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今回紹介いたしますのはこちら。

「コーポ失楽園」 五十嵐正邦先生 
講談社さんのマガジンKCより刊行です。

五十嵐先生は07年に赤塚賞で佳作を受賞し、08年週刊少年ジャンプに読み切りを発表してデビューした漫画家さんです。
デビュー後にしばらく空白期間がありましたが、14年に本作を初連載。
この度単行本発売となりました。

さて、本作はざっくりいうとラブコメです。
ある女性を振り向かせるために、ある男性がサブキャラに振り回されながら奮闘する……と言う、比較的よくあるタイプの作品なのですが、その男女というのが物凄い人物でして。
一体その人物とは!?


光あれ、と神様がおっしゃられてから6日後。
世界が作り出され、地上には楽園「エデンの園」が出来上がっておりました。
そこにすむのは、神様が作り出した一組の男女……アダムとイブ。
永遠の命、無限の食べ物……何不自由ない楽園での暮らしを送っていたアダムとイブですが、神様からは一つだけ禁じられていることがありました。
それは「禁断の果実」を口にすること……!
アダムとイブは、その言いつけを守りました。
守って守って、守り抜いて……
46億年ほどの月日がたったある日のこと。
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イブさん、思いっきり禁断の果実を食べてしまっていたのです!!

きっかけは20分前。
青い空、白い雲、澄んだ空気。
46億年変わらないこの風景毎日見ても……さすがに飽き飽きです!
食べ物は毎日毎日果物ばっかり、空もきれいなだけでバリエーションが少ないし、動物たちもたくさんいるといってもそれ程もつもんじゃありません!
だだっ広いエデンの園にこだまする、「ヒマだ!」の声……
そんなアダムのもとに、イブがやってきました。
またつまらない病?と心配してくれているイブですが、その気持ちはありがたいものの、だからと言って退屈が緩和されるわけじゃありません。
何か刺激はないのかとごねるアダム、そこでイブが提案したのはアデリーペンギンの交尾でも見に行くか?というちょっとアレなイベントでした!!
なんかイブさん、動物の交尾を見るのが大好きなようです……!

草原に並んであおむけに寝転がる二人。
アダムはイブに、こんなところに俺と二人ゴロゴロする生活って嫌にならないか?と尋ねるのですが、イブはこの暮らしが好きだし嫌だと思ったことは一度もない、アダムがそばにいれば幸せ、と満面の笑みをこぼします。
それでもアダムは、こんな怠惰な生活をしていたら頭が錆びついてしまう、何か大きな刺激が必要だともらし……ついに決意するのです。
禁断の果実を、食べよう!!

木に登って果実をもぎ取ってみたものの、さすがにそのあとはちょっとためらいます。
もぐなとは言われていないと強がるアダムですが、イブはきっと毒があったりするんだよと及び腰。
そこでアダムはイブの鼻先にグイグイ果実を押し付け、めっちゃいい匂いだから嗅いでみろと持ち掛けると……瞬く間にそのいい匂いにメロメロになってしまうのです!!
エスカレートしてきた二人は、次に果実の表面をなめてみます。
なんだこれ、超うまい、と驚愕するアダムですが、イブのはまりっぷりはそれどころはありません!!
一心不乱に果実をペロリまくり、もうアダムの声も満足に聞こえていないようで。
楽しみはあとに取っておこうぜ、俺たちに残された最後の娯楽なんだから、といったん話題を変えようとするのですが……もうその時にはイブさん、果実にかぶりついていたのでした!!

果実を食べた瞬間から、イブに変化が現れます。
今までにはなかった羞恥心が芽生え、アダムや自分の半裸の格好を恥じるように。
まだ食べていないアダムは何が何だかわからないまま戸惑っていますと……イブ、パッとその姿を消してしまったではありませんか!!
うろたえていますと、そこに神様がやってきます。
神様は果実の件で怒り出すのですが、その内容は禁断の果実を食べるの遅すぎだろ!!というものでした!!
イブは禁断の果実を食べたことによって、エデンの園の外に飛ばされたんだ。
本来なら自発的にアダムが食べるのを待ちたかったが、そうも言っていられない、さっさとお前も果実を食べてイブを探してこい。
そう言ってアダムの口に果実を叩き込んだのでした!!!

気が付いたアダムは、人でごった返すスクランブル交差点の中央に全裸で寝っ転がっておりました。
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突如現代の日本に放り出されたアダム。
イブを探すどころじゃない……と言いたいところですが、そこにサポート役の天使、ミカエルが現れてアダムを助けてくれます。
とはいえミカエル、こちらの世界の常識を全く知らないアダムをだまして滑稽なことをやらせ、ほくそ笑むようなアレな人物でして……
なんにせよ、イブ探しに協力はしてくれるミカエル。
アダムは割とすんなりイブを発見することができたのですが、なんとイブ、アダムよりほんの少し前にこの日本にやってきたはずなのに、まるで今までの人生を普通に日本で過ごしてきたかのようにふるまっているうえ、アダムのことをきれいさっぱり忘れ去っていたのです!!
その挙句、なんと……
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彼氏持ち!?
結ばれるはずの二人の前に聳え立つ、とんでもない試練!!
果たしてアダムとイブは、ちゃんとアダムとイブの関係に戻ることができるのでしょうか!?


というわけで、アダムとイブが主役となったラブコメとなっている本作。
基本的には世間を知らないアダムがミカエルにいろいろ弄ばれながらも、イブにアレコレアタックしていく内容となっております。
が、あまりにも世間を知らないアダムのやることはとにかく裏目裏目に出てしまいまして……
何かと言えば服が脱げ、好きだっただろうと言いながらペンギンの交尾を見せたりする。
そんな行動をとれば、普通の女性ならばドン引き間違いなしなわけですが!?
さらに物語はイブの記憶を操作した敵役(?)にも焦点が当てられたりもします。
一体なぜ、何が目的でイブの記憶を奪ったのか?
その理由は意外なものでして……
そしてドタバタの末に向かえるクライマックスは、なんだかんだおさまりのいい感じの展開に!!
バカバカしい笑いが楽しめる本作ですが、ほっこりとした気持ちで読み終えられること間違いなしですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!