本日紹介いたしますのはこちら、「くちびるに歌を」第1巻です。
作者は原作が中田永一先生、漫画がモリタイシ先生。
小学館さんのゲッサン少年サンデーコミックススペシャルより刊行、ゲッサンにて連載されています。
中田先生は、山白朝子や本名の安達寛高などの他名義でも多く作品を発表している小説家、脚本家です。
映画化、漫画化などメディア展開された作品も多いのですが、漫画界隈で最もメジャーな仕事はあの奇妙な冒険の小説版ではないでしょうか!
ゾッとする恐ろしい話と、じんわり感動する爽やかなお話という対局ともいえる二つのジャンルを得意としていらっしゃいまして、その中にハッとする叙述トリックも織り交ぜる実力派です!
モリ先生は99年に小学館さんの漫画賞を受賞し、00年にデビューした漫画家さん。
「いでじゅう」「まねこい」「今日のあすかショー」と言った数々の作品を、小学館さん系列の様々な雑誌で連載されてきました。
さて、本作はとある中学校の合唱部で起きた出来事を描いていくお話です。
ひとりぼっちの少年と、臨時でやってきた音楽教師。
その二人が合唱部に入ったことをきっかけに、合唱部は、合唱部の面々は変化を迎える事になるのです。
長崎県、五島列島にある比較的大きな島の中学校。
桑原サトルはそこに通っていました。
今日は4月、新学年で迎える新学期初日。
周囲の生徒はクラス替えで一喜一憂しておりましたが、サトルは自分が1組であると言うことを確認するだけで、特に何の感慨も沸いてはいないようです。
一方、その1組に振り分けられてガッカリしているものもすぐ隣にいました。
仲村ナズナです。
仲良しの友達や、喧嘩トモダチと言えるような幼馴染はみんな別のクラスへ。
新しい周囲の環境に、不安いっぱいのナズナ。
そんな時、彼女が所属する合唱部がよく利用する第二音楽室に人影を見かけます。
友達かな?と思って音楽室へと走っていきますと、ピアノの音がだんだんと聞こえてきます。
ですがその曲はどうも今まで聞いたことの無い曲のようで。
中に入ってみますと、はじめてみる、髪の長い綺麗な女性がピアノを弾いていました。
彼女はナズナに気が付くと、顔をあげて何か用だったかと尋ねて来ます。
友達がいると思ってきただけで、自分は合唱部なので……と、演奏をとめてしまった後ろめたさのようなものもあってうろたえ気味に答えるナズナ。
ですが彼女は、あの曲はここまでしか存在しない曲だから、と演奏の中断がナズナのせいではない事を告げ、またナズナが合唱部であることに対してこういうのでした。
よろしくね、と。
始業式で、先ほどの綺麗な女性の紹介がありました。
音楽の先生だった松山先生が産休にはいる代わりに、一年だけ音楽の授業と合唱部の顧問を受け持つことになった、という彼女は柏木ユリ。
その美貌に、学校中は彼女の噂で持ちきりとなりました。
様々な生徒が、彼女の姿を一目拝もうと、彼女の教室間移動ルートで張り込んだりする始末で。
そんな柏木フィーバーに沸き立つ(主に男子が)校内で、一人そんなことを意にも介さず机に突っ伏して過ごしているのがサトルです。
学校に来て、授業を受け、真っ直ぐ家に帰る。
それだけをひたすら繰り返してきて、今までイジメなどに会うわけでもなくただただひとりぼっちなだけの日常を過ごしてきた彼は、「ぼっちのプロ」などと自称しております。
もちろん友達とかいらないぜ!とか言う虚勢などではなく、彼の抱えるとある事情にとって、その状況は都合がいい、と言うこともその状況を甘んじてい受け入れている一因なのです。
ですがそんなサトルも、思春期の少年らしく憧れている女子なんかもいまして。
合唱部に所属する、長谷川コトミです。
中学1年生の二学期の時。サトルは彼女と同じクラスだっただけでなく、彼女のすぐ前の席に座っていました。
コトミは目が大きくて愛くるしい顔立ちをしているだけでなく、穏やかな口調におっとりした性格、みんなが嫌がる仕事を率先して行い、人の悪口を言うことも無い、非の打ち所が無い少女です。
もし天使がこの世にいるのなら、彼女みたいな存在なのだろう。
サトルもそう思っていたのですが……
ある日の休み時間のことでした。
いつものように必死に寝たふりをしていたサトルですが、はしゃぎまわる男子の喧騒が響き渡る中、後ろからコトミの独り言が漏れ聞こえてきたのです。
ッセーな高橋、殺すぞ……
彼女は思わずそんな言葉を口に出してしまったようで。
すぐに、すぐ前の席のサトルに今の聞こえてた?寝たふりじゃない?と確認してきたのです!
