3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです! ※作品記事につきまして、権利者様が問題があると感じられた場合はご一報ください。対応いたします。

2012年10月

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本日紹介いたしますのはこちら、「ハチワンダイバー」第26巻です。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックスより刊行、週刊ヤングジャンプにて連載されています。

作者は柴田ヨクサル先生。
本作は「柴田ヨクサル」のテーマで記事をまとめておりますので、よろしければあわせてご覧くださいませ。

さて、世界中を巻き込みつつあるが続いている本作。
正道外道様々な棋士が現われたトーナメント1回戦もいよいよ最終戦となりましたが、その注目の対戦はそよVSジョンス・リー。
実力者同士の決戦、勝ち抜くのは!?

その気合のままに、決戦の舞台をすごい勢いでぶっ壊しながら将棋を指すジョンス・リー。
ですがその凄まじい威力、それに見合った厳しい攻めにもそよは動じません。
それどころか、顔色一つ変えずに自身の玉将を「飛車」「角」「金」「銀」といった守り駒、攻め駒よりも前に出しているではないですか!
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敵陣目前に玉将を出していながら、それでも相手の攻めをいなしている。
その将棋を見て、すこし前にそよを粉砕した卑弥呼も驚きを隠せません。
自分の受け将棋も王将さばきだが、こんな将棋は指さない……いや、指せない。
自分と指した時とはもう別人になっている……
あの卑弥呼をして、圧倒されてしまうのです。

もう終わり?
そんな挑発をするそよに、ジョンス・リーも引きません。
ガンガン攻めていくのですが、そよはまだ一切顔色を変えず、「来なさい」と挑発を続けます。
いや、挑発ですらないのでしょう。
自身の「受け」に、絶対的ともいえる自身を持っているがゆえに、どんな攻めを前にしても表情が崩れることがないのです!
ジョンスリーの立て続けの攻めにも一切臆することなく、そよの玉将はさらに前進をするのです!!
絶妙の受けだけでなく、撃ち合いでも怯まない……
まさに今のそよは別人のような、完璧なファイターとなっていたのです!!
そしてついにその玉将は
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ジョンス・リーの王将の座す敵陣へと……!!
単騎による入玉と言う、誰しもが息を呑むこの戦いの行方やいかに!?

そんな圧巻の戦いを終え、トーナメントはいよいよ二回戦を迎えます。
二回戦の第一試合は、菅田VS右角。
以前この二人は戦っていて、本当にギリギリのところで菅田の勝利に終わりました。
ですがその差は本当に紙一重。
もう一回戦ったら勝てるかどうか……?
対局した菅田自身がそのことは一番よくわかっています。
ですがそれだけにこの右角と言うのは、自分の成長のためにも倒し甲斐のある相手といえるのです。
一方の右角からしても、このリベンジのチャンスを逃す手はありません。
対戦を待ち望んでいたのは、二人とも同じ。
しかし右角の持ち望みっぷりは、姿のそれとは比較にならないほど大きかったのです!!
彼の待ち人ナンバー1は、愛してやまない凜。
そしてナンバー2が菅田なのですから!!
加えて言えば、菅田には一切その気がないとは言え、右角にとっては恋敵でもありまして。
それは盛り上がるにもほどがあるわけです!!

開幕早々、右角は右四間飛車、菅田は雁木と言う得意の戦型にはいっていきます。
お互いに万全の構えをとったところで、右角は例のミッシェル・ガン・エレファントのCDを取り出します。
そしてその音楽を聴いて野獣モードに入る前に、凜の名前を高らかに叫んで気持ちを鼓舞させるのでした!
負けずに菅田もそよを呼びます。
そしてそよが見ているであろうカメラに向かい、言うのです。
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「待っててください」と!!

お互い負けられない戦いは火蓋を切りました。
菅田の言葉を受けて、そよは凜とともに二人の戦いを見に行くことにします。
獣人右角と、そよの為にそれを飲み込んで強くなろうとする菅田。
二人が熱戦を繰り広げている真っ只中に、そよと凜はやってきました。
その様子を見て、異変がおきます。
それはそよにでも、右角にでも、菅田にでもありません。
野獣のような右角の姿を見た凜。
彼女に突然、落とし穴に落とされてしまったかのような衝撃が走って……?
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まさかこれって、アレでしょうか!?
二人の戦いの行方は、そして凜の気持ちの行方やいかに!?

