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今回紹介いたしますのはこちら。

「鉄民」第1巻 菅原敬太先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。

さて、「走馬灯株式会社」を好評のうちに完結を迎えた菅原先生。
新作となる本作は、前作とはがらりと違う雰囲気の作品となっています。
ですが前作のような謎が謎を呼ぶ展開はばっちり継承しているのです!!


人口3500人の小さな島、沙々来島に住む高校生、滝沢実路。
入学して数か月たったその頃も、日常に頭を悩ませながら生活をしていました。
それと言うのも、彼女は様々な「恐怖症」に悩まされていたから。
一般的と言ってもいい「高所恐怖症」だけならばまだしも、人と面と向かって話すことのできない「対人恐怖症」もあって積極的に友達を作ることができません。
さらに、閉所恐怖症や暗所恐怖症、昆虫恐怖症……と、実に様々な恐怖症を持っていまして、毎日が恐怖との戦いなのです。

そんな彼女、弓道部に所属しています。
ですがその練習中にも、彼女は恐怖に苛まれているのです。
射る前に集中する……そうなると嫌でも視界の中に入ってくる矢の先端。
先端恐怖症でもある彼女は、集中しようとすればするほど、心がかき乱されてしまい……
どれだけ練習しても、上達はしないのでした。
そんな不向きにもほどがあるように思える部活に、何故ミロは所属したのでしょうか。
小学校のころから付き合いのある黒岩さんが所属しているから……と言うのもないではないでしょうが、最大の理由はやさしいイケメンの串田先輩が在籍しているからでした。
そんな串田先輩が駄目部員である自分の名前を憶えていてくれた、と言うだけでも心をときめかせてしまうミロは、夢見心地になってしまったのか、後片付けに手間取ってしまいます。
気づけば準備が終わっていないのは自分だけ、部室に鍵をかけて帰る係を仰せつかってしまうのですが……そんなときのことです。
部室の中に、鳴り響く携帯電話を見つけたのは。
一応画面を確認してみますと、表示されているのは「非通知設定」の文字だけ。
そのうち忘れた人が取りに来るだろう、とその時は見逃したのですが……

帰宅途中、串田先輩と少しながら会話ができたことに喜びながら帰っていますと、思いがけないものを見かけます。
それは、先ほどいじらずに帰ったはずのあの携帯電話!!
似たような別の携帯電話は野か、と考えながら恐る恐るその手に取り……今度は着信に出てみることにしました。
すると意外なことに、その携帯を忘れてしまったと言う明るい声が聞こえてきたのです。
彼女は携帯を近くの神社まで届けてくれないか、と一方的にお願いしてきたかと思うと、電話を切ってしまいます。
やむなくその神社に向かうと、再び電話がかかってきます。
電話先の声は、境内のほうへ来てくれと言ってきました。
従って境内のほうへ行くと……裏の森のほうに、ひとが立っているのに気が付きました。
電話先の声は、それは私じゃありませんと言うのですが……よくよく見ると、その立っている人物の下に、人が倒れているではありませんか!
立ち尽くしてしまうミロ。
すると……立っていた人物がゆっくりとこちらをむいたのです。
その顔は
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眼球が鈍く光る、とても人間とは思えない表情で……!!

その謎の男は、ミロに気が付くととびかかってきます!!
ミロは何もふぇきず押し倒されてしまうのですが、そこに神社に来る途中偶然出会った串田先輩が駆け付けてくれ。鞄で一撃して助けてくれたのです!!
この痴漢野郎、うちの部員に手を出したら許さないぞ、と叫ぶ串田部長!!
……すると、何ということでしょう。
謎の男の顔が「外れ」て……
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機械のような顔面が露出していたのです……!!

その場は何とか逃げ延びた二人。
あれは何だったのか、と一人寝室でおびえるミロに、あの電話が再びかかってきて、こういうのです。
奴らは人じゃない、鉄でできた「鉄民」なんだ。
すでにこの島の住民の10分の1は鉄民にすり替わってしまっている。
そして奴らは、目撃者を消しに来る……
一人になってはいけないという言葉に恐怖する見ろですが、心配なのは同じく鉄民の正体を見た串田先輩。
その予感が的中し、あくる日の放課後、串田先輩が屋上であの鉄民に教われているのを発見してしまうのです!!
慌てて屋上に向かうミロ。
ですが相手は鉄の体、ただの人間が立ち向かったところでどうにもなるはずがないではありませんか!
……ただの人間、なら。
ミロが鉄民の攻撃を喰らい、顔面を壁にたたきつけられたりしている間も、電話の相手はのんきに話を続けています。
とにかく奴らにあったら逃げることをお勧めします、任務遂行のためなら手段を択ばないみたいですから。
それとこれは余談なんですけど、ごくたまにいるらしいんですよ。
人間と入れ替わったはいいけど、自分が鉄民だということをすっかり忘れて、普通に生活している不良品がね。
……その声の主は、何も知らないふりをして……わかっていたのでしょう。
ミロが叩きつけられた顔面が……
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外れて、鉄民の素顔が露わになっていたことを……!!


というわけで、不可解な「鉄民」の実態を探っていく本作。
主人公であるミロが、「不良品」であるという衝撃の幕開けから物語は始まるのです!
その事実を知ったミロは、今までよりも激しい絶望に襲われることとなります。
自分が鉄民であることに気づかず、欠陥だらけの人間として生きているという滑稽さ……
そんな彼女の苦悩をよそに、この島に鉄民の魔の手がみるみると伸びていくのです!!
ミロは友人や串田先輩を守ることができるのでしょうか。
いや、そもそも今までのように生きていくことすらできるのでしょうか……?

その存在意義すらも謎に包まれている鉄民。
彼らの目的は一体何なのでしょうか。
それを探り、裏で手を引いているであろう何かを倒すことこそが最終的な本作の木手kぃになっていくのかもしれません。
ですが、物事というものはそんなに簡単に運ぶものでもありません。
島民の10分の1が鉄民に入れ替わっているという非常事態ですから、当然ミロ以外にも「気が付くもの」がいるわけで。
その気が付いた人物は、ただその鉄民に追われるだけの存在になるのか、それとも?
彼らはどう動いていくのかも注目です!

さらに本巻のラストでは、はやくもさらなる新展開を迎える大激動が!!
他の作品ならばもっとひっぱてから出てきてもおかしくないある人物の登場に、思わず声を上げてしまうこと間違いなしですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!