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今回紹介いたしますのはこちら。

「至福の暴対レシピ」第1巻 西条真二先生 
講談社さんのヤンマガKCより刊行です。

さて、本作は料理漫画です。
西条先生で料理漫画と言えば、個性的すぎる主人公が読者をひきつけた名作、「鉄鍋のジャン」シリーズが思い浮かぶところでしょう。
しかし西条先生といいますと、バイオダーティでバイオレンスな世界を描いた作品や、もっとさかのぼりますと別名義で成年向け漫画を描いていたこともあったりと、様々なジャンルの漫画を描いた経験を持っています。
本作はそんな様々なジャンルの要素をギュギュっと詰め込んだ、西条先生の集大成ともいえる作品になっているのです!!


お互い大人になりましょうよ、今このビルは我々滝ノ川連合が管理しているんですからね。
オタクとはもう契約を更新しないって言ってるんです、すぐに立ち退かなければいけないんですよ。
駄々をこねるのはやめてほしいですな、そんなことをしたらもっと暴れますよ。
荒らされ放題のスナックの中で、こわもての男たちがスナックのオーナーを取り囲んで恫喝をしています。
周りにいるチンピラたちに、お前らの頼み方が悪いからこのオーナーはウンと言ってくれないんだ、ともっと派手にやれと促すのは、若頭である高坂です。
スナックのオーナーである雨音は、何も言わず恨めしそうに高坂を見ているだけ。
高坂は何怖い顔してるんですかとさらに囃し立てます。
何なら警察を呼んでもいいが、自分たち極道と喧嘩をするのは警察だって嫌がるぜと勝ち誇る高坂。
極道は、美味いものが大好きで、ケンカが好きで、負けることが大嫌い。
極道相手はめんどくさいぜ!と高笑いするのです!!
高坂は相当横暴でして、部下たちを平気で殴りつけてもっと声を出せと煽っています。
そのせいか、部下たちはみんな顔に生傷やら、鼻血やらをだしていました。
そんな様子を見ながら、黙々と料理を作っている男がいます。
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このスナックのウェイター兼料理人……曽我スギオ。
雨音が恫喝される様を見させられて面白く思うはずなどないのですが、それでも彼にはまず優先しなければならないことがあるのです!
誰であれ、怪我をしている人間を放っておけない。
今はまず彼らの治癒が先決だ。
そんなことを考えながら、曽我がしているのは料理です。
「ガツと大腸のスープ・カブと牛蒡といんげん入り」。
コラーゲンと鉄分を多く含んでいて怪我によく効く。
「血のソーセージ」、鉄分・芽根らるが豊富。
「トロトロ豚足」、コラーゲンが多く傷の治りを早める……
そんな数々の料理を、修羅場の真っただ中に配膳したのです!!
チンピラたちは突然出された料理に少し戸惑うものの、口にしてみればそのうまさに感嘆!
モリモリと平らげて行ってしまいます。
さらに曽我は料理だけで終わらず、天然の傷テープだという卵の薄皮をチンピラたちの傷に貼り付けてあげていき……
思いがけない手厚い看護に、チンピラたちは素直に曽我に感謝の意を表すのですが、今度面白くないのは高坂です。
一般人と極道がなれ合ってもいい思いはできないぞ!
そう言って、有無を言わさず思いっきり曽我の顔面に鉄拳を叩きこんだのです!!
その威力満点の一撃に、思わず押し殺したような悲鳴を漏らすチンピラたち、さらにその顔をムッとさせる雨音。
曽我は鼻血を吹き出してしまうのですが、ひるんだ様子はなし!
さすが殴り慣れている……でも、料理人も負けてはいないんですよ。
殴られた瞬間、曽我は高坂の口にあるものをつっこんでいました。
それは、抹茶味のチョコレートがスティック状になったお菓子。
抹茶チョコは怒りを鎮静化させる。
そう言った後、曽我は高坂にこう言い切るのです。
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慣れ合っているつもりはありません、だってこれは勝負なんですよ。
極道は美味いものと喧嘩が好きで、負けるのが嫌いと言っていましたが、料理人も実は同じなんです。
ただし料理人は拳では殴りません、料理で勝負します。
つまりボクの料理であなた方の怪我が治ったり、怒りが収まったりすればこちらの勝ちというわけで。
よってこの場は、美味いものを作ったボクの勝ち、となります!!
勝手な理屈で勝利宣言をした曽我。
とはいえ、高坂の今日がそがれてしまったのも事実……
地上げはあきらめないぞ、と言い残して去っていく高坂達。
むかむかが収まらない雨音は、寄せばいいのにその背中に一発キックをかましちゃいました!!
先ほど曽我が殴りつけられた仕返し、ということのようです!!
幸い高坂達はほっとけとそのまま退散してくれました。
曽我ももちろん雨音が自分のためにキックしてくれたことを分かっています。
……荒らされた店内、小馬鹿にされた雨音、殴られた曽我、まだ続くであろう地上げ。
このまま引き下がるはずもなし!!
曽我の逆襲が始まるのです!!