と言うわけで、激戦2戦を収録した今巻。
この2戦、対戦者が主役格二人と言うところでどうしても勝者が読めてしまうところです。
ですがそんなことすら吹き飛ばしてしまう、圧倒的なテンションは健在!!
中でもやはり特筆モノなのは菅田VS右角。
こういった以前闘った相手との再戦と言うのは、どうしても相手が噛ませ犬化してしまうのが主流です。
ですがこの戦いはそんな定石を吹き飛ばす、以前以上のハイテンション、以前以上の熱戦になるのです!!

目の離せない激戦が続く、「ハチワンダイバー」第26巻は全国書店にて発売中です!
どんどんと成長していく、そよと菅田の姿が描かれる今巻。
これからも二人の戦いを含め、手に汗握る戦いが続いていきそうですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!



ハチワンダイバー 26 (ヤングジャンプコミックス)
集英社
2012-09-19
柴田 ヨクサル

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本日紹介いたしますのはこちら、「リバースエッジ 大川端探偵社」第4巻です。
日本文芸社さんのニチブンコミックスより刊行、週刊漫画ゴラクにて連載されています。

作者はひじかた憂峰先生、たなか亜希夫先生。
本作は「たなか亜希夫」のテーマで紹介をまとめておりますので、あわせてご覧ください。

さて、小さな探偵社に舞い込む様々な依頼を描いている本作。
巷によくある探偵モノとは違い、大掛かりな事件とはほとんど無縁で、メインはもっぱら人探し。
ですがそんな細かな事件だからこそ味わえる、独特な雰囲気が心地良い作品なのです!

今回紹介するのは、「オペラ座の怪人」。
あの名作のように、本来いないはずの場所に潜む怪人の正体とは……?

今回大川端探偵事務所を訪ねてきたのは、珍しいお客さんでした。
まだ年若い、高校生の男女です。
彼らはなんでもバスケット部員だそうで。
女子バスケ部のほうが、男子バスケ部よりも強いとのことですが、それは今回の依頼には関係ありません。
もしかしたら初めてかもしれない高校生のお客さん、その調査依頼内容がいつものように浮気調査南下だったとしたら困りますが……とりあえずその依頼を聞いてみることにしました。

部活動も終わり、日も暮れた後のこと。
部員達もすっかりいなくなった後、女子部員の一人が彼氏をつれて部室に入ってきました。
その目的は忘れ物を取りに来た、と言うわけではもちろんありません。
お金のない学生さんですから、「ご休憩」をする手持ちがなく、誰もいないこの部室を使うことにしたようなのです。
これが……若さか……
ともかく、いざ!となったところで天井からミシリと音が聞こえてきました。
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明らかに家鳴りとかそういった類のものではありません。
天井に、誰かいる?
電気をつけて確認してみたものの、のぞき穴のようなものはなさそうです。
覗かれたりしている恐れこそありませんが……そのまま続ける気分ではなくなってしまうのも無理はないでしょう。

翌日、その女子部員は探偵社に依頼に来た女子部員にそのことを話してみました。
すると、もう既にバスケ部ではそのことが噂になっているようです。
依頼に来た女子は、気の弱い男子部員が言い出した事から知ったようですが、もしかしたら幽霊かもなどとも囁かれています。
早いところ用務員さんか先生に言って調べてもらえばいいのですが、なぜか部員全員が秘密にしているような感じになってしまっているようなのです。

そこでまず試してみたのが、霊感が強くてブログで人気になっていると言う友人の女生徒に霊視してもらう、というなんだかアレな手段。
胡散臭い霊感少女ならば「感じる……」とか言い出しちゃ言うそうなところですが、この女生徒は意外に本物かもしれません。
何故なら彼女、こう断言したのですから。
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霊がいたずらしているわけじゃない。
人間が住んでる……と!!

