今回紹介いたしますのはこちら。
「二兎物語」第2巻 滝沢聖峰先生
リイド社さんのSPコミックスより刊行です。
さて、江戸の町で侍でありながら絵師を目指している白河と、そんな彼を支えるまりの生活を描いていく本作。
いまだ一流とは言い難い白河ですが、徐々に仕事が認められるようになっていき……
ある日のことです。
突然、まりが南蛮風の衣装に身を包んで帰ってきました。
なんだその格好は、と驚く白河ですが、なんでも貸衣装屋に借りてきたんだそうです。
趣味のコスプレ……ではなく、飴売りのアルバイトをするためにわざわざ!
実はただいま、白河とまりは絶賛金欠状態。
年末にはいつもお世話になっている森屋から仕事が入ると踏み、顔料を大量に買い込んだのですが……当てにしていた仕事はゼロだったのです!
とはいえそれは白河の腕が悪いから、というわけではありません。
正月に売り出す絵と言うのはお決まりの題材が多く、ほとんどがそれ専用の絵師に発注を済ませてあるとのことで。
白河は愕然、まりはそういうものはあらかじめ確認しておくものだとご立腹、というわけです。
侍である白河は、表立ってアルバイトはできません。
そこでまりが飴売りをすることにしたのですが、女性の飴売りと言うのはなかなか珍しく、存外好評でした。
そんな彼女の姿を見ていた民衆の中に、老人が一人紛れています。
その老人、南蛮衣装のまりを見て何か思ったようですが……?
まりがいつもの装いで家に帰ってくるのを、ゆうげの支度をしながら迎える白河。
ですがまりの様子はなんだか変です。
飴は売れたものの、変な人に声をかけられたんだそうで……
二人はその声をかけられた男の家にやってきました。
その家は、おおきな廻船問屋。
出迎えてくれたのはあの老人で、長崎屋半右衛門と名乗りました。
長崎屋は南蛮風のものが好きなのだそうで、あのまりのいでたちにときめいたとのこと。
そこで、自分の集めている南蛮風衣装を着て見せてくれないかとお願いしたのだそうです。
が、よくよく話を聞いてみれば、旦那さん、白河が絵師で南蛮風の絵を描くと言うことがわかり……射手もたってもいられなくなり、御足労願ったのだとか。
長崎屋は、そんな事情を教えた後、二人を奥の部屋へととおします。
そこにならんでいたのは、無数の西洋の家具や洋画!
いわゆるご禁制の品物ばかりがぎっしりと収蔵されていて、長崎屋はそれを眺めて楽しんでいたのです。
が、残念ながら彼は想像力が乏しく、洋画などを見て異国の人物を空想で思い描射て楽しもうとしても形になりません。
そこで考え付いたのが、まりに異国の服を着てもらうこと。
ですがそれも白河の存在を知って、もう一段登ったアイディアを思いつくのです。
それは、様相をしたまりの姿を、白河に西洋画に描かせる、というものでした!!
……ですがこの仕事、やすやすと受けるわけにはいきません。
何せこの部屋にあるものはご禁制のものばかり。
西洋画を描くことだけでもやばそうなのに、このご禁制のものがひしめく中で仕事をしていることがおかみにばれでもしたら!?
普通ならば断わるのが筋でしょう。
しかし、その仕事に対する報酬が半端な額ではないのですからそう簡単にはいかないのです!!
なんとその額……50両!!
10年は暮らせるその高額報酬に、貧乏な二人の目がくらまないわけもありません。
結局、二人は仕事を受けるのでした!!
……が、やはりその仕事は難しいものでした。
いや、技術的なものだとか、長崎屋が難癖をつけてくるとか、そう言うことではないのです。
まず、着慣れない南蛮の服を着させられ、身動き一つとれないまま長崎屋に見つめられ続けているまりのストレスが普通ではありません。
まるで座敷牢に閉じ込められて見世物になっているようで、これなら同じ見世物でも自発的に動いて回れる飴売りのほうがよっぽどましだ、とまりはモヤモヤを募らせるのです。
そして白河も不思議とこの状況が楽しめず。
いつもなら絵を描いているだけでも楽しめているはずの彼ですが、今回のこの絵はなぜか描いても全然と楽しい気分になれず……
長崎屋から提供された西洋の顔料も、発色が鮮やかで魅力的と言えば魅力的なのですが、少々毒々しいきらいもあり。自分の絵ではないかのような感覚にも襲われてしまうのでした。
さらに、いつも世話になっている森屋を通さないで仕事をしているうしろめたさ、人に危害を加える類ではないにしろ、犯罪に手を染めている罪悪感などにも苛まれ、仕事場からは慣れても心休まる暇もなく……
果たしてこの仕事、無事に終えることができるのでしょうか!?
というわけで、江戸の絵師の大変ながらも楽しみな日常を描く本作。
今巻で本作は完結となります。
紹介したエピソードの他にも、江戸の時代も現代でも問題となる「模倣」問題を描いたお話や、白河が春画に挑戦するエピソードなどが収録されていますが、二人のなれそめを描いたエピソードなどの見逃せないお話も収録されております!!
そしてなんといっても注目なのは最終回。
白河とまりの間を引き裂く、とんでもない大事件が起こってしまうのです!!
まさかの展開を迎え、クライマックスとなる本作。
その味わい深い物語運びと、感動必至のクライマックスはまさに必見!!
