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本日紹介いたしますのはこちら、「水木しげる漫画大全集 コケカキイキイ 他」です。
作者は水木しげる先生。
講談社さんより発行されました。

さて、本作は66年から12年にかけて「週刊漫画サンデー」「文藝春秋漫画読本」をメインに発表した作品を集めた一冊です。
表題作をはじめとして、33編もの作品を収録しているのですが、その内容は風刺モノをメインとして、自伝的作品から水木先生が意外とよく描く世直し的な作品と、大人向けなものばかり。
どれをとっても見所たっぷりな本作ですが、やはり今回紹介したいのは表題作「コケカキイキイ」。
謎過ぎる「神」、コケカキイキイの数奇な旅路を紹介したいと思います!

風雨吹き荒ぶ荒野。
ここに、今まさにその命を尽きさせようとしている老婆がはいずっておりました。
戦争によって家族を失い、天涯孤独となった老婆は廃坑の穴で暮らしていたのですが、どうやら病に冒されてしまったようで。
臨終の前に医者にかかろうとして廃坑を出たものの、力尽きてしまったのです。
ですがこのまま野ざらしになると言うのも無念すぎます。
その時目に付いたのは、荒れ果てた空き家。
あそこで最期を迎えよう。
老婆はそう思い、最期の力を振り絞って空き家の中へと潜りこんだのです。

その空き家の中には、なんの運命の悪戯なのでしょうか、今まさに最期を迎えようと言う生き物が他に3種おりました。
母親が薬物を飲みすぎたため生まれつき体が弱く、こんな体ならば死んだほうが幸せだろうと言う勝手な思い込みの元に捨てられた哀れな赤子。
排気ガスにやられて弱ったため、飼い主に捨てられた老猫。
そしてその不幸な猫にたかっていたシラミの夫婦……
期せずして一緒になった、4組の生物の死。
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それらの死にたくない、生きたい、という願望を天上の神が感じ取ったのかも知れません。
突然変異とか、保護色とか言うもので弱き者を助けるように、その命を助けたのか。
それらの命をひとつの強力な生き物へと生まれ変わらせたのです!!
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コケカ、キイキイ。
そんな泣き声とともに、それは生まれたのでした!!

その泣き声を聞きつけたのは、近くに住んでいるその空き家の持ち主でした。
ヘンな泣き声が聞こえるが、何か住んでいるならば家賃をもらうのがこの国のしきたりだ!と言い放ち、ガチで家賃を受け取りに言ったのです!!
ところがなかにいるのがあの謎生物だからビックリ。
でもビックリしつつもその家主、人の家に入るなら挨拶ぐらいしろ!と高圧的に迫ったのでした!
するとどうでしょう、謎生物は
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その家主を絞め殺したのです!!
おいおい、やばい生物じゃないですかこりゃ!!

コケカキイキイはその奇怪な泣き声を上げながら、森へ入っていきました。
そして森に入ると、ひたすら立ち並ぶ木々と会話しております。
たまたまそんな様子を目撃した近くの村の子供、太吉。
彼は直感的にコケカキイキイを神様だと感じ、村に招きいれようと考えます。
するとコケカは妙な言葉を呟きながら、太吉についてくるのでした。

いきなりやってきた謎生物に、村の人々は怯えまくり!
そんな神様なんているか、と遠巻きに見ていたのですが、そこで村の古老が触らぬ神に祟り無しだ、といい始めまして。
追い出すわけにも行かないと、干してあった大根をコケカにたっぷりと振舞った後、神社はこんなときのために空き家になってるんじゃないか?という独自理論の元に神社へ案内するのでした。

とは言えこのまま放って置くのも怖いです。
街から有識者を呼びまして、コケカの正体を探ってもらうことにします。
最初は猪の奇形か何かだろうと笑っていた有識者ですが、木と会話しているコケカを見るとビックリ!
これは新種だろう、生け捕りにしてしっかり調査してもらおう!と態度を一転させたのでした!
ところがそう言い出した瞬間、有識者の近くの木がひとりでに動き始めました。
木は有識者に絡みつき……最終的には締め上げてやっぱり殺してしまいます!!
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恐るべしコケカ!
有識者をつれてきた村の校長先生、このままではヤバイと感じ、消防士に殺してもいいから何とかしてくれとお願いしました。
ですが彼らがコケカに触れると、たちどころにおびただしいシラミに襲われてしまい……
あえなく退散と相成るのです。

改めて、恐るべしコケカ。
村は次第に植物に占領されだして行き、村人は恐れをなして村を逃げ出していきました。
こうなると、最初にコケカを村につれてきた太吉が怒られます。
妙なものつれてくるから人が逃げてくじゃないか!と親父さんに怒られる太吉ですが、太吉はアレは神様だよ、と悪びれず。
そんなやり取りをしていますと、突然村中に半鐘の音が響き始めました。
神様が森から動き出したぞ!!
一体やつは何をする気なのか!?
怯える村の人々を尻目に、太吉は自分からコケカの元に走り、尋ねてみるのです。
カミサマどちらへ?
するとコケカは、一言返しました。
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トウキョ ユク。
……このバイオレンスなカミサマが東京へ!?
一体花の都東京はどうなってしまうのでしょうか!?

というわけで、奇怪すぎる生物、コケカキイキイがとんでもない事を起こす表題作を収録した今巻。
この独自の基準による悪人センサーにひっかかると容赦なくぶっ殺してしまう恐ろしいコケカさんが、東京でもっととんでもないことを巻き起こしてくださいます!!
そのとんでもない出来事とはなんなのか?そしてコケカさんのその後は?
水木先生の持ち味が存分に発揮された作品となっています!
そしてこの後、コケカさんが様々な存在と戦う外伝もあわせて収録!
外伝と銘打たれているのに、こちらはコケカさんの行く末を最後までしっかり描ききった、ちゃんとした続編になっています!!

この他、学生時代に焦点を当てた自伝的作品「落第王」、エロスなのを描いてと頼まれていたらしいために描いたろ言うエロスシリーズ、「エロ河童」「エロだこ」、そしてたっぷりの風刺シリーズなどなど、様々な方面に見所満点!!
妖怪退治以外の水木先生の魅力が、ギュギュッとつまりまくっていますよ!!

表題作他、読みきりもたっぷりの「水木しげる漫画大全集 コケカキイキイ 他」は全国書店にて発売中です!
風刺、世直し系の作品が多い本作。
こういった作品も水木先生が得意ジャンルのひとつ!
ご存じない方はこちらも是非体験してみてください!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!