それでも寝たふりを続けるサトルに、コトミは話しかけ続けます。
みんなには言わないでよ、もしうわさが広まったりしたら……許さないからね、と!!
思いがけず、自分にだけ垣間見せた彼女の姿。
……それ以来、一度もまともに会話したことはないものの、サトルは彼女のことが好きになってしまったのです。
そんなコトミやナズナ、柏木たちを含む合唱部が、放課後並んで校庭にたっていました。
何が起きるかとサトルがそれを見つめていると……
彼女達が口を開いた途端、周囲は美しい歌声に包まれたではないですか!
その歌声は、サトルに感じたことが無いくらいの衝撃を齎しました。
すごいな、音楽が、満ちていく。
その時から、サトルの胸の中には合唱部への憧れが芽生え始めます。
もし自分も合唱部に入ったら、あの歌を歌っていたみんなのように、ふらつかずにしっかりたつことができるんだろうか?
……ですがサトルは、それが叶わない夢に過ぎないとあきらめなければならなかったのです。
それの理由はサトルの家庭の事情にあります。
学校が終わった後、サトルが向かうのはとある工場。
そこで一人の青年が、サトルの迎えを待っているのです。
彼はサトルの実の兄。
サトルの兄はいわゆる自閉症で、一人で外を歩かせるのは危なっかしいところがありまして。
さらにちょっとしたものでも「変化」を物凄く嫌うせいもあって、朝夕の登下校時にサトルが兄を送迎しているのです。
サトルには、放課後みんなと部活をしている時間は許されません。
サトル自身もまた、自分を必要としてくれる存在は兄だけなんだ、と心の拠り所にいしていたのですが……
この後、ある理由で男子の事を忌避しているナズナの思いとは裏腹に、柏木目当ての男子が合唱部に入部したいと押しかけてきます。
一気に色が変わっていく合唱部。
今まで女子だけしかいなかった合唱部ですが、このまま女子だけで和気藹々とやっていきたいと言うナズナ含む男子反対派と、やはり合唱をやるからには混声合唱もやってみたいと言う合唱部部長をはじめとした男子容認派に分かれたりしまして、申告とまでは行かないまでもちょっぴり合唱部に不協和音が混じり始めます。
そんな激動(?)の合唱部の渦の中に、ひょんなことからサトルも巻き込まれてしまうことになり……?
サトル、ナズナ、コトミ、柏木……様々な人物の、様々な思いが交差する青春の日々が動き始めるのです!
というわけで、合唱部の日常を描いていく本作。
合唱部の面々、それぞれが抱えるそれぞれの背景。
その思いが徐々に絡まり始め。合唱部を揺るがしていくことになります。
乙……中田先生が得意とする、細やかな心の動きも描写するしっとりした展開に、自然と読者の皆さんも引き込まれていくことでしょう!
原作では想像するしかなかった各キャラクターを、それぞれ魅力的に描いてくれるモリ先生も流石です。
可愛らしく、コミカルな絵柄はストーリーにもマッチしていまして、キャラクターへの感情移入も深まると言うものですね!
中田先生とモリ先生による強力タッグで送る、「くちびるに歌を」第1巻は全国書店にて発売中です!
