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今回紹介いたしますのはこちら。

「MURCIELAGO -ムルシエラゴ-」第3巻 よしむらかな先生
スクウェア・エニックスさんのヤングガンガンコミックスより刊行です。

さて、死刑囚の身でありながら、その類稀なる殺しの才能を買われ、相棒(?)のひな子とともに法で裁ききれない悪を裁いている紅守。
そんな彼女、今回のターゲットだと言って凛子という少女をさらいます。
凛子をひな子たちに任せて遊園地に遊びに行かせておきながら、自身単身は凛子の父が社長を務める会社へ。
紅守がの目的とはいったい?


紅守はいつもとは違う、警察らしい恰好をして社長と会っていました。
凛子の誘拐に関していろいろと聞きたいことがある、犯人に気取られないように一人で来た……と言う体で。
自分でさらっておきながら白々しく、メールやSNSなんかにも班員から連絡かもしれないから確認してみてくれ、と持ち掛ける紅守。
社長は早速メールを確認し、特に何もないようだと返すのですが……
その背後で、紅守は銃を取り出し、ゆっくりと社長の頭に突き付け、こんな質問をしたのです!
アンタに2、3質問があるんだよ、社長。
いや、仮面蒐集家サン。

仮面蒐集家(スキンコレクター)。
それは、10年以上前に世間を騒がした殺人犯です。
女性を殺し、
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顔面の生皮を剥いで持ち帰る。
あまりに残忍な犯罪を犯した犯人こそが……あの社長だったのです。
権力者の息子だったこともあり、極刑は免れて病院に収容。
10年前に退院し、その権力によって過去は末梢。
退院後は普通に暮らしていたようなのですが……
そんな仮面蒐集家が再び現れたのです。
10年以上の時を経て、8件も起きてしまった今回の事件。
一般には公表されていない顔の皮をはがすという手口、事件の時期も一致。
模倣犯では説明できないこの犯行、事件が再び行われ始めた数か月前にちょうど社長の妻が死んでいることからも、この時期にタガが外れてしまったのだろうと警察は考えていました。
ところが、8件中5件で社長にしっかりとしたアリバイがあることが発覚。
以前社長が最有力の容疑者であることは間違いありません。
が、これで他の人物が犯人である可能性も出てきました。
考えられるのは、社長が単独犯ではなく、協力者がいるという可能性。
そして犯行の手口や時期などを知っているであろう当時の被害者の遺族。
あるいは……社長の消された過去を知っているような、近しい人物……!?
妻が死んだ社長に残されている親しい人物といえば、まさか!?

その頃、ひな子は友人たちや凛子とともに流々家テケリリランドという正気度ポイントが削られていきそうな遊園地で遊んでおりました。
とにかくはしゃぎまくるひな子は全力で遊びまわっていたのですが……
夢中になるあまり、目を離すなといわれていた凛子のことを完全に忘却!
彼女を見失ってしまったのです。
そんな凛子ですが、迷子になって慌てているでもなく、一人で園内を歩いていました。
彼女は静かに、家族連れのお父さんを見つめています。
そしてそのお父さんが一人でトイレに入ると……彼女はそのあとに続いてトイレに入っていたのです。
お父さんが背後にいる凛子に気づいたとき、彼女はずっとカバンに入れていたウサギのお面をつけていました。
こんなところに入ってきちゃだめだよ、それウサギ?かわいいね、もしかして迷子かな?
やさしくそう声をかけるお父さんですが、帰ってきた返事は
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刃物による一撃だったのです!!
口元をほころばせ、息を荒げる凛子……!
やはり新たなる仮面蒐集家は凛子なのでしょうか?
そんなところに運悪く、何も知らないひな子の友人の一人、浮菜がやってきてしまいました。
まずいことに、妙なにおいがするからと男子トイレを覗いてしまったのです。
そこにいたのは……お父さんの顔の皮をはぐ凛子の姿!!
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彼女は知り合ったばかりとはいえ、一緒に遊んだお友達すらもその手にかけてしまうのでしょうか!?

そして紅守は、社長と交戦状態に入っていました。
社長が手にしていたのは、高周波ブレード。
分厚い強化ガラスすらもやすやすと切断するそのブレードは、触れた瞬間に何であろうとも裁断してしまいます。
つまりその攻撃は重心で受けることも厳禁、とにかく避け切るしかありません。
その戦闘技術も卓越されており、銃弾の軌道を見切ってブレードで逸らすほどの腕を持っている社長。
この狭い空間ではむしろ拳銃のほうが不利かもしれません。
紅守はこの戦いを制することができるのでしょうか!?


というわけで、仮面蒐集家を追うシリーズを収録した本作。
今巻でも本作らしい、女性たちのバイオレンスなバトルが繰り広げられていきます。
長い時を経てよみがえった、仮面蒐集家の真実。
正直言って社長のほうは何の憂いもなく(?)やっちゃってもいいような気もしないでもありませんが、問題は凛子です。
彼女が暴走したのはやはり父の存在でしょう。
彼女は本当に手の施しようのないほどに道を踏み外してしまっているのでしょうか。
少なくともひな子たちと触れ合っている間の彼女は、普通の少し物静かな女の子だったわけで。
凛子はこの後、友人をどうするのでしょうか。
そしてその現場を垣間見た、ひな子は……?
本能と血の匂いがまじりあい、混迷する本シリーズ。
一体どのような決着を迎えるのでしょうか!!

さらに幕を開ける新シリーズ。
気になる新キャラクターも続々登場し、紅守に関して重大な何かを握る人物の登場も示唆。
物語はこれからもどんどんと動いていきそうです!!