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本日紹介いたしますのはこちら、「水木しげる漫画大全集 『ガロ』版 鬼太郎夜話 下」です。
作者は水木しげる先生。
講談社さんより刊行されました。

さて、水木先生自身による筆で貸本版墓場鬼太郎をリメイクした本作。
基本的に小悪党のような性格だった墓場鬼太郎版の鬼太郎に比べ、比較的「ゲゲゲ」の鬼太郎に近いマイルドな性格になっていまして、そのためお話のほうも若干マイルドになっているのが特徴です。
ですが今回リメイクされている部分は、鬼太郎がゲゲゲの鬼太郎らしい性格だと成り立たないようなお話ばかり。
そこでどうするかといいますと……?

鬼太郎はいろいろありまして、ニセ鬼太郎や縁深いサラリーマンの水木と一緒に暮らしておりました。
ですがただでさえ水木の高く無い給料で貧しながら暮らしていたと言うのに、急に家賃を倍に値上げする、と大家さんに言い渡されてしまったのです。
仕方が無いから今日からごはんを麦飯にしよう、と提案する鬼太郎ですが、それでも少したりなそうです。
となればもう、一食をコッペパン一個にするしかない、ということにせざるを得ないのです。
ですが何故かニセ鬼太郎は自分は2個食べると豪語します。
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何故なら、家計が苦しいなら働けばいい、と考えているからです。
確かにその考えは至極ごもっとも。
じゃあ働くことにしよう!と、鬼太郎もそれに賛同するのですが、ニセ鬼太郎は居候の分際でなんだか偉そうです。
いっておくけど、今時妖怪の子なんかを使う人はいないぜ。
間違いでも起こるといけないから家でじっとしてなよ。
したり顔でそう言い残し、ニセ鬼太郎はいずこかへと消えていくのでした。

どうも不景気なのは鬼太郎達だけではないようで、いい求人というのはなかなかありません。
求人を求めた挙句、とある大物実業家が「鬼太郎夜話」を読んでよく知っているから、と鬼太郎を雇ってくれることになりました。
その仕事とは、なんと借金取り!
人ならぬ鬼太郎ならば、普通の人間がいけないところにでも取立てに向かえるから、と言うことでむしろ鬼太郎を探していたらしいのです。
ちなみに報酬は、取立てに成功したお金の1割。
百万円取り立てられれば十万円。
ボロい!と鬼太郎はほくそ笑むのでした!!

鬼太郎が取り立てに向かったのは、「物の怪」と言う妖怪と、「水神様」と言う神様。
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50年ほど昔にそれぞれに1000円ずつ貸し付けたというのですが、今は利子に利子がかさんで1000万円になっているとか!!
200万円!と喜び勇んで取立てに行く鬼太郎、一ヶ月ほど探し回ってようやっと水神様の手がかりを掴みます。
それはとある村の祠。
ところが村人達が水神様にいノリを捧げている真っ最中に、鬼太郎がその祠に飛び込んでいって金を返せと請求書をたたきつけていくのですからたまりません!
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鬼太郎は村人たちにメッタメタにされてしまうのでした……

鬼太郎は気を取り直し、祠の中を改めたものの水神様の姿はなし。
近所の家に聞き込みをしようとしますと、そこで偶然ねずみ男と共同生活をしていた「物の怪」に出会います。
すぐさま取立てを開始する鬼太郎、金が無くてヒーヒー行っていた物の怪は逃げの一手です。
それを見て、ねずみ男は人が困っているとき助けないのが僕の趣味だ、と笑っているばかり……
あまりにも必死逃げていた為、物の怪は肥溜めに落ちてはまってしまったのです!!
何でも言うことを菊から助けてくれ、とうめく物の怪。
流石にこれを見過ごすのは人道的によくない、と鬼太郎は物の怪を助け上げ、沐浴を勧めるのです。

