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今回紹介いたしますのはこちら。

「僕のヒーローアカデミア」第1巻 堀越耕平先生 
集英社さんのジャンプ・コミックスより刊行です。

堀越先生は06年に少年ジャンプの漫画賞を受賞しデビュー。
10年に「逢魔ヶ刻動物園」で初連載を勝ち取るものの、全5巻で打ち切りとなってしまいます。
その後12年に「戦星のバルジ」を連載しますがそちらもあえなく打ち切りに……
そして14年に以前読み切りで描いた「僕のヒーロー」を元にした本作を連載開始。
この度単行本刊行となりました。

さて、本作はそのタイトルが示す通りのヒーローものです。
ですがかっこいいヒーローが主人公で、かっこよく敵を撃退していく、と言う作品ではありません、
ではいったいどんなヒーローものなのでしょうか!?


街の中で暴れまわる特殊な能力を持つ悪党、「敵(ヴィラン)」。
そして、そんなヴィランに立ち向かい、打ち倒していくのが……ヒーロー!!
そんなとんでもない光景が、日常化したこの世界。
すべてのきっかけは、中国で「発光する赤子」が生まれた事件。
それ以降、世界には続々「個性」と呼ばれる超常能力をもるものが生まれるようになり……今となっては全人口の8割が何らかの特異体質を持つに至っていました。
そんな世界で、人気の職業はやはりかっこいい正義の味方で、金銭面でもナイスなヒーローです!!
中学3年生の少年、緑谷出久ももちろんヒーローを夢見ていたのですが……

出久のクラスでも、ほとんどの生徒がヒーロー科への進学を希望。
ですが、数ある学校の中でも名門中の名門、雄英高に進学しようと考えているものはほんの一握りです。
自他ともに認める実力者であり、この実力を持ってすれば歴史に名を刻むような、いま現在のアイコン的存在であるヒーロー「オールマイト」を超えると豪語する爆豪。
そして……出久です。
が、爆豪からすればそれが気に入らないのです。
なぜなら出久は、幼いころから自分がいじめ続けてきた……「無個性」の、とるに足らない存在だったはずなのですから。

トップヒーローたちは、学生時代から数々の逸話を残している。
ごくごく平凡な中学から、名門中の名門へ唯一進学を果たした。
そんな逸話が曇ってしまう、可能性があるんだから……一応、雄英を受験しようなんて考えるな。
来世にかけて、屋上からダイブでもすればいいんじゃないか?
そう言って、爆豪は出久に圧力をかけるのです。
幼いころからヒーローにあこがれ、様々なデータや分析を記してきたノートまで燃やされ、さすがの出久もまいり始めてしまいます。
そんなときによみがえる記憶も、辛いあの日の記憶ばかり。
幼い時からオールマイトにあこがれ、ヒーローになることだけを夢見てかじりつくように動画を見ていた出久。
そんな彼が、お医者さんからはっきり宣告された「何の個性も持っていない」と言う事実……
頭の中が絶望でいっぱいになっていながらも、それでもオールマイトの動画を見ながら「超かっこいいヒーローに、僕もなれるかなぁ」と尋ねる出久。
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お母さんはそんな彼を抱きしめ、泣きながらごめんねと謝り続けるしかなかったのです。