ぶっちゃけ霊がいたずらしているといわれるより、誰か住んでるといわれた方がおっかないです。
これはいい加減先生とかの出番だろうか、と言うところで今回の依頼に同行している男子生徒がこう言い出したのです。
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「ボクのオジさんだと思う」。
昨年、そのオジさんは勤めていた会社が倒産して行方不明になってしまったんだそうです。
子供のころから彼をずいぶん可愛がってくれたと言うオジさんが、身長が伸びるといって進めてくれたのがそもそもバスケ部に入った理由。
ホームレスになったオジさんが彼のことを思い出し、寒さしのぎに天井へ……
そんな予感がすると言うのです。
それならば彼が自分で直接対面すればいいのではないか?
そうアドバイスするものの、事態は簡単ではありません。
彼の家も大人一人を養ってあげられるほど裕福ではありませんし、そもそも家族はオジさんの話題を避けるくらい「触れたくない」感を出している状態。
彼が独断で同行できる事情ではないのです。
聞けばそのオジさんは62歳だとか。
今のご時勢、仕事が見つかるとも思えませんし……

そこで彼らは考えました。
学校に頼んだら騒ぎになってかわいそうだから、金で無関係な大人に頼んで解決しよう、と。
バスケ部の面々が短期ながらバイトに励んで使った金、30万。
これで出来るだけ安く、穏便にオジさんには学校を出て行ってもらって、残った金を当面の生活費として渡してあげて欲しい。
それが彼らの依頼内容だったのです。
実際もうやることは決まってますし、調査と言っても直接あって話をつけるだけ。
そこで調査料金として5万だけもらい、残り25万をホームレスさんに渡すと約束するのでした。

早速調査してみると、やはり天井裏には生活の形跡があります。
ですがそこはもぬけの殻、どうやら深夜に活動しているようで、戻ってくるのは朝になりそうです。
後は任せて欲しいと依頼主を家に帰したのでした。

やがて帰ってくるホームレスの方。
早速ファミレスに行って食事しながら話をしました。
どうやら交渉は無事成立したようなのですが、そのホームレスの方の写真を依頼主に見せたところ、その男性はオジさんではないと言うではないですか!!
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安心したような、落胆したような、不安と疑問の入り混じった表情を浮かべる依頼主たち。
ですがこのホームレスの方、オジさんでこそないものの縁のない人物ではなかったのです!!
果たして彼は一体何者なのか?
その鍵は、バスケ部にかかわりのある意外な人物が握っていたのです!!

というわけで、オペラ座ならぬ体育館の怪人の調査を描いた作品を収録した本作。
物悲しいような、寂しいような、不思議な感覚を味わえるラストが待っている前述作品。
この他にも、本作らしい雰囲気が楽しめる作品が全9編収録されています。
学生時代いじめられていた自分を救ってくれた「スケ番」との再会を望む男、野球場のビールの売り子さんに焦がれる男、自ら進んでぼったくりバーにやってくる男、雨の夜タクシーの運転手と一夜の関係を結んだ女……
様々な人物が、様々な人物を捜し求める。
そんな人物達にも様々な背景や感情があって、それらが事情こそ複雑にはしないものの、物語に複雑な色合いを落としているのです。

それぞれのドラマが奏でられる、「リバースエッジ 大川端探偵社」第4巻は全国書店にて発売中です!!
パッと目を引くような要素こそないものの、読めばいつの間にか引き込まれる魅力のある本作。
日常のように人が死んでいく探偵モノなんかに疲れた方、こういった作品はいかがでしょうか?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


リバースエッジ大川端探偵社 4 (ニチブンコミックス)
日本文芸社
2012-09-28
ひじかた 憂峰

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本日紹介いたしますのはこちら、「みなみけ」第10巻です。
講談社さんのヤンマガKCより刊行、ヤングマガジンにて連載されています。

作者は桜場コハル先生。
本作は「桜場コハル」のテーマで紹介をまとめておりますので、あわせてご覧ください。

さて、南さんちの三姉妹と愉快な仲間達の日常を描いた本作。
前巻より1年近く刊行の間が開いた今巻ですが、のんびりした日常は一切変わっておりません!!
そんな中今回は、新キャラ(?)クラウディアが登場するお話を紹介したいと思います!!

カナは飴玉をなめようとしていたようです。
ですがその飴玉はむなしくカナの指から抜け落ち、机の下へと転がっていってしまいました。
包み紙をとった状態で転がってしまったため、もう食べられない……といいたいところですが、カナは洗って食べようとエコ精神を発揮。
机の下に潜りこんで飴玉を拾い上げました。
飴玉の回収に成功し、安心したカナ。
机の下に潜りこんでいたことを忘れ、そのまま起き上がろうとしたのがまずかったようです。
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頭をしたたかに机にぶつけてしまい、悶絶するのでした!!