落ち着いたところで取立てを始める鬼太郎ですが、物の怪は本格的に一文なし。
じゃあ直接金を貸してくれた実業家のところへ行こう、と促すのですが、おめおめとかねの無いまま金貸しにあって無事に済むとも思えません。
何とか話し合いで行こうと言う物の怪を相手に、じゃあ水神様のことを知っているかと聞いてみる鬼太郎。
すると1000年以上生きていると言う物の怪だけあって、なんと水神様のいる場所まで知っていると言うではありませんか!!
じゃあそこに案内してくれれば君のことは黙って居てやる、と条件を出して水神様の元へ連れて行ってもらうことに。
水神様は恐ろしい存在なんだ、と怯えながらも、物の怪は借金のために案内してくれることになりました。
七つの山と七つの森を声、ようやくたどり着いた水神様の住居。
あたりには無数の人骨が散らばっていまして、それは皆今まで水神様に食べられてしまったものの慣れのはてだだと言うのです!!
コッペパン生活から逃れるため、危険な場所に突っ込む決意をみなぎらせる鬼太郎。
その決意にほだされ、物の怪は100年前天竺から持ってきたと言う痺れ薬を鬼太郎に渡してくれました。
これで水神様をしびれさせてから取り立てに挑めば安全と言うわけです!
借金のことを黙っているかたとばかりに痺れ薬をタダでちょろまかした鬼太郎、水神様の寝床へとやってきます。
水溜りから聞こえてくる、大きないびき。
どうやら水神様、眠ってらっしゃる。
ここぞとばかりに痺れ薬をさらさらと流し込み、借金取りたてを始めます。
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が、水神様からは返事がありません。
とは言え水神様は水なわけで、体が透明なため、体内に持っていた財布が丸見え。
鬼太郎は笑いながらそれを拾い上げるのですが、中身はカラでした。
勝手に財布を奪われて水神様は起こって体を波立たせますが、痺れ薬が効いていて動けません。
そこで鬼太郎、このままおめおめとは帰れない、ところ天の材料ぐらいにはなるだろう、と水神様の体を一滴残らず吸い取ってビニール袋にいれ、持ち帰るじゃありませんか!!
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ともかくこれを実業家のところへ持ち帰ればよしと考えたのでしょう。
ですが、少し目を話したスキに水神様の姿は消え去ってしまっていたのです!
物の怪は、きっと水蒸気になって逃げたんだと分析。
このままではきっとお前やられるぞ!と鬼太郎に忠告する物の怪ですが、鬼太郎はぴんと来ないようです……

結局ニセ鬼太郎も成果なく帰ってきて、鬼太郎も取り立ての成果無しでクビになってしまいました。
いつも通りの生活に戻ったといいたいところですが……そこに水神様が復讐にやってきたのです!!
水神様は、水の姿ならばどんな形にもなれるようで。
時には豪雨となり、時には水道水に混ざり、その水分に触れたとたんに対象を水のようにドロドロに溶かしてしまう恐ろしい力を持っています!
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果たして鬼太郎は、この姿の見えぬ恐ろしい魔の手から逃れることは出来るのでしょうか!?
コッペパンひとつの生活から脱出することができるのでしょうか!!

というわけで、完結となるガロ版鬼太郎。
水木先生めんどくさくなったんでしょうか、もう鬼太郎の性格とかあんまり考えていないようです!!
流石にあの水神襲撃の場面で繰り広げられた名シーン、「じゃ」はなくなっておりますが、なんかもうほとんど墓場鬼太郎版の小悪党鬼太郎同然になってます!!
ですがそこはそれ、これはこれで面白いから問題なし!!
後半ではもともと2つだったエピソードがひとつにまとめられて再構成されているなど、本作ならではの見所も用意。
いろいろな意味での水木先生らしさが堪能できる、屈指の名編と言っていい……かもしれません!!

初の単行本完全収録となる、「水木しげる漫画大全集 『ガロ』版 鬼太郎夜話 下」は全国書店にて発売中です!!
すっかりゲゲゲ風のいい人モードを諦めたガロ版後半。
時代も時代ですし、何より水木先生ですからなんの問題もなし!!
そういったもろもろも含めて楽しめる一冊ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!