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本日紹介いたしますのはこちら、「刻刻」第7巻です。
作者は堀尾省太先生。
講談社さんのモーニングKCより刊行、モーニング・ツーにて連載されています。

さて、カヌリニの力を手に入れた佐河との攻防が続く本作。
その攻防の中、やむなく樹里は時の止まった世界、止界に出入りするために不可欠な本石を破壊してしまいます。
その行動がきっかけとなり、首謀者の一人だったはずの潮見もまた樹里達側に離反。
敵は佐河一人に絞れはしたのですが、これで止界から出る方法が樹里の能力で強制的に追い出される以外にはなくなってしまいます。
これはつまるところ、樹里自身がこの止界から出ることができない、と言うことを意味していて……

今まで敵であり、結果として樹里がこの世界からでられない決め手を作ってしまった原因でもある潮見。
じいさんが感情的になり、潮見の話を聞こうともせず殴りかかってしまうのも仕方の無いことでしょう。
ですが潮見がまた有用なのも事実。
なんと言っても佐河に最も近しい存在だったわけで、彼が今持つ能力を最も知っている存在なのです。
彼によれば、今の佐河の「他人を察知する」能力は、それが誰なのか、と言うことまではわからないそうです。
相手との距離が近ければ近いほど精度は上がり、100メートルほどの距離になれば人数や進行方向などがわかり始めます。
が、逆にどれだけ遠ざかろうとも存在と方向は悟られてしまうとか。
この動くものがわずかしかいないこの世界では、充分すぎるほどの性能です。
対して弱点らしい弱点といえば、栄養補給に気を使わなければならないこと、くらい。
栄養不足の状態で動けば、佐河の体内にいる力の源、タマワニが制御を超えて佐河を侵食してしまうのです。
……ですが、何故自分が消えてしまう危険まで犯してこんなことをするのでしょうか?
そもそも佐河が何を求めていたのか?
ついにその謎が、潮見から語られることとなるのです。
佐河の目的は世界制服だのと言った俗っぽいものではありませんでした。
人間の歴史、この宇宙。
その行く末を見届けるものとなろうとしているのです!
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今樹里達は、体の中にタマワニを宿し、その力によって静止しているように見えるほど極々短い「瞬間」にとどまって、本来ならば認識もできないほどの速さで動き、その動きに耐えることができています。
ですが佐河によれば、タマワニはその逆のことも出来る、と言うのです!
今停止しているように見える通常世界。
その逆、と言うことはつまり、通常世界からみて自分を停止しているようにできる……通常世界で自身を止者にできる、ということ!
それは本人からすればほんの一瞬待つだけで、未来へ移動できるのと同じこと。
そうやって未来へと移動を繰り返し、ほとんどうかがい知ることのできない百年後の世界での科学や文化の発達を、繰り返されてきた争いの顛末を……そしてもっともっと未来の、人類の終末を、次に現われる知的生命体、さらに発展して生命とは何か、宇宙とは何かを知ろうとしているのです!!
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佐河が目指しているのは、そういった真理の体感なのでした。

それならば、もう戦わないと交渉すれば争いは収まるのではないか?
樹里はそう考えます。
確かに世界に悪影響を及ぼさないのであれば、未来で何を見ようが何を知ろうが知ったことではありません。
家族の命を危険にさらしてまで戦うのはできることなら避けたいですから。
しかしやはりそれはできないと潮見は断言します。
通常世界での止者化は、まったく無防備な存在になるということ。
そうしている間に樹里達が心変わりして、命を奪われないとも限らないのですから。
佐河としては不安材料をひとつでも消しておきたいところ。
さらに、カヌリニの力を得た佐河はもう人間とはまったく違う存在になっていまして、交渉の余地もほとんど無いと潮見は推測します。
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「もう刺しませんから争いをやめましょう」と蚊にいわれても、信じて見逃すよりつぶしてしまったほうが早い。
佐河と樹里たちの間には、それぐらいの壁がある、と!

佐河に対抗できるのはもはや樹里の能力を置いて他にありません。
そこで、迫の提案によって、じいさんの能力で佐河の場所に瞬間移動し、奇襲攻撃を仕掛けようと言うことになります。
が、問題はじいさんの能力は、きちんとイメージを固めないとその場所に飛べないと言う制約です。
長年の知り合いでもなんでもない佐河の顔をきちんとイメージできるかといえば難しいわけで……
やむなくじいさんは樹里とともに、甥の真のところに飛ぶことにしたのです。
その瞬間移動は成功したのですが、その場ではとんでもないことが起こっていました。
佐河に殺害された、飛野の成れの果てであるカヌリニ。
そのカヌリニを、真が操って
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佐河を殴り飛ばしていたのです!!

というわけで、佐河の目的が判明した今巻。
佐河は確かに驚異的な力を持ってはいますが、カヌリニとしてはいわば半端モノ。
真が操るカヌリニならば、パワー的には一枚も二枚も上のはずです。
ですがなにせあの冷静で計算高い佐河。
ただパワーで上回っている相手に簡単にやられることは無さそうですが……?
そして物語は新展開へ!
謎に包まれていた佐川の過去が語られることとなり、事態は思いも寄らない方向へと進んでいくこととなるのです!!
予想ができない展開が続く中、さらに予想できない状態へと進む本作。
クライマックスは間近。
しかしそれがどうおさまっていくのかはまったく予測不可能です!
樹里達はどんな結末に望むこととなるのでしょうか!?

佐河との息詰まる攻防が描かれる、「刻刻」第7巻は全国書店にて発売中です。
もはやあらゆる意味で人間ではなくなりつつある佐河。
彼の齎す凶行を、樹里達は止めることはできるのでしょうか!?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!