しばらくして、チアキが家に帰ってきました。
ですがいつも返ってくるはずの「おかえり」と言う声が聞こえてこないのです。
おかえりはどうした、寂しいじゃないか、と漏らすチアキ。
そんなチアキに対してカナが返した言葉は予想外そのものだったのです!
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「お前は誰だ?」。
こういうときは自分から名乗るものだろうけど、ちょっと自分の名前を忘れているもので……と謎の切り返しをしてくるカナ。
そうなのです。
どうやらカナ、先ほどの頭をぶつけた衝撃で記憶喪失に陥ってしまったようなのです!!

妙な遊びを始めたな、と内心思っているチアキ。
ハナから記憶喪失なんて信じていないようです。
まあいきなり記憶喪失だといわれても信じられるわけなんてありませんが……
おそるおそる「私は誰なんでしょうか」と尋ねてくるカナに、チアキは迷いなく返答しました。
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おまえの名前はクラウディアだ。
私はおまえの姉だ、と!!

普通ならば信じることが出来ないであろうその言葉。
ですがカナ……もといクラウディアは実にあっさりとその事実を受け入れました。
そしてチアキをお姉ちゃんと呼び、甘えるようなしぐさをしながらお腹すいた、と視線を向けてくるのでした!

ホットケーキを焼いてあげたようです。
記憶喪失といえどもこれがホットケーキだと言うことはわかるようで、美味しい、おネエちゃんはすごいといいながらクラウディアはホットケーキを頬張ります。
賞賛の言葉を浴びながら、当然だ、私はカナと違ってすごいんだとご満悦のチアキ。
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ですが、そんな素直すぎる彼女にチアキはなんだかよくわからない感情を感じてモヤモヤするのでした。

一緒にテレビを見たり、本を読んだりしていつも以上に(?)仲よく過ごす二人。
その後リバーシに興じていると、クラウディアはおねえちゃんゲーム強いね、とまたまた褒め言葉を投げかけてきました。
チアキは自信満々に私はカナよりも強いのだ!と返すのですが……その言葉にクラウディアは敏感に反応します。
お姉ちゃんさっきも言ってたけど、カナって誰?
そう問いかけてきたのです。
ボケだと思っているチアキからすれば、もちろんカナはお前だろ、と答えるしかありません。
じゃあクラウディアは?と言う問いかけにも、お前と答えます。
つまり私はカナであってクラウディアでもある感じなんだ、とあっさりそれを受け入れるクラウディア。
そしてたまにはカナと交代しないとね、と言うのです。
チアキはちょっぴり慌てて、カナはクラウディアみたいに良い子じゃないんだ、もうちょっとそのままで、と言うのですが、クラウディアは「もうちょっと」っていつまでなのかわからないし、お姉ちゃんを独占してたらカナに悪いと返答。
そしてチアキに対してニッコリと笑いかけたかと思うと、
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うっすらと涙を浮かべて「カナと仲良くね」といいのこし、自分の頭を机に打ち付けたのでした!!

ひとしきり悶絶した後、意識を取り戻すカナ。
なぜ頭が痛いのか、チアキはいつのまに帰って来たんだ?などの疑問はあるものの、とりあえず「おかえり」の声をかけるのでした。
そのおかえりに、カナの帰還とクラウディアとの別れを実感させられたチアキ。
カナからそっと差し出されたハンカチで涙を拭いながら、クラウディアと別れを告げるのでした……
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というわけで、カナ(?)の新たな一面が見られるエピソードを収録した今巻。
待ち望んだかわいい妹との出会いと別れ、そしてさりげないカナのやさしさ……
チアキの心情やいかばかりか……!!
と、そんなみなみけの人々意外にも、様々な人物のあれやこれやもたっぷり収録。
トウマや内田、マコちゃんと言った面々も相変わらず個性を発揮してくれています!!
さらに藤岡とヒトミの作中での初対面&初カラミも描かれ、この二人の間に意外な接点があったことなんかも明かされまして。
海やプールじゃないのに水着回と言う珍しいエピソードなんかもあわせて、見逃せない内容になっていますよ!!

