残暑厳しい昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。
そんな今日紹介したいのがこちら、「不安の種」です。
秋田書店さんよりACWシリーズとして全3巻、続編としてチャンピオンコミックスより「不安の種+」が全4巻刊行されています。

作者の中山昌亮先生は「オフィス北極星」や「PS-羅生門-」などの作画を手がける実力派のベテラン漫画家で、この「不安の種」で初少年誌連載を飾りました。
……まぁチャンピオンREDや週刊チャンピオンを少年誌と位置づけていいのか疑問は残りますが……

で、この「不安の種」は簡単に言うとホラー漫画です。
ですが今までそこかしこに見られた怪談ものでも幽霊ものでもましてや妖怪とのバトルものでもない独自のジャンル、「なんだかよくわからないものもの」になっているのです。

この「不安の種」の記念すべき第1話目を例に挙げますと……
とある普通の小学校に奇妙な噂が広まります。
「夕方の6時過ぎまで学校に残っていると4~6年生の玄関に変なおじさんが迎えに来る」
「そのおじさんは玄関の外にいて絶対に学校にはいってこれない」
「だから中にいる子をこういって誘い出そうとする」
「『あそぼお』」
ただの噂だと強がっていた少女が下校しようとします。
するとなんと本当に謎の男が玄関に立っているではないですか。
奇妙な目のような模様が描かれた麻袋を頭にかぶった男が。
そしてこういうのです。
「あそぼお」
少女は精一杯強がって来るなら来てみろ、どうせ入ってこれないんだろうと涙ながらに叫びます。
するとその男は奇妙に手足を折り曲げ、全身を奇怪に震わせながら
「あ~ぞぼおお あぞぼお」
と狂ったように叫び続けます。
恐怖に震える少女の前で、延々と……

こういった場面でこの話は終わります。
この男は何者なのか?この後少女はどうなったのか?そういった疑問を解消することなく、この話は終わり、まったく別の話が始まります。後日談が語られることは(極稀に語られる話もありますが)ありません。
その物語から生まれる感情は恐怖と、そして何より不安感です。
この「不安の種」は漫画では勿論、その他メディアでもなかなか見ることは出来ない不安感を感じさせてくれるのです!

そして月刊誌での連載を終え、舞台を週刊誌に移して「不安の種+」が始まります。
雑誌を移してもその雰囲気は変わることなく淡々と物語は続き、不安の種は広がり続けました。
そしてついに殺伐とした不安の種界にもアイドルが生まれたのです!!
こういったサイトを巡回している方は聞いたことくらいあるのではないでしょうか。
そう、「オチョナンさん」です!
このオチョナンさん、一見するとただの幽霊といった風貌です。
ですがその顔をよくみると顔のパーツの並びが奇妙であることに気づくでしょう。
人の目と口の大きさのバランスをわずかに崩し、向きを縦にする。
たったそれだけしかいじっていないにもかかわらず、人の顔はなんとも恐ろしくかわるのです。
このオチョナンさん、そんな不安感を感じさせる顔にもかかわらず守り神のような存在らしいというのが萌えポイント。
やさしく家族を見守っている……っぽいんです。勿論詳細は語られません!
しかしこのオチョナンさんの話は何作か続き、どんどんおかしな方向になっていくのですが……
そこはぜひ読んでみていただきたいです。
ホラーが苦手な人も大好きな人も楽しめ、幼い子供さんにはトラウマを与えかねないこの傑作ホラー漫画「不安の種」「不安の種+」
むしむしした不快な夏の夜も涼しくさせてくれること請け合いです!
貴方の本棚の彩りにぜひ一冊、いかがなもんでしょうか。

不安の種+ 1 (1) (少年チャンピオン・コミックス)
秋田書店
中山 昌亮

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夏に最適(笑)すごく ...
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不安の種 (1) (ACW champion)
秋田書店
中山 昌亮

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芽吹くかどうかは貴方 ...
ツボをついた恐怖感か ...
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