ko0
今回紹介いたしますのはこちら。

「黄門さま~助さんの憂鬱~」第5巻 徳弘正也先生 

集英社さんのヤングジャンプ・コミックスGJより刊行です。

さて、助さんとして抜擢された進ノ助が、黄門さまや格さんを守りながら旅をしていく本作。
相変わらず黄門さまは、世直しの旅とは名ばかりの、自分の「刺激が欲しい」という欲望を満たすためだけしか考えておらず。
助さんの受難はまだまだ続きそうです!!


最近の黄門さま、調子に乗ってます。
それは、自分の手で刺客を何人か打ち倒してしまったから。
今まで守られるばかりだった黄門さまですが、自分で闘うというエキサイティングな経験に得も言われぬ興奮を感じてしまい、それ以来その快感を再び味わうことばかり考えているのです。
敬語のいない一人旅も面白いかもしれない、とほくそ笑む黄門さま。
そこで、もよおして茂みに座り込んでいた進ノ助に背後から杖で一突き!!
ですが、進ノ助は顔色一つ変えません。
それどころか、突き出した杖はびくとも動かず……!!
さすが剣士の剛力、黄門さまのうぬぼれもこれでとれるかと思いきや、
ko1
杖は進ノ助のお尻にずっぽりとはまり込んでいまして。
おまけにちょうどしているところでしたので、杖にアレが……!!
進ノ助はやむなくその杖を洗いに行くこととなるのでした。

ところでこのあたり、見渡す限り水田が続いています。
なんでも藩の新田計画により、山を越えた足の子からトンネルを掘って水を引き、大規模な開発をしたのだとか、
今も潤沢な水を送り続けている箱根用水。
3万人の工夫で掘ったというこのトンネルのおかげで石高は上がり、年貢の集荷や輸送をする商人も大儲けでました。
が、突然農民の数が増えるわけもなく、農民たちは過酷な労働を強いられているのだとか……
顔をしかめる黄門さま。
いつもは自分のことしか考えていない黄門さまも、さすがにこの状況にははらわたが煮えくり返っている……というわけではなく、戻ってきた杖に匂いが付いていないかよく嗅いで汁だけなのでした……

今日の宿はこの水田で大もうけした庄屋の家に決まりました。
本来ならば庄屋なんて旅の流れ者などと目はしないのでしょうが、何せこちらは天下の光圀公。
印籠を見せれば泊めてくれることでしょう。
権力をかさに着ているようでちょっぴり気恥ずかしいところはありますが、黄門さまの漫遊の旅は無駄遣いだとして経費を削減されてしまったばかり。
ここは少しでも節約しなければならないというわけです!
そんな黄門さま御一行を、陰から見つめている男二人が。
間違いない、怨敵光圀一行だ。
厄介な助さん・源さんさえ近くにいなければ、老いぼれ光圀の首などたやすく取れる。
他の浪人どものように正攻法で攻めるなど愚の骨頂……我ら兄妹に奇策がある。
そう言って彼ら菊野兄妹は笑うのでした。

無事庄屋の家で泊まることとなった黄門さま。
近くに言い温泉がわいているとのことで、さっそく入りに行くことになったのですが、源さんは胸騒ぎがするからと言って黄門さまの傍に残ることに。
圧送とばかりにさっさと行ってしまう進ノ助と格さん。
何も考えずおなか減ったとのんきなお花。
黄門さまは、一人でも自分の身くらいは守れるぞと不満げな表情……
源さんはやれやれとため息をつくしかないのでした。

温泉へ向かう道中、なんだか道端で苦しんでいる美女がいます。
下心丸出しの進ノ助、格さんを先に行かせて彼女の治療にあたります!!
刺客であるという考えもよぎりはするのですが、何せ進ノ助は言うまでもない腕利き!
格さんも何とかなると考えたのでしょう、気を付けてとだけ言い残して先に行くのでした。
ko2
美女は進ノ助を近くの空き家に連れ込むと……治療のはずだったのが徐々にエスカレートし、二人はくんずほぐれつ……関係を持ってしまったのでした!!

もちろん彼女は菊野兄妹の仕掛けた罠。
光圀によって版が取り潰されなければ、藩の側室だった彼女、その美貌は折り紙付きというわけ。
夢中になっている間に斬りつければ、と協力者の浪人は言うものの、菊野兄は非常に用心深い男。
相手は熊でも素手で倒すというんだから、今挑んでもやられるだけだと様子見を決めこむのです。
……ところが、なんだか予想以上に二人は大盛り上がりしてしまった様で、とっぷりと日が暮れるまで続けちゃったのでした!!

ようやく出てきた二人。
菊野妹、今夜止まる所がないから進ノ助の止まっている屋敷に自分も連れて行ってくれないかと尋ねてきました。
ひとのいい進ノ助はいいよ、と快諾……
これこそが菊野兄妹の奇策!
内部に侵入し、彼女は何を企んでいるのでしょうか!?

黄門さまたちは彼女を迎え入れました。
事情を聴くと、菊野妹は最初から黄門さま御一行だと知って声をかけたと言い出します。
それは、兄と父の敵を探し旅をしていたが先月運よく出会い、決闘の運びとなったものの、相手は多人数で待ち構えている、だから弱者の味方である黄門さまに助太刀を頼みたかった、という言い分です。
ですがそれはあまりに不自然。
仇討ち相手を探すだけでも一生を終えてしまうことも珍しくない江戸の世の中で、たまたま仇討ち直前に黄門さま御一行に出会うなんて!
おまけに菊野妹、明日半日だけ進ノ助と源さんを貸してくれ、という黄門さま御一行の強いところをピンポイントで指摘してくる始末で……
もはや全員罠だと見切っているはず。
それなのに……いや、それだからこそ黄門さまはこういうのです。
ko3
よろしい、2人を連れていきなさい、と!!


というわけで、まんまと罠に「かかりにいってしまう」今巻。
黄門さまの慢心は、この戦いにどんな結果をもたらすのでしょうか?
黄門さまに傷一つでもあれば、やとわれ従者である進ノ助たちはただでは済まないでしょう。
ましてや、殺されてしまうようなことがありでもすれば!?
考えるだけでもぞっとする結果が待っているようなこの状況で、進ノ助はなぜか余裕の表情。
美女と年ごろになれたことで気が緩み切っている、だけではないと信じたいところなのですが……
かつてないピンチを迎えているようなそうでもないような今回の事件、果たしてどのような展開が待っているのでしょうか!!

もちろんこの他にも注目のエピソード満載。
黄門さまが珍しく頭の切れを見せるお話や、医学の発達していなかったこの時代で異様なほどの医療技術を持っている医者をめぐるお話などなどが収録!!
徳弘先生ならではの、シリアスなお話でありながらどこかコミカルさを残し、真剣な場面でも容赦なく下ネタやらギャグやらを盛り込んでくる面白さは健在ですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!