今巻も安定ののんびりっぷり、「みなみけ」第10巻は全国書店にて発売中です。
カラーピンナップも二枚付いて充実の本巻。
待望のアニメ4期も決定し、同日にはDVD付き限定版も発売されて、ますます勢いづいてます!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


みなみけ(10) (ヤンマガKCスペシャル)
講談社
2012-10-05
桜場 コハル

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DVD付き みなみけ(10) 限定版 (ヤングマガジンコミックス)
講談社
2012-10-05
桜場 コハル

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本日紹介致しますのはこちら、「囚人リク」第8巻です。
秋田書店さんの少年チャンピオンコミックスより刊行、週刊少年チャンピオンにて連載されています。

作者は瀬口忍先生。
本作は「囚人リク」のテーマにて紹介をまとめております。
よろしければあわせてご覧くださいませ。

さて、レノマと協力して脱獄の手立てを探っていたリクたち。
レノマは大きな賭けに成功して、監獄の見取り図の入手に成功し、脱獄のルートを朧気ながら見出だす事が出来ました。
自分はなにもできていないと悩むリクでしたが、そこで革命の闘士と呼ばれる男、田中に出会います。
彼は脱出の大きな障害となる手錠から、あっさりと手を引き抜く技を持っていまして。
リクはなんとしてもその技術を教えて貰おうとするのですが……?

何としても手錠抜けの技術と、憎き怨敵である鬼道院の情報を聞き出そうと決意。
ですが田中は以前、脱獄を狙うリクを門前払い同然に扱っています。
とりつく島もないその態度、どうお願いすればいいのやら。
取り敢えず田中のもとへと向かってみたリクですが、そこで意外なものを目撃するのです。
田中のいるS棟で知り合った、いつも一人で寂しげにしている老人。
彼が柄の悪い男に絡まれてしまっていたのですが、田中はそれをうまいこと追い払って助けていたのです。
彼の人間らしい姿を見たリクは、ほんのすこしですが方の力を抜くことが出来たのでしょう。
もっとぶっきらぼうな人かと思っていた、と田中に話しかけたのでした。

何も話すことはない、と立ち去ろうとする田中。
リクはその行く道にどっかと腰を下ろし、田中に話しかけるのです。
やっぱりどうしても、鬼道院にたどり着きたい。
そのために、どうしてもあの手錠抜けを教えて欲しい、と。
他の刑務所と比べると、この極楽島から脱獄するのは困難を極めています。
それでも挑戦するのか?と問いかけてくる田中。
リクはうんと即答するのですが、間髪入れずにダメだ、若い命を無駄に散らすことはない、と一刀の元に切り捨てられてしまうのです。
そんな田中の、ぶっきらぼうな言葉に隠されたやさしさを感じ取ったリクは、ありがとうと感謝の言葉を継げ……
それでも言うのです。
諦めるとか諦めないとかじゃない、やらなきゃいけないことなんだ。
こんな書きの俺だけど、男ならやらなきゃいけないときがあると思ってる。
鬼道院をどうしても許せない……!!
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その眼差しに、紛れもない「男」を感じた田中は、ようやくリクの気持ちが生半可なものではないことを感じ取ります。
そして尋ねてくるのです。
計画はどこまで進んでいるかを!!

リクたちが何日も考えた末にたどり着いた、「マスターキーを手に入れる」「エレベーターは使えない」という重要な要素を次々挙げていく田中。
そんな問いかけに、リクは非常階段を見つけたし、階段の一難かも確かめた、と答えます。
ですがその次の問いかけには、意気消沈するしかありませんでした。
誰の計画だ?お前はなんの役に立っている?
確かにリクは、レノマの心を動かすと言う大仕事をやってのけました。
ですがこの脱獄計画では何もしていないといっても過言ではありません。
言葉につまり、じっとうつむくしかないリク。
そんな彼に、田中は言葉を休めません。
役立たずが動き回っても、仲間を殺すことになるだけだ。
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……さらに続けます。
地上に降りてからどうするのか。
監獄を首尾よくでられたとしても、聳えたつ壁までには多くの「目」があります。
門番、巡回、監視カメラ……
24時間常に見つめ続けているそれらからどうやって隠れると言うのか。
頭を掻き毟りながら考えるリクですが、一切そのアイディアは思い浮かびません。
……が。
すぐに田中は付け足したのです。
ところがそのまとわりつく看守の目をなくす方法がある。
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一週間以内にそれを見つけ出せたら、手錠抜けをおしえてやる、と!!!