希望と、今後も続いていく騒動を予感させるエンディングまで目が離せませんよ!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
「二兎物語」第2巻 滝沢聖峰先生
リイド社さんのSPコミックスより刊行です。
さて、江戸の町で侍でありながら絵師を目指している白河と、そんな彼を支えるまりの生活を描いていく本作。
いまだ一流とは言い難い白河ですが、徐々に仕事が認められるようになっていき……
ある日のことです。
突然、まりが南蛮風の衣装に身を包んで帰ってきました。
なんだその格好は、と驚く白河ですが、なんでも貸衣装屋に借りてきたんだそうです。
趣味のコスプレ……ではなく、飴売りのアルバイトをするためにわざわざ!
実はただいま、白河とまりは絶賛金欠状態。
年末にはいつもお世話になっている森屋から仕事が入ると踏み、顔料を大量に買い込んだのですが……当てにしていた仕事はゼロだったのです!
とはいえそれは白河の腕が悪いから、というわけではありません。
正月に売り出す絵と言うのはお決まりの題材が多く、ほとんどがそれ専用の絵師に発注を済ませてあるとのことで。
白河は愕然、まりはそういうものはあらかじめ確認しておくものだとご立腹、というわけです。
侍である白河は、表立ってアルバイトはできません。
そこでまりが飴売りをすることにしたのですが、女性の飴売りと言うのはなかなか珍しく、存外好評でした。
そんな彼女の姿を見ていた民衆の中に、老人が一人紛れています。
その老人、南蛮衣装のまりを見て何か思ったようですが……?
まりがいつもの装いで家に帰ってくるのを、ゆうげの支度をしながら迎える白河。
ですがまりの様子はなんだか変です。
飴は売れたものの、変な人に声をかけられたんだそうで……
二人はその声をかけられた男の家にやってきました。
その家は、おおきな廻船問屋。
出迎えてくれたのはあの老人で、長崎屋半右衛門と名乗りました。
長崎屋は南蛮風のものが好きなのだそうで、あのまりのいでたちにときめいたとのこと。
そこで、自分の集めている南蛮風衣装を着て見せてくれないかとお願いしたのだそうです。
が、よくよく話を聞いてみれば、旦那さん、白河が絵師で南蛮風の絵を描くと言うことがわかり……射手もたってもいられなくなり、御足労願ったのだとか。
長崎屋は、そんな事情を教えた後、二人を奥の部屋へととおします。
そこにならんでいたのは、無数の西洋の家具や洋画!
いわゆるご禁制の品物ばかりがぎっしりと収蔵されていて、長崎屋はそれを眺めて楽しんでいたのです。
が、残念ながら彼は想像力が乏しく、洋画などを見て異国の人物を空想で思い描射て楽しもうとしても形になりません。
そこで考え付いたのが、まりに異国の服を着てもらうこと。
ですがそれも白河の存在を知って、もう一段登ったアイディアを思いつくのです。
それは、様相をしたまりの姿を、白河に西洋画に描かせる、というものでした!!
……ですがこの仕事、やすやすと受けるわけにはいきません。
何せこの部屋にあるものはご禁制のものばかり。
西洋画を描くことだけでもやばそうなのに、このご禁制のものがひしめく中で仕事をしていることがおかみにばれでもしたら!?
普通ならば断わるのが筋でしょう。
しかし、その仕事に対する報酬が半端な額ではないのですからそう簡単にはいかないのです!!
なんとその額……50両!!
10年は暮らせるその高額報酬に、貧乏な二人の目がくらまないわけもありません。
結局、二人は仕事を受けるのでした!!
……が、やはりその仕事は難しいものでした。
いや、技術的なものだとか、長崎屋が難癖をつけてくるとか、そう言うことではないのです。
まず、着慣れない南蛮の服を着させられ、身動き一つとれないまま長崎屋に見つめられ続けているまりのストレスが普通ではありません。
まるで座敷牢に閉じ込められて見世物になっているようで、これなら同じ見世物でも自発的に動いて回れる飴売りのほうがよっぽどましだ、とまりはモヤモヤを募らせるのです。
そして白河も不思議とこの状況が楽しめず。
いつもなら絵を描いているだけでも楽しめているはずの彼ですが、今回のこの絵はなぜか描いても全然と楽しい気分になれず……
長崎屋から提供された西洋の顔料も、発色が鮮やかで魅力的と言えば魅力的なのですが、少々毒々しいきらいもあり。自分の絵ではないかのような感覚にも襲われてしまうのでした。
さらに、いつも世話になっている森屋を通さないで仕事をしているうしろめたさ、人に危害を加える類ではないにしろ、犯罪に手を染めている罪悪感などにも苛まれ、仕事場からは慣れても心休まる暇もなく……
果たしてこの仕事、無事に終えることができるのでしょうか!?
というわけで、江戸の絵師の大変ながらも楽しみな日常を描く本作。
今巻で本作は完結となります。
紹介したエピソードの他にも、江戸の時代も現代でも問題となる「模倣」問題を描いたお話や、白河が春画に挑戦するエピソードなどが収録されていますが、二人のなれそめを描いたエピソードなどの見逃せないお話も収録されております!!
そしてなんといっても注目なのは最終回。
白河とまりの間を引き裂く、とんでもない大事件が起こってしまうのです!!
まさかの展開を迎え、クライマックスとなる本作。
その味わい深い物語運びと、感動必至のクライマックスはまさに必見!!
希望と、今後も続いていく騒動を予感させるエンディングまで目が離せませんよ!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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