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いたしますのはこちら、「BERSERK(ベルセルク)」第37巻です。
作者は三浦建太郎先生。
白泉社さんのJETSコミックスより刊行、ヤングアニマルにて連載されています。

さて、キャスカを匿うためにエルフの住む里へと向かうガッツたち。
その道中、海神の住むと言う村に立ち寄りました。
そこで現われた海神は、やはり使徒。
ガッツたちはそこで知り合ったイスマたちとともに、海神と戦うことになったのですが……!?

そんな激しい海神戦も見逃せないところですが、今巻では鷹の団以前のガッツの少年期変も収録されています。
今回はそちらのほうに焦点を当てて紹介してみたいと思います!

手かせを嵌められ、拘束されて荒地を歩かされているガッツ。
蹴躓き、倒れこみでもしたら、すぐに立ち上がれと監視している男からの鞭が飛びます。
いつどこで死んでもかまわない。
クソみたいな戦場で生きている意味なんてない。
そう思っていたはずのガッツですが、鞭を振るわれてもすぐに立ち上がるのです。
ぶちのめされると、両足がまた踏ん張っちまう。
このころからガッツの心の中には、ふつふつと燃える「生き抜く力」があったのでしょう……

そんなガッツにこっそりとすぐ後ろで連行されている男が話しかけてきました。
先はまだ長そうだ、生き延びたけりゃ踏ん張れ、負け戦でこうして生きていられルンなんて運がいいぜ、とその初老といった風情の男は励ますような軽口を叩くのです。
どうせ高山とかで死ぬまでこき使われるんだ、苦痛が長引くだけだ、と憎まれ口で返すガッツですが、体力はとっくに限界を突破してしまっていまして。
またもふらりと倒れこみそうになってしまうのです。
慌ててその体を支える初老の男ですが、ガッツは礼を言うどころか俺に触るなと睨みつける始末。
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ですがその顔色は悪いなんてものではなく、どう見ても酷く体力が失われているのがわかるのです。
よくよく見てみれば、腹の辺りから血が滴っているようで。
どうやら治療も満足にされていない矢傷があり、それが体力を著しく消耗させてしまっているようなのです。
ガッツはまだ構うなと強がるのですが、体力のほうは完全に限界。
すぐさま意識を失い、大地に倒れこんでしまうのです!!
そんな傷があろうがなかろうが、監視にとっては関係ありません。
手間をかけさせるなと鞭を振るうのですが、その鞭は初老の男の背中に直撃しました!
なんと見知らぬガッツを、身を呈して守ってくれたのです!
ガキ相手に大人気ない、子供でも立派な労働力だろ?
監視を何とかなだめすかして、ガッツに肩を貸す初老の男。
いろいろと尋ねて来るのですが、ガッツがまだ年若いにもかかわらず傭兵暦が長いことを知ると、それ以上の詮索はしないのがスネに疵もつ傭兵同士の流儀だなとと笑いました。
ですがその後、空を見上げながらこう続けるのです。
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殺し殺されるど腐れな戦場だからこそ、いつかどこかで、そいつの、そいつらのためならと命がはれる戦友に合うこともあるかもしれない、と……

やがて目的地らしい山城が見えてきました。
おそらくあの城で採掘か何かをさせる気なのでしょう。
あの城に入ってしまえば、脱出は困難だろう。
そしてガッツの傷で採掘などの重労働などすれば、命も長くは持ちますまい。
逃げるなら今しかない。
そう言って初老の男はどこからともかく鍵を取り出し……ガッツの枷を外しました!!
枷の制約上、自分自身の枷は外せない。
そう言ってガッツに一人で逃げるよう促すのです!
ガッツは初老の男に名を尋ねました。
マルティノ。
その名前を確かに覚えたガッツは、借りはいつか返すと言い残して崖を滑り降りて逃げ出すのでした!!
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……が、それがきっかけとなって騒ぎになり始めたのを見届けると、マルティノはコキコキと腕を動かし、かせからスポっと腕を抜き去ったではないですか!
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貸しは今返してもらうぜ、坊主。
マルティノは確かにそう呟いたのです!!

逃げ出したガッツですが、腹の傷もあり、思うように足が動きません。
その上監視として帯同していた兵たちは、容赦なく逃亡を図ったガッツに矢を放ってきて……
その何本かがガッツを捕らえ、逃亡はあえなく失敗してしまうのです。
ガッチリと押さえ込まれてしまったガッツ。
自分が滑り降りてきた崖の上に視線を移してみると、そこでは
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マルティノがはるか遠くでガッツに合図しているではないですか!
おとりになってくれてありがとよ、といわんばかりの表情を浮かべて……

戦場で生き延びたけりゃ、自分のオツムと腕で何とかしろ。
他人に預けるな、人間は自分のためならどんな汚いことでもやる。
他人に簡単についていくようなやつは、しゃぶりつくされて死ぬだけだ。
……かつてガッツが、育ての親であるガンビーノに言われた言葉です。
その時の光景を、ガッツは暗く寒い牢獄の中で思い起こしていました。
己のおろかさが招いたのが今の状態だと言うことを再確認したガッツ。
いつどこで死んでも構わない。
それが今だって。
そう思っていたガッツですが……やはり彼の体に煮え滾る生への渇望はそれをたやすく受け入れることをしませんでした。
目の前の石畳の隙間から顔を出している小さな花をかじっていた鼠。
すばやくその鼠をつかみとり、その肉を食らい、血を飲んだのでした!!

なぜ自分が生きるための行動を取ったのか。
それは彼自身にもわかりません。
ですがすぐにそんな自問自答は頭から消え去り、先ほど鼠にかじられていた花のことを考え始めました。
こんな寒い牢獄に、一輪きり。
同居人というところか……
ぼんやりとその花を見ていたガッツ。
ですがその目は、やがて信じられないものを映すのです!
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一輪の花に寄り添うように立っている、小さな小さな少女。
……これは、一体……?

というわけで、ガッツがガンビーノを殺め、キャスカたちに出会うまでの4年間の間に起きたと思われる出来事を描くエピソードを収録した今巻。
パックと出会う以前にも、ガッツは妖精とあっていた?
ガッツと妖精の出会いとふれあい、少年ながらも並ならぬ力を見せ付けるガッツの奮闘を楽しめる、短いながらも見ごたえあるストーリーとなっているのです!

そしてもちろんメインとなるストーリーも展開します。
ガッツたちの一行に加え、久々の登場となるリッケルト&エリカの様子も描かれるのです!
リッケルトとエリカはどこかへ行こうとしているようで。
ゴドーの後をついでガッツの武器を直す係になるのかと思われていた彼らのほうのドラマも展開していくことになるようです!!

1年半ぶりとなった待望の最新刊刊行、「BERSERK(ベルセルク)」第37巻は全国書店にて大好評発売中です!!
フィギュア付きの限定版も同時発売となった今巻。
次巻の発売も待ち遠しいところですが……来年の秋くらいには、でるんでしょうかねぇ……
三浦先生には体を壊さないよう気をつけていただきつつ、頑張って頂きたいもんです!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!