リクは考えます。
脱獄計画を練りはじめてからは、レノマにおんぶに抱っこになっていた自分。
そんな自分自身を見返すために。
ですがそう簡単に良いアイディアが思い浮かぶはずもありません。
いたずらに時間ばかりが過ぎていき、残り時間は3日と言う段階にまで迫ってきてしまいました。
明暗はその取っ掛かりすら見せないまま。
リクはずっと頭を鉈ませながら、その火の締めくくりとも言える風呂に入っていました。
もう時間は明日とあさってしかない。
時間よ止まれ、などと呟いてみたその瞬間、周囲は暗闇に包まれてしまったのです!!
手錠が作動し、大パニックになる風呂場ですが徐々に目が慣れてきたかな……と言うところで電気は復旧します。
と同時に手錠の拘束も解除され、たいした問題もなくその騒ぎは収まりました。
リクはこの騒動でひらめきました。
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停電だ……!!

早速翌日、田中にそのアイディアを告げます。
この島には送電線が見当たらない、と言うことは施設内に発電所がある。
まだ方法はわからないが、脱獄する夜にここを破壊すればサーチライトもカメラも作動しない。
停電で暗闇になれば看守もパニックを起こすでしょうし、そうなれば多くの「目」はなくなったも同然だ!!
その作戦を聞いた田中は、うっすらと笑いを浮かべ、ずいぶん頑張ったようだなとリクをねぎらいました。
ですがその直後、
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だが、不正解だ、と言い切ったのです!
一体なぜこの作戦は不正解なのでしょうか?
リクは残り僅かな時間で停電以外の、目をなくす作戦を思いつくことが出来るのでしょうか!?

と言うわけで、リク奮闘編を収録している本作。
リクとレノマのタッグには、肉体能力とそれなりの財力、そして情熱はあります。
ですが頭脳と言う面においては一枚劣っているといわざるを得ませんでした。
そこを補うように現われた田中。
彼が二人と協力して脱獄をするかどうかはわかりませんが、脱獄にかけては抜群の知識を持つ彼のアドバイスを獲られると言うだけでも、かなり有益なはず。
手錠抜けと言う技術だけでなく、様々な知恵を借りたいところですが……

起死回生の作戦をひねり出せるのか?「囚人リク」第8巻は全国書店にて発売中です!!
リクが頭脳で頑張ると言う初の試み(?)が収録されている今巻。
巻末には別冊チャンピオンに掲載された、外伝も併録!
少年時代のレノマが描かれており、こちらも必見です!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


囚人リク 8 (少年チャンピオン・コミックス)
秋田書店
2012-10-05
瀬口 忍

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本日紹介いたしますのはこちら、「範馬刃牙」第37巻です。
秋田書店さんの少年チャンピオンコミックスより刊行、週刊少年チャンピオンにて連載されています。

作者は板垣恵介先生。
今までの本作は「板垣恵介」のテーマで紹介をまとめておりますので、よろしければご一緒にご覧ください。

さて、梢さんの乱入もあったものの、結局二人の戦いはとまることなく続いています。
そんな激闘の中、勇次郎は突然バキの手をとって、「拳の握り方」を教えだしたのでした。

まだバキが幼かったある日。
勇次郎はバキに教えていました。
手と言うのは、この世で一番優れた道具である、と。
ピンセット、テープ、ペンチ、スコップ、熊手といった日常のあらゆる道具の役割を果たし、言わずもがな武器になる。
ハンマーになり、刃になり、槍になる。
勇次郎はまずハンマーの作り方だとバキの手を取って教えるのです、
小指から、各指の根本へと関節をたたむ。
そして今度は逆に、人差し指から順に折りたたんで、仕上げに親指で締める。
その手の中に握られているのは、「力」。
掴んだ力を打ち込むのだ……

その幼い日のやり取りそのままに、勇次郎はバキの拳を作ったのです。
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人類最古にして最良の武器、それが拳。
折りたたんだ指は力を抜き、拳の配置は体に聞く……
始めて勇次郎が、バキに与えた知識。
防御は忘れ、銃身を前足の拇指球に集めて、打ち込むことだけに集中。
そうして二人は同時に放つのです。
勇次郎が全てに勝ると断言する、己の全存在を乗せた拳を!!!
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二人のパンチは、お互いの顔面に突き立てられました。
二発、三発……二人は避けることや、顔面を殴ると言う以外の攻撃方法すらも選びません。
自分を危険から遠ざけて敵を制するという、「武」であり、「術」。
それを一切排除した、この顔面の殴り合いは武術でも格闘技でもなく……
まさに「強さ比べ」そのものなのです!!