個性がないものでも、前例がないだけで絶対に合格しないというわけではない、周りの言うことなんて気にせず、上を見て突き進め!
そう自分に言い聞かせて学校から帰る出久。
ですがそこに運悪く、ヴィランが現れたのです!!
スライムのような流動体で、とりついた相手の体を乗っ取ることができるそのヴィラン、何者かに追われてここまで逃げてきたようで。
渡りに船とばかりに出久の体を乗っ取ろうとします。
意気ができない、力が入らない。
死ぬのか?だれか……!!
苦悶の表情を浮かべる出久……ですが、そんなときにこそやってくるものなのです。
本当のヒーローと言うやつは!!
マンホールから飛び出してきた男は、ヴィランのもとに飛び掛かり、ものすごい勢いで右ストレートを「空振り」!!
するとその風圧だけで、ヴィランは吹き飛ばされてしまうのです!
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現れたそのヒーローこそが……そう、オールマイト!!
オールマイトは手早く出久の安否を確認してサインまでしてあげて、さっそうと去ろうとするのですが、どうしてもオールマイトに聞きたいことのある出久は彼にかじりつき、ついていってしまうのです。
やむなく足を止め、ビルの屋上で話を聞くことにしたオールマイト。
出久が聞きたいこと……それは、個性がなくてもあなたみたいな最高のヒーローになれるだろうか?というものだったのですが……
その質問をした瞬間、目の前にいたオールマイトが、がりがりの骸骨のような痩せ男に変わってしまっているではないですか!!
うろたえまくる出久ですが、オールマイトは服をまくり上げて痛々しい傷跡を見せて説明してくれます。
5年前、敵の襲撃で呼吸器官の半分と胃袋を全摘出するすさまじいダメージを負い、その後遺症で今は一日3時間ほどしかヒーローとしての力を使えないというのです。
……プロはいつだって命懸け。
「個性」がなくたって成り立つ、とはとてもじゃないが言えない。
人を助けたいなら、警察官と言う手もある、夢を見るのも悪いことではないが、現実も見なくてはな。
そう言って、オールマイトは今度こそ去っていくのですが……
そこでとんでもないことに気が付きました。
先ほど吹っ飛ばし、捕獲したヴィラン。
その体を詰め込んでいた瓶を、落としてしまっていたことに!!

あきらめるしかない。
オールマイトにまでそう言われたんだから、と自分に言い聞かせて涙をこらえながら帰途についていた出久。
その最中、街中にできた人ごみに気が付きます。
その真ん中にいたのは、先ほど出久を乗っ取ろうとしていて……オールマイトが落として逃がしてしまっていたヴィランでした。
そしてそのヴィランに乗っ取られてしまっているのはなんと、爆豪!!
いくら中学生ながらその実力は半端ではない爆豪とはいえ、乗っ取られてしまっては手も足も出ません。
さらにその強すぎる能力が災いし、そんじょそこらのヒーローでは助けることができないのです!
あのスライムヴィランに相性のいいヒーローが来るまで待つしかない。
雑多なヒーローも含めた衆目がかたずをのんで、面白半分にヴィランと爆豪を見つめている。
出久は苦しそうな爆豪に、頑張って、ごめん、すぐに誰かが助けが来てくれるから……と心の中で謝りながら爆豪を見つめていたのですが……
爆豪の、苦しそうな……助けを求める顔が見えた。
その瞬間
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出久は考えるよりも先に、爆豪のもとに飛び出してしまっていたのです!!


というわけで、出久が挫折を味わい、そして立ち上がって歩き出していく様を描いていく本作。
大なり小なり特殊能力があって当然という世界の中で、持たざる者として生を受けた出久。
そんな彼が降りかかってきた残酷な現実にくじけず、彼なりに努力をしてヒーローを目指して訓練した矢先に、あこがれの存在からもあきらめるように言われてしまう。
あまりにも報われない出久ですが……それでも、彼の中にある正義の心、助けを求める人を救いたいという気持ちは陰らなかったのです。
そんな彼が報われないで終わってはいけません!
彼の決死の行動が、何を生むのか?
これが、出久が歩み始めるヒーローへの道の第一歩となるのです!!

今巻の後半からは、新キャラが続々と登場して物語が本格的に指導。
出久はどのようにしてトップヒーローへの道を歩むのか、それとも早々と脱落してしまうのか……?
苦難続きの道のりを、乗り越えるカタルシスと押し寄せる感動でドラマチックに描写!
ヒーローVSヴィランと言うバトルありきの構成の漫画であるものの、第1巻では戦闘シーンはほとんどなし。
それでもグイグイ引き込まれる展開が目白押しですよ!!
そして出久やオールマイト、そして新キャラクターたちも魅力的な人物揃い!
かわいい女の子からユニークなキャラ、様々な人物が物語を彩ります。
それらのキャラクターの活躍にも期待せざるを得ませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!