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本日紹介いたしますのはこちら、「ソレミテ~それでも霊が見てみたい~」第1巻です。
作者は小野寺浩二先生、そして総合プロデューサーとして石黒正数先生。
少年画報社さんのYKコミックスより刊行、ヤングキングアワーズにて連載されています。

小野寺先生は90年代前半から活躍している漫画家さんです。
当初は成年向け漫画雑誌で活躍しておりましたが、その当時から成年向けの描写は少なく、必要以上に勢いのあるギャグ描写が目立つ作風でした。
その作風は本作でももちろん健在です!

さて、本作は一言で言いますと、心霊スポット探索のリポート漫画です。
探検するのはもちろんクレジットされている小野寺先生と、石黒先生。
現役バリバリの漫画家二人が巡る心霊スポット、果たして霊は出るのか?祟り的なものは大丈夫なのか?
その全貌が、赤裸々に描かれます!!

とある喫茶店に呼び出された小野寺先生。
そこには担当の星野さんと、石黒先生が待ち構えておりました。
このお二人、どちらもこの少年画報社さんにお世話になっている漫画家さんと言うだけでなく、趣味趣向的な共通点がありました。
それは、お互い霊などの心霊現象が好きでありながらも、実際見た経験がないと言うこと!
そこで石黒先生が提案したのが、小野寺先生と石黒先生で心霊スポットをみて回り、それを漫画にしてみたくないか?というものでした!!
話を聞くなりやる気まんまんになった小野寺先生。
なんか編集部もすでに根回し的なものが済んでいるようで、じゃあ16ページでお願いします、と実にすんなり話はまとまってしまうのでした。
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で、記念すべき第1回目のリポート現場はと言いますと……少年画報社さんのビルだったりします。
誰かの気配がする、ラップ音を聞いた、いないはずの人影が見えた……と、報告に事欠かないこのビル。
一人で残業しているときに体験することが多いそうで。
忙しい時に驚かせやがって、どうせ出るなら仕事手伝って行けよ!と怒る人まで出ている始末なんだそうです!!
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少年画報社販売部の安達さんも体験者の一人。
なんかもう後ろに、「いるな!」って感じるんだそうです!
こわがりな安達さんはそんな時大声で叫んで暴れ、こっち来るなアピールをして凌ぐのだそうですが……
そんな安達さんも、星野さんとともにほくそ笑みながら今回の探索ルートを紹介してくれました。
よく出るのは5階と地下1階なので、一回の入り口からはいって地下へ行き、その後5階まで向かってもらう、というルート。
地下の奥にアヒルちゃんを置いてきたので、ちゃんと言った証拠に持ってきてくださいね、とニヤニヤするのです!
ですがその企画に、石黒先生は激高!!
それは俺の企画意図とずれている。
自然に、リアルに霊をみる企画なんだ、肝だめし的な演出はいらない!!
そんな男らしい(?)主張に、星野さんたちももっともだとうなだれるのでした。
……が、そこはそれ。
今回はこのまま行きましょう!とあっさり流されてしまうのでしたとさ……

釈然としないまま、夜のビルにはいっていく二人。
なんていいますか、人気のない夜のビルと言うのはそれはもうおっそろしいもの。
小野寺先生ばかりか、石黒先生も腰が引けまくりの中探索が行われることとなるのです!!

地下はボイラー室。
今は使われていないのですが、撤去するのにお金がかなりかかるので放置されているのだとか。
パイプやら何やらで、懐中電灯の光でできる影の多いこの部屋、そこかしこから何かが出るんじゃないかと言う気配をビンビン漂わせております。
石黒先生はこの企画のために購入した新しいデジカメで、「何か」を映すために奮闘しております。
その後無事にアヒルちゃんを発見し、びくびくしながら探索を続けたものの……結局何も見つからず。
2階にあるアワーズの編集部で一休みすることになりました。
地下に止まったままの柱時計があったけど、アレはなんなんだろうなどと星野さんや安達さんに聞いてみる小野寺先生。
ですがお二人がそんなことを知っているはずもなく……
みのない会話に終始する、と思われたその時のことです。
写真に何か写っていないかチェックしていた先生方の背後で
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ひとりでに扉が、開閉したではないですか!!
恐怖のあまり、大声で叫んで暴れ始める安達さん!
そして目を閉じて押し黙り、すべてをなかったことにしようとしている星野さん……
この様子をみるに、先生方を喜ばせようとして行った狂言ではなさそう。
ですがなんていいますか……肝心の先生方がこれっぽっちも見れていないのが大問題です!!
社内にはもうここの4人しかおらず、室内だけに風もありません。
ましてやその扉、風があっても開くような軽い扉ではなく……!
いきなり遭遇した不思議を、チャンスを逃してしまった小野寺先生は悔しさに歯軋り!
一方の石黒先生は、怯えて叫びまくる安達さんに対し、紳士的に持参してきた塩をかけて清めることで落ち着かせるのですが……小野寺先生の脳裏にはひとつの疑問が思い浮かんでしまうのです。
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ひょっとして塩なんかもってたからわれわれは霊が見られなかったのではないか?と……

結局のところ霊は見られずじまい。
収穫無しで帰る先生方ですが、別れ際に石黒先生が力強くこういったのです。
霊は出ますよ、いつか必ず。
諦めなければ……
そんな石黒先生を見送りながら、小野寺先生は思うのです。
諦めなければいつか出る。
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それは、パチンコに狂った八と同じセリフだよ……
でもそれでいいのです。
有り金全部つぎ込んだとしても、それでも霊が見てみたいのですから!!

というわけで、心霊好きの漫画家さん二名の心霊スポット探索を描く本作。
この第1話はつかみと言うことで手近なところでしたが、第2話からいよいよ本格的に心霊スポットに挑んでいくことになります!
その心霊スポットはバリバリの有名どころばかり。
あの千駄ヶ谷トンネルや八王子城、雑司ヶ谷霊園や将門公の首塚まで、祟り上等のラインナップに挑んでいくことになるのです!!
本作のコンセプトは、先生お二人が初の霊体験に出会うまでのドキュメント(?)。
遭遇したら完結か、あるいは除霊編に突入、とのことなので、俺だけあちこちのスポットに言っていると言うことはすなわち……!?
とにかくその心霊スポットめぐりの際に出会う、悲喜こもごもの出来事を描き続けるのです!!

さらに凄いことに、本作にはゲスト参戦の人物が時たま登場してくれます。
少年画報社つながりと言うことで、「惑星のさみだれ」の水上悟志先生、そして「並木橋通りアオバ自転車店」の宮尾岳先生が登場!
しかも作中に登場するだけでなく、1ページずつ寄稿されているのです!!
さらにさらに、プロデュースしている石黒先生も黙ってはおりません!
自信の筆で8Pの番外編を描いているのです!!

霊を求めて三千里、「ソレミテ~それでも霊が見てみたい~」第1巻は全国書店にて発売中です!
心霊スポットめぐりのドタバタを描くギャグ漫画となっている本作。
心霊大好き、でも見た事がないと言う同士の方なら何倍も楽しめること必至ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!