄作戦を成功させたリクたち。
ところが、ヘリを奪って会場で待っている船へ着陸、するという最後の最後で操縦していた周龍が全く別の方向へヘリの舵をとってしまいました。
そしてヘリが向かった先は……得体のしれない軍艦。
そこには、いやらしい笑みを浮かべる鬼道院が待ち構えていたのでした!!


抵抗するすべもなく、捕えられてしまったリクたち。
鬼道院は、取り押さえた周龍になぜ最後の最後で裏切ったのか、説明してやれと囁きます。
気安く話しかけるなとそれを振り払う周龍ですが……銃を突きつけられてしまってはどうしようもありません。
怒りに燃えるレノマ、呆然とするリク、そして戸惑うばかりの一同。
そんな皆の視線が集まる中で、周龍は語り始めたのでした。

敵対する組織のリーダーをぶちのめし、船を入手する手はずを整えた時のことです。
再び父親に電話をし、船の手配を頼もうとしたところ……電話口から聞こえてきた声は、父親のグループの一員のものではありませんでした。
父親は預かった。
いきなりそんなことを言い出すその声の主は、こう名乗ったのです
防衛大臣、鬼道院永周だ。
鬼道院は、その前に周龍がした、父親への逃走船の依頼の電話を傍受したのだと言います。
スラム最大のギャングである周龍の父親のグループ。
それを野放しにするほど警察は甘くない。
鬼道院はそう言うのですが……何せ周龍の父は歴戦のギャングです。
そう簡単に捕まるはずがない、と周龍はその言葉を突っぱねるのですが、電話口から突然「周龍か」という父親の声が聞こえてきたではないですか!!
それは確かに、周龍の父親の声。
まさか本当に捕まったのか!
明らかに動揺する周龍に、鬼道院は言うのです。
聞こえたか?父親を無事返してほしければ、取引だ。
……結果として……周龍は己の自由や仲間の未来と引き換えに、父親の命をとったのです。

事情を聴いたレノマは、完全に切れて周龍に襲い掛かろうとしますが、すぐに鬼道院の兵たちに取り押さえられてしまいました。
くそッたれが、絶対にぶっ殺してやるからな!という怒号に、周龍は苦虫をかみつぶしたような顔をすることしかできません。
もはや周龍にできることは、一刻も早く父親を解放してもらうことだけ……
早く親父を渡せ、早くしろ!
周龍は、ヘリの操縦室から父親の姿を確認していました。
だからこそ、最後の最後に着陸する決心をしたのです。
とっととあわせろと叫ぶ周龍に、鬼道院はよかろうと右手を上げると……兵隊たちに連れられ、周龍の父親が姿を現したのです。
が。
父親はベリッとその「マスク」をはがしたのです。
マスクがはがれて出てきたのは、見知らぬ男の顔。
その父親は、鬼道院の武かが変装したものだったのです。
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……そう、鬼道院は周龍の父親など捕まえてはいませんでした。
あの電話口で聞かせた声は、最初の周龍の電話を傍受したときに録音した声。
そして、2度目の電話に鬼道院が出たのは、電話局を抱きこんで特定の番号からの電話を統べて鬼道院に転送するように根回しした結果だったのです……!

鬼道院は脱獄計画のすべてを知っていました。
それなのに泳がせていた最大の目的は……鬼道院を権力から引きずりおろす可能性を持つ、マイクロチップでした。
いざとなればそれが世に出ても、もみ消すことができる権力を鬼道院は持っています。
ですが鬼道院は、ほんのわずかの憂いも消しておく用心深さをも兼ね備えていたのです。
おそらくチップを田中が持っているという結論に達した鬼道院、用心深い田中はチップをどこかに隠しているだろうとも予想していました。
ではそのチップを確実に田中が持っているときはいつか……?
それは、脱獄するときである!
そう考え、こうして脱獄させてから一同を捕まえたのです。
そして、田中の懐からチップをまんまと手にした鬼道院。
中を確認し、目的のチップであることを確認し……
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勝利宣言とともに、そのチップを……握りつぶしました。
鬼道院を倒すための唯一の鍵だったこのチップを破壊されてしまい、そして脱獄の道すらも潰されてしまった一同……
一同は兵隊たちに叩きのめされ、激しい雨の降りしきる中で心身ともにどん底に叩き落とされてしまいました。
そんな一同に、鬼道院はさらなる「特別な絶望」を与えるのです。
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お前たちの行く先は「地獄島」。
2度と日の目を見ない永遠の闇だ。
……地獄から脱した先に待っていたのさは、さらに深い地獄だったのです……


というわけで、脱獄計画が最後の最後に失敗してしまう本作。
今までやってきたことは、すべて鬼道院の思惑通りだったのです。
さすがの一同も、今回ばかりは絶望するしかありません。
鬼道院が一同を連れていくさらなる地獄とは一体どんな場所なのか?
その地獄島で、リクたちは鬼道院の野望のもとに朽ちていくしかないのでしょうか……
恐ろしい鬼道院の策略に打ちのめされた形になった一同。
ですが、犠牲となった椿のためにも、このまま諦めていいはずがありません!!
今までの極楽島以上に得体のしれない地獄島にぶち込まれてしまうリクたちは、まず立ち上がることからしなければならないわけで……
この鬼道院の王国、地獄島から脱出する糸口はつかめるのか!?
目の離せない新展開、果たしてそこに希望はあるのでしょうか!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!