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本日紹介いたしますのはこちら、「瞬きのソーニャ」第2巻です。
作者は弓月光先生。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックスGJより刊行されました。

さて、ソビエトの作り出した人間兵器、ソーニャとその師にして父親代わりでもある元軍人、ザイツェフの逃避行を描く本作。
ジョン陣とは比較にすらなら無い身体能力を持つソーニャですが、戦いの経験や日常生活への溶け込み方などはまだ未熟。
ザイツェフの教えを受けながら逃亡の旅を続けていたのですが、その戦いの日々でザイツェフは痛手を負ってしまい……

ソーニャの元に刺客が現れます。
今度は現地住民が徒党を組み、報奨金欲しさにソーニャを捉えようとしているようです。
が、歴戦の兵士達であろうと歯が立たないソーニャを相手に、素人がいくら集まってもどうこう出来る筈もなく……
50万ドルの報酬を狙って襲撃したものの、それっぽっちでは割に合わないくらいの手痛い反撃をもらってしまった現地住民達。
ソーニャは虫の息になった刺客に、医者を呼んでやる代わりに依頼主を教えるよう迫りました。
依頼主は……CIA。
その時もじっとソーニャの動きを少し離れた場所からCIAの構成員が窺っていたのですが、その構成員はザイツェフが始末してくれていました。
海千山千のザイツェフからすれば、撮影するために来ていたような構成員を片付けるなど、赤子の手をひねるも同然です。
にもかかわらず、始末し終えた後のザイツェフの様子は明らかにおかしくて。
顔面は蒼白、息も絶え絶え……
ソーニャは慌てて、ザイツェフを世話になっている医者の元へ運ぶのですが……

以前襲われたときに受けた銃弾。
その破片が体内に残り、ザイツェフの体を蝕んでいたのです。
安静にしていればすぐにどうこうと言うことは無いかもしれません。
ですが、ソーニャを守る為に動き回れば当然……
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その事実を知ったソーニャはある決意を固めるのです。
驚くべきその決意の内容とは……!!

ソーニャは猛烈な勢いで英語を学習、そしてジャンボジェットの動物輸送のために部屋に潜りこんで密航。
さらに電車を乗り継いで、たどり着いたのは……ホワイトハウス!!
ソーニャはたった一人で、アメリカの中枢にまでやってきたのです!!
しかも都合のいいことに……いや、ソーニャにとってはここまで計算に入れていたことなのかもしれません。
小学生達のホワイトハウス見学ツアーが組まれていまして、その中の一人の少女とすり替わったのです!!
流石のソーニャもすり替わり相手の罪も無い小学生に、そこまで酷いことはしません。
さっと意識を奪った後、口をテープでふさぎ、両手足を縛ったあと、すり替わり相手の横にそっと目覚まし時計をおいて去っていきました。
当然すり替わったことに気がつく子どももいるのですが、そこは潜入なれしているソーニャです。
子供の心理もよくわかっていて、自分はCIAのエージェントで、特別任務のためにすり替わったんだ、秘密にしてねとうまいこと口車に乗せたのでした。

ソーニャはツアーに潜りこんでいる間に、ホワイトハウスのSP達の雑談から大統領がどこにいるかを突き止めます。
丁度その時、先ほど置いておいた目覚まし時計のアラームが鳴り響きます。
何事かと慌しく動くSP達。
その混乱の隙をぬって、ソーニャは動き始めます!!
人を無力化するのに最も適しているのは「目潰し」。
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だが、あんまりだと思うならば両方の親指を折ればいい。
銃をぬく人間は、拳を作らないから。
ソーニャに武術の手ほどきをしてくれた、中国の浪士の教えの通りSPたちを無力化していくソーニャ。
あっという間に大統領が会議をしている部屋に着き、中にいるSPや会議の相手をノックアウト!!
ソーニャはたった一人、力づくで大統領の元にたどり着いてしまったのです!!
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大統領は、ソーニャが誰で何のために来ているのか、まったく見当がついていないようです。
CIAにしつこく自分を追わせていたくせに、知らないと言い出す。
ソーニャは怒りを感じないでもないのですが、大統領からすればやってきた書類にサインをするだけの仕事のひとつだったのでしょう、仕方が無いといえば仕方ありません。
もう少し自分を襲ってきたCIAのことを話していくと、大統領もようやく記憶の片隅からソーニャのことを掘り出すことが出来たようで……
「ソビエトがスーパーマンを作っている」という眉唾物の情報は本当だったのか、と冷や汗を伝わせる大統領。
そんな大統領に、ソーニャは言うのです。
おじさんの国が私を追い掛け回すから、私の大切な人が苦しんでいるの。
私にかまわないで!!
その言葉に大統領は驚きを隠せません。
自分にかまうな、とお願いしに来るためだけに、こんなことをしたのか……?
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その驚きのつぶやきは、半分あっていましたが、半分は間違いです。
お願いじゃない、これは脅迫。
そう言ってソーニャは大統領の腕をねじりあげ、非情な通告をするのです。
権力者は現実の暴力に弱いって習った、それも確かめてみる。
私に優しくしてくれた人は、皆酷い目にあった。
おじさんも少しはその傷みを知ればいい。
そう言ってソーニャはクリップを取り出して折り曲げ、針金のようにまっすぐ伸ばし、
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大統領の小指の肉と爪の間に突き刺したのです!!
いきなり大統領へ拷問を始めたソーニャ!!
たった一人で乗り込んだホワイトハウスで、自分の「脅迫」を押し通すことが出来るのか?
大国の面目もあるホワイトハウスの面々は、このままソーニャを逃がすのでしょうか……!?

というわけで、単身ホワイトハウスに乗り込むエピソードを描いた本作。
感情のままに突き動かされたソーニャを待っているのはなんなのか。
大国の意地をかけた報復か、あるいは……?
ソーニャが自ら乗り込んだ、史上最大の相手のお膝元。
そこで起きた事件の顛末はどうなってしまうのでしょう!
息詰まる展開と、ソーニャの驚くべき力が描かれていくのです!!

この他、悪の組織に拉致されていた姉妹を救おうとソーニャが一人でアレコレと世話を行うお話や、とある人物の依頼で思いがけない人助けをすることになるエピソードを収録。
さらにそんなエピソードの中で、物語は大きく進展!!
あの人物がああなってしまったり、今後の鍵を握ることは間違いないであろう謎の人物が姿を現したり……
本作に収録されているエピソードも十二分に楽しめるものですが、物語の軸となる物が見え始めた今後も楽しみでなりませんね!!

大ベテラン、弓月先生の新境地「瞬きのソーニャ」第2巻は全国書店にて発売中です!!
この先も間違いなく引き込まれる展開が続くであろう本作。
刊行ペースがゆっくりなことが最大なネックですが……じっくりと次の感を待ちたいところです!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!