高坂は、和食の料亭で滝ノ川連合の組長の妻と、地上げの進行状況の確認がてら夕食をとっていました。
うちの人が「おつとめ」中に少しでも資金を増やしておきたい、と言いながら箸を進める姐さん。
そのたわわな双房に、高坂の視線は釘づけ。
とはいえ敬愛するトップの奥さんなわけですから、おかしな考えはパッとシャットダウンし、旦那の留守中の姉さんは俺が守る!と誓うのでした。
ところでこの和食料亭ですが、なんでも内臓フェアをやっているとのことで、出てくる料理は珍しいものばかり。
「脳花」と名付けられた豚の脳のフライ。
牛のあそこを料理した「牛鞭の煮込み」。
「5種の内臓肉のからめソバ」。
どれもこれも珍しい料理ですが、味はすべて絶品!!
次々に二人は口へと料理を運んでいきます!!
この料亭、よほど腕のいい料理人がいるのでしょうか?
……実はこの料理を作っている人物
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……曽我スギオです!!
料理人のネットワークを使い、彼らが食事することを聞きつけて料理させてもらいにやってきた曽我。
料理は世界を動かす。
そう豪語する曽我が作ったこの食事に隠された意味とは……!?


というわけで、グルメ、エロス、バイオレンスの三要素が混ざり合った作品となっている本作。
本作は西条先生がわりと使う、一見弱そうなビジュアルの主人公が、実はすごい過去やら能力を隠し持っていて、高圧的な敵をやっつけるもの。
本作ではそんな曽我の能力と、なにやらバイオレンスだった過去を徐々に明かしながら、トラブルに立ち向かっていく形になります。
この事件を皮切りに、反社会勢力と次々に争うこととなってしまう曽我。
暴力は振るわないと決めた彼ですが、彼の作る料理の効果はもはや暴力!!
見るからにおいしそうな料理が秘めた魔性の力をご堪能ください!!

そして敵役となる個性豊かな悪党どもにも注目。
悪人っぽいキャラには定評のある西条先生ですが、今回の敵もかなり強烈な人物ばかり。
分かりやすいほどに悪い悪役達の、悪逆非道の行いがまた主人公のすごさを引き立ててくれますよ!!
キャラクターと言えば、もはやおなじみのすごいお胸を『装備した女性キャラもお話に花を添えています。
組長の奥さんに至っては、ものすごい勢いであられもない姿をさらしてくれますし、喪部的な女性キャラのエロスなシーンがたっぷ理用意されていまして、そっち方面の供給も十分ですよ!
今のところ一言も自身の口からセリフを発していない雨音がいつセリフを口にするのか、最後までそのキャラを貫くのかも微妙に楽しみなところです!!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!