映像化企画もすすんでいる話題作を、実績ある漫画家さんが描いている本作。
帯コメントはなんとあの乙一先生と言うことで……すごいですね!!いろいろ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
作者は原作が中田永一先生、漫画がモリタイシ先生。
小学館さんのゲッサン少年サンデーコミックススペシャルより刊行、ゲッサンにて連載されています。
中田先生は、山白朝子や本名の安達寛高などの他名義でも多く作品を発表している小説家、脚本家です。
映画化、漫画化などメディア展開された作品も多いのですが、漫画界隈で最もメジャーな仕事はあの奇妙な冒険の小説版ではないでしょうか!
ゾッとする恐ろしい話と、じんわり感動する爽やかなお話という対局ともいえる二つのジャンルを得意としていらっしゃいまして、その中にハッとする叙述トリックも織り交ぜる実力派です!
モリ先生は99年に小学館さんの漫画賞を受賞し、00年にデビューした漫画家さん。
「いでじゅう」「まねこい」「今日のあすかショー」と言った数々の作品を、小学館さん系列の様々な雑誌で連載されてきました。
さて、本作はとある中学校の合唱部で起きた出来事を描いていくお話です。
ひとりぼっちの少年と、臨時でやってきた音楽教師。
その二人が合唱部に入ったことをきっかけに、合唱部は、合唱部の面々は変化を迎える事になるのです。
長崎県、五島列島にある比較的大きな島の中学校。
桑原サトルはそこに通っていました。
今日は4月、新学年で迎える新学期初日。
周囲の生徒はクラス替えで一喜一憂しておりましたが、サトルは自分が1組であると言うことを確認するだけで、特に何の感慨も沸いてはいないようです。
一方、その1組に振り分けられてガッカリしているものもすぐ隣にいました。
仲村ナズナです。
仲良しの友達や、喧嘩トモダチと言えるような幼馴染はみんな別のクラスへ。
新しい周囲の環境に、不安いっぱいのナズナ。
そんな時、彼女が所属する合唱部がよく利用する第二音楽室に人影を見かけます。
友達かな?と思って音楽室へと走っていきますと、ピアノの音がだんだんと聞こえてきます。
ですがその曲はどうも今まで聞いたことの無い曲のようで。
中に入ってみますと、はじめてみる、髪の長い綺麗な女性がピアノを弾いていました。
彼女はナズナに気が付くと、顔をあげて何か用だったかと尋ねて来ます。
友達がいると思ってきただけで、自分は合唱部なので……と、演奏をとめてしまった後ろめたさのようなものもあってうろたえ気味に答えるナズナ。
ですが彼女は、あの曲はここまでしか存在しない曲だから、と演奏の中断がナズナのせいではない事を告げ、またナズナが合唱部であることに対してこういうのでした。
よろしくね、と。
始業式で、先ほどの綺麗な女性の紹介がありました。
音楽の先生だった松山先生が産休にはいる代わりに、一年だけ音楽の授業と合唱部の顧問を受け持つことになった、という彼女は柏木ユリ。
その美貌に、学校中は彼女の噂で持ちきりとなりました。
様々な生徒が、彼女の姿を一目拝もうと、彼女の教室間移動ルートで張り込んだりする始末で。
そんな柏木フィーバーに沸き立つ(主に男子が)校内で、一人そんなことを意にも介さず机に突っ伏して過ごしているのがサトルです。
学校に来て、授業を受け、真っ直ぐ家に帰る。
それだけをひたすら繰り返してきて、今までイジメなどに会うわけでもなくただただひとりぼっちなだけの日常を過ごしてきた彼は、「ぼっちのプロ」などと自称しております。
もちろん友達とかいらないぜ!とか言う虚勢などではなく、彼の抱えるとある事情にとって、その状況は都合がいい、と言うこともその状況を甘んじてい受け入れている一因なのです。
ですがそんなサトルも、思春期の少年らしく憧れている女子なんかもいまして。
合唱部に所属する、長谷川コトミです。
中学1年生の二学期の時。サトルは彼女と同じクラスだっただけでなく、彼女のすぐ前の席に座っていました。
コトミは目が大きくて愛くるしい顔立ちをしているだけでなく、穏やかな口調におっとりした性格、みんなが嫌がる仕事を率先して行い、人の悪口を言うことも無い、非の打ち所が無い少女です。
もし天使がこの世にいるのなら、彼女みたいな存在なのだろう。
サトルもそう思っていたのですが……
ある日の休み時間のことでした。
いつものように必死に寝たふりをしていたサトルですが、はしゃぎまわる男子の喧騒が響き渡る中、後ろからコトミの独り言が漏れ聞こえてきたのです。
ッセーな高橋、殺すぞ……
彼女は思わずそんな言葉を口に出してしまったようで。
すぐに、すぐ前の席のサトルに今の聞こえてた?寝たふりじゃない?と確認してきたのです!
