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今回紹介いたしますのはこちら。

「弱虫ペダル」第38巻 渡辺航先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

さて、インターハイ初日の山岳賞争いを迎えた本作。
総北メンバーはいざ登りで勝負、というところでレース慣れをしていない坂道が後方で孤立、最後方で他の選手に進路を妨害されてしまうのです。
真波が先行する箱根を追ったのは、主将である手嶋!
総北最弱の凡人を自負する手嶋が、真波に太刀打ちできるのでしょうか……?


手嶋が出たことを知った坂道は、手嶋の言葉を思い出していました。
悩んだら、考えられる選択肢を全部考えて、一番最初に思いついたことをやればいい。
坂道が与えられていたオーダーは、「なるべく前に」「離れるな」だけ。
ですが、本来ここで出るはずのない出るということは、それ自体がメッセージなのだろう。
「山で待ってるから、追いついてこい」と言う!!
覚悟を決めた坂道は、今までの孤立して困惑していた人物と同じ者とは思えない気迫をみなぎらせます。
周囲で坂道を取り囲んでいた者たちも、その変貌ぶりに驚かされるのですが、そのあと坂道が言った言葉はさらに一同を仰天させるのです。
すいません、今から抜きます!
本来ならば、できうる限りの不意を突いて抜き去っていく、というのがこの集団から抜け出す最善の手でしょう。
ですが坂道は不意を突くどころか、これから抜くとわざわざ宣言したのです!!
坂道は、歌い始めます。
ノってきたとき、坂道は歌いながら坂を駆け上がっていく……
どうやらそんなことは知らない最後方の集団、何事なのかとあっけにとられる間もなく
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坂道においていかれてしまうのです!!
そうはさせまいと、3人が飛び出して坂道を抑えようとするものの、ここからが坂道の本領です!!
歌も盛り上がってきて……その顔は、笑顔に!!
スピードも一段とまし、あっという間に最後方の集団を置いてきぼりにしてしまうのです!!
ようやく本領を発揮した坂道は、猛然と順位を上げていきます。
最後方で足止めされた時間はおよそ5分。
到底先頭を走る手嶋と真波には追い付かない、最後方の集団は自分たちの仕事をしっかりこなした、と考えるのですが……
この猛追は、ひょっとしたら、ひょっとするのではないか?とも思わされる勢いで。
……ですが、その追走劇が順調に進んでいくでしょうか?
昨年1位の座をもぎ取った、いわばディフェンディングチャンピオンである坂道が、トップを狙って走って行く。
それをよしとしないものも、いないはずがないのです。
そんな坂道の前に現れたのは……
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御堂筋!!
彼は坂道に道を譲ってくれるのでしょうか?
それとも……!!

トップでは、手嶋と真波が今も走り続けています。
先行しているのは手嶋……ですが、ぴたりと後ろにつけている真波が余裕の表情を浮かべているのに比べ、手嶋は全力と言っていい力を出しています。
そんな手嶋に、真波は大丈夫ですか、無理してないですかと余裕の質問。
手嶋はと言いますと、無理してるよと素直に告白。
ですが、こうも言うのです。
お前が相手だ、しがいがある、と!
自分を評価する言葉にお礼を言いながら、真波は悠々と手嶋に並んできます。
その底知れない実力に、手嶋は寒気すら感じるのですが……そのおそれはおくびにも出さず、ちょうど向い風だったんだ、先頭を変わってくれるのか?と軽口で応戦するのです。
向かい風。
その言葉を言った後に、手嶋は自分で気が付きます。
このいろは坂、カーブ一つで進行方向がまるで変わるわけで。
間もなく差し掛かるヘアピンカーブを過ぎれば……向かい風は、追い風になる!!
それはもちろん、風を自分の味方にする真波も知っています。
この先のカーブを曲がったら前に出ますよ。
風向き逆になるんで!!
真波がそう言うということは……出すのでしょう、「羽根」を!!
手嶋は、今追いつかれたら追い風になった瞬間に一気に追い抜かれ、差を広げられてしまうと察知。
さらに無理をして激しくペダルをまわしていくのですが……そんな手嶋を、真波はいともたやすく捕え……披露するのです。
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真波必殺の、羽根を!!


というわけで、坂道の追走劇と、手嶋VS真波の戦いを描いていく今巻。
坂道はこのままいけば、少なくとも今泉たちのグループには追い付くはず。
トップ争いに絡めないとしても、このまま孤立した状態で初日を終えるよりは、数段状況はよくなるはずです。
しかし、立ちはだかるのはあの御堂筋。
一筋縄ではいかない、という言葉がこれほどしっくりくるものはいない彼ですから、坂道をこのまま見送るということだけはしないでしょう!
坂道と御堂筋、初日にして早くも注目のシーンとなりそうです!!

そして問題の手嶋VS真波。
実力さは明らかなこの戦い、手嶋に勝ち目はないかもしれません。
ですが、懸命に努力を続けてきた凡才である彼に、運命の女神がほほ笑む……ということもあるかもしれません。
イラッと来るほどの余裕を見せてくる真波に、食らいつくだけでも無理をしている手嶋……
心情としてはどうしても手嶋に頑張ってほしくなる所ですが、実際の戦いはそんな心情とは無縁のところで決まってくるもの。
果たして最後に笑うのは……!?
息をもつかせぬ、熱戦が待っているのです!!