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本日紹介いたしますのはこちら、「事件記者トトコ!」第1巻です。
作者は丸山薫先生。
エンターブレインさんのビームコミックスより刊行、ハルタにて連載されています。

丸山先生は00年ごろから漫画やイラスト、Flashアニメなどを制作されてきました。
様々な雑誌やメディアで様々な作品を発表してきた丸山先生ですが、初めて単行本刊行となったのはfellows!にて06年から連載を開始した「ストレニュアス・ライフ」。
そちらは一話完結型の短編集的な内容でしたが、今回の作品は連続したストーリーのある作品となっています!

さて、本作は巷で起こる事件を突撃取材していく女性記者、トトコを主人公とした作品です。
ですがこのトトコ、有能とはちょっと言い難い能力の持ち主でして……?

時計台の上。
仁王立ちする、あやしい風体の黒尽くめ、怪盗・大暗黒仮面の間近に迫っている眼鏡の少女がいました。
トトコと呼ばれる彼女、周囲の止める声も聞かずに大暗黒仮面に食らいついていく彼女。
その執念はすごいと言っていいのですが、隙あらば狙い撃ちしようとしている警察の皆さんからすると邪魔以外の何物でもないのです。
そこまでして彼女はなぜ彼に食らいつくのでしょうか?
新聞記者である彼女ですから、やることといえば1つ……取材です!
ですがトトコ、よりによって投げかけた質問が
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「この道に入ったきっかけは何ですか?」なのですから困ったもの。
大暗黒仮面は、ノーコメントと返して、夜の闇へと消えていってしまったのでした……

翌日の新聞各紙は、大暗黒仮面の事件を大々的に報じていました。
が、トトコの所属する大東都新報だけはその特報を逃してしまっています。
事件の一番近くにいながら、このていたらく。
すべてはトトコの暴走と、彼女の下敷きになって気を失ってしまった同僚の入野のミスでしょう。
まあ言ってしまえばすべてトトコの責任です!
が、紙面を取り仕切るデスクはそんなトトコにやたらやさしく、過ぎたことは仕方ない、とトトコにきんつばなんかのあまいものを与えるのです。
無邪気に喜ぶトトコですが、釈然としないのは入野です。
トトコを甘やかさないでくれ、そんなだからつけ上がるんだ、こいつのお守りはもううんざりだ!
思わず思いの丈をおもいっきりぶちまけてしまうのです。
そんな彼の心よりの叫びを聞いたデスクは、どんなダメな新米でも、経験豊かな入野になら安心して任せられると見込んだんだけど……と、なまめかしく顔を寄せて囁きまして……
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その色香にまんまと嵌められ、入野はトトコのお守りを続けることになるのでした。

仕事終わり、同僚みんなで飲みに行く事になります。
同行したトトコはといいますと、もっぱら食べるほう専門。
自然と話題は黙々とソバを食べ続ける彼女の事になっていきます。
なぜデスクは、はっきり言って記者の才能のカケラも感じさせない彼女のことをああまでかばいたてるのだろうか?
トトコはきっと自分の中に眠る才能を見出しているのだと信じているようですが……
落ち着きも集中力もなく、騒がしい。
玉に静かだと思ったら居眠りをしている。
仕事中に派手にお腹を鳴らし、デスクにおやつを与えられる……
そんな日常をひたすら過ごす彼女のどこに才能が感じられるのでしょうか!
食べて寝てるだけといわれてしまうトトコですが、成長期だから仕方ない、と返すトトコ。
彼女の色々真っ直ぐな体系と、デスクの豊かな曲線で出来た体系を想像で比べてみる同僚たちは……
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なんだかそんなトトコに同情しちゃうのでした。

そんなトトコですが、なんだかとっても立派なカメラをもっています。
ところが同僚たちは誰もトトコが写真を撮っている姿を見たことがありません。
いざと言うときの最終兵器だと自慢げに語るトトコですが、大暗黒仮面の間近に迫った昨日こそがいざと言うときだろう!とみんなにドヤされる結果に……
といっても、トトコはまったく動じずにソバのおかわりを頼むのですが……

どうしようもない印象ばかりのトトコですが、いきなりソバをぐいっと飲み干したかと思うと、立ち上がります。
大暗黒仮面っぽい人影を見つけた!尾行する!と、いきなり言い出すと、そそくさとその人影を追いかけるのでした!
いきなり帰ってしまったトトコの尻拭い(主にソバのお代金)は、入野のお役目。
やむなくの後をついていきます。
が、追いつくなり早速見失ったと言うトトコ。
しかもそもそも人違いだったと言うのですからもう……
怒る入野に、トトコはせっかくだからこの辺で聞き込みしようとはぐらかし、明かりが漏れている半開きのシャッターをあけて飛び込み聞き込みを敢行します!
大東都新報社ですが、取材を……といいながら中に入ると、なんとそこには強面の人がいっぱいいて、ここが武器密輸組織の極秘アジトだと気づくとはなんて凄腕のブン屋だ!!と自己紹介してくれたのです!!
もちろんそうなれば、彼らも黙ってはいません!
刃物を取り出して襲い掛かって悔いるのですが、あろうことかトトコはソレに立ち向かっていくではないですか!!
そしてそこで炸裂したのが
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さっきのカメラでの殴打。
実はなんとこのカメラ、カメラに見せかけた、39の機能を持つ秘密兵器なんだそうです……
まだまだ大勢いる悪党をいっせいに始末するために、特殊機能その28、催涙弾を発射するのですが、スイッチを間違えたのか、でてきたのは特殊機能その27、ロケット花火でした。
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そしてその花火は、真っ直ぐに密輸用の弾薬に向かっていき……!!

結果として、武器密輸組織を逮捕した、と言う特報が大東都新報の一面に踊ることになりました。
良くも悪くも手に入れたスクープ、大怪我した入野は複雑です。
なにせトトコは無傷ですし、なによりデスクにもらったご褒美のヨウカンを一番喜んでいたのですから……
これからも、入野の苦悩の日々は続くことになりそうです……

と言うわけで、底抜けにアレな新米記者、トトコのドタバタを描いていく本作。
本作の見所といえば、やはりトトコのいろいろな意味での破天荒振り!
彼女のもっているとんでもないカメラといい、浮世離れしたといってもいい性格といい、只者ではないにおいは漂わせている彼女。
ですが、その実態はさらにとんでもなかったり!
彼女を巡る様々な登場人物にも注目したいところです!!
セクシーシーンも用意されてますしね!!
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……セクシー……?
いや、これはこれであり、なんでしょうか……!

そして謎の存在である大暗黒仮面にもスポットが当たっていきます。
どうも最初の印象とはだいぶ違う、意外とお茶目な大暗黒仮面。
彼とその従者が織り成す、愉快でちょっぴりホロリと来るやり取りも見逃せませんよ!

今日も事件と食べ物の臭いが彼女を誘う!「事件記者トトコ!」第1巻は全国書店にて発売中です!!
レトロな世界観での記者モノと思いきや、ファンタジックな要素も盛り込まれた本作。
ドタバタから恋愛要素なんかも盛り込んだ、何でもアリの作品ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!