それでも寝たふりを続けるサトルに、コトミは話しかけ続けます。
みんなには言わないでよ、もしうわさが広まったりしたら……許さないからね、と!!
思いがけず、自分にだけ垣間見せた彼女の姿。
……それ以来、一度もまともに会話したことはないものの、サトルは彼女のことが好きになってしまったのです。
そんなコトミやナズナ、柏木たちを含む合唱部が、放課後並んで校庭にたっていました。
何が起きるかとサトルがそれを見つめていると……
彼女達が口を開いた途端、周囲は美しい歌声に包まれたではないですか!
その歌声は、サトルに感じたことが無いくらいの衝撃を齎しました。
すごいな、音楽が、満ちていく。
その時から、サトルの胸の中には合唱部への憧れが芽生え始めます。
もし自分も合唱部に入ったら、あの歌を歌っていたみんなのように、ふらつかずにしっかりたつことができるんだろうか?
……ですがサトルは、それが叶わない夢に過ぎないとあきらめなければならなかったのです。
それの理由はサトルの家庭の事情にあります。
学校が終わった後、サトルが向かうのはとある工場。
そこで一人の青年が、サトルの迎えを待っているのです。
彼はサトルの実の兄。
サトルの兄はいわゆる自閉症で、一人で外を歩かせるのは危なっかしいところがありまして。
さらにちょっとしたものでも「変化」を物凄く嫌うせいもあって、朝夕の登下校時にサトルが兄を送迎しているのです。
サトルには、放課後みんなと部活をしている時間は許されません。
サトル自身もまた、自分を必要としてくれる存在は兄だけなんだ、と心の拠り所にいしていたのですが……
この後、ある理由で男子の事を忌避しているナズナの思いとは裏腹に、柏木目当ての男子が合唱部に入部したいと押しかけてきます。
一気に色が変わっていく合唱部。
今まで女子だけしかいなかった合唱部ですが、このまま女子だけで和気藹々とやっていきたいと言うナズナ含む男子反対派と、やはり合唱をやるからには混声合唱もやってみたいと言う合唱部部長をはじめとした男子容認派に分かれたりしまして、申告とまでは行かないまでもちょっぴり合唱部に不協和音が混じり始めます。
そんな激動(?)の合唱部の渦の中に、ひょんなことからサトルも巻き込まれてしまうことになり……?
サトル、ナズナ、コトミ、柏木……様々な人物の、様々な思いが交差する青春の日々が動き始めるのです!
というわけで、合唱部の日常を描いていく本作。
合唱部の面々、それぞれが抱えるそれぞれの背景。
その思いが徐々に絡まり始め。合唱部を揺るがしていくことになります。
乙……中田先生が得意とする、細やかな心の動きも描写するしっとりした展開に、自然と読者の皆さんも引き込まれていくことでしょう!
原作では想像するしかなかった各キャラクターを、それぞれ魅力的に描いてくれるモリ先生も流石です。
可愛らしく、コミカルな絵柄はストーリーにもマッチしていまして、キャラクターへの感情移入も深まると言うものですね!
中田先生とモリ先生による強力タッグで送る、「くちびるに歌を」第1巻は全国書店にて発売中です!
映像化企画もすすんでいる話題作を、実績ある漫画家さんが描いている本作。
帯コメントはなんとあの乙一先生と言うことで……すごいですね!!いろいろ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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