延々と続く、無呼吸連続顔面攻撃。
そこからは形容しがたい、何か凄まじい音が放たれ続けています。
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固唾を呑んで見守るギャラリーたちですが、ちらほらとその殴り合いを見るものに外国の方が混じり始め……
彼らは、文字通り祈りをささげるように戦いを見守るのです。
その理由は、オーガの立つ場所に由来していました。
強者を求めて戦っていた勇次郎。
その相手は、屈強な武術者や、数百キロを越える猛獣ばかりではありません。
時には銃器で武装した軍隊を相手にすることも珍しくはなかったのです。
そういった強者の前に立ちはだかると、勇次郎の後ろには自然と強者に見下ろされていた弱者の壁が広がるわけで……
もちろん勇次郎が弱者の味方だなどと言うことは100%ありません。
強いものを相手にしていたら、自然とその背中に弱者の視線が集まっていただけなのですから。
しかし強者をこともなげに粉砕していく勇次郎の背中は、弱者にとってすれば神の姿のように見えているのもわかります。
自然と弱者達は、背中に移るオーガを鬼神……神と崇め、天使のように称えていくようになっていたのです。

そんな勇次郎が今、強者として選んだのは他ならぬ息子、バキでした。
おそらくかつてない充実感を感じているであろう勇次郎とバキ。
ですがその戦いの決着は、既に秒読み段階に入っていました。
この連打が止まるときこそが、決着のとき。
渋川や克巳は、自分はどちらに勝って欲しいのかと悩みながら。
ジャックは、勇次郎に自分だって出来るのに、と聞こえるはずのない絶叫を上げながら、その決着のときを待って見つめ続けます。
やがて、殴り合いの中で勇次郎は不意に両手を横に広げ始めます。
そんな父の行動には一切気がつかないまま、連打を続けるバキ。
せっかくのふれあい、「打つ」ように打ったんじゃもったいない。
抱きしめるように打ち込むんだ。
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そんなバキと同じ考えを抱いたのでしょうか。
勇次郎はその広げた両手で、無造作にバキの体を掴み、高く持ち上げたのです!!
一瞬バキと目が合った勇次郎の顔には、なんともいえない、自愛のようなものすら感じさせる笑みが浮かんでいて……
その直後、
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凄まじい勢いでバキの体は絞り上げられてしまったのでした……!!

というわけで、壮絶な殴り合いが行われた今巻。
その殴り合いの締めは、かつてあの母を絶命に至らしめたハグだったのです。
母と同じように、バキもまたこの技ともいえない技で敗北を喫することになるのでしょうか?
ですが、このままあの日のように、勇次郎を悠々と帰すわけには行きません!!
バキの、思いもよらない最後の反撃が繰り出されることになるのです!!
この反撃は、おそらく読者さん達の誰しもが予想し得なかったものでしょう!!
バキの最後の反撃は、勇次郎にどんなダメージを与えるのか?
そして一体どんな決着へと導くのか!?
もうこればっかりは、その眼で見ていただくほかありません!!
……度肝、抜かれますよ……!!

ついに完結となる、「範馬刃牙」最終第37巻は全国書店にて発売中です!!
いろんな意味で圧倒される結末となった本作。
ですがこのバキと勇次郎を主役としたバキ本編はこれで終わりであるものの、まだまだこのバキシリーズは終わらない様子!!
投げっぱなし放題だった烈のボクシング編や、独歩や渋川の行き場のない闘争心を満たす何か編などを描くスピンオフ的なシリーズが期待できそうです!!
その進展界にも期待しつつ、今はこの決着の余韻でいろいろモヤモヤしたりするのも一興かもしれませんよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


範馬刃牙 37 (少年チャンピオン・コミックス)
秋田書店
2012-10-05
板垣 恵介

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