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本日紹介いたしますのはこちら、「ガンジョリ」です。
小学館さんのビッグスピリッツコミックススペシャルにて刊行されました。

作者はいがらしみきお先生。
79年にデビュー後、4コマ漫画などを主に執筆。
休筆期間を経て「ぼのぼの」や「忍ペンまん丸」などの動物が主人公のほのぼのとしたギャグマンガで一般に広く知られるほどの知名度を獲得しました。
ですが本来はストーリー漫画を描きたかったそうで、近年では「Sink」や「かむろば村へ」など様々なジャンルの作品を生み出しています。
ちなみに「ぼのぼの」は連載20年を突破し、現在も連載中です!

さて、こちらの作品はホラー漫画の短編集となっています。
ぼのぼのなどでしかいがらし先生を知らない人はビックリすることうけあいですよ!

短編集と言うことで、今巻には4つのエピソードが収録されています。
東北の田舎で起きる恐怖を描いた王道的ホラーの表題作「ガンジョリ」、
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ある日突然巨大観音像が動き出すという奇妙なパニックもの「観音哀歌(かんのんエレジー)」、
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人間は全て細胞でできていると言う言葉を聞いてから世界を見る目が変わってしまった少年の悲劇を描いた「みんなサイボー」、
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落語家の元に届く弟子入り志願のカセットテープが招く狂気を描く「ゆうた」。
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4編それぞれが違った個性を発揮している力作となっています。

個人的に一番面白かったのが「みんなサイボー」でして、主人公が人間は細胞でできていて、物事を考えているのは人間でなくて細胞なのだ、と言う思い込みから疑心暗鬼のような状態に落ち込んでしまう……という物語。
ですがその実、主人公の狂気を描くサイコスリラーと思わせておいて実際に周囲の人間がおかしくなっていっていると言う、二段構えのお話なのです!
その皆が細胞のとりこであると思い込む主人公が見るビジョンが上に紹介したようにまた病的にキモくて素晴らしいのですが、実際におかしくなってしまったママンの行動がまた、
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イヤァああ!
リアルでこんな状況になったらガクブルしてしまいます!
他にもこのママンが全裸に帽子と手袋長靴で庭の手入れしたりと、マニア垂涎もう勘弁してください状態が満載の一編となっていますよ!


この「ガンジョリ」、とにかく全体に漂う精神的に嫌な描写は特筆もので、ホラーに良くあるビックリや恐怖というものとは少し違う、イヤなものを見たなぁ……とでも言うべき不快感のような恐ろしい何かを感じることができます。
絵が上手いとか下手とかを超越した、いがらし先生ならではの生々しさがその不快感とマッチし、なんともいえない良いイヤな気持ちがより増幅!
トラウマになりかねない漫画になっております!

不快感がぎっしりと詰め込まれた短編集、「ガンジョリ」は好評発売中です。
こういういがらし先生を知っている人も知らない人もぜひ読んでいただきたい作品。
あなたもイヤな気もちになれること間違いなし!
……すすんでイヤな気もちになりたくない方にはオススメできかねますが!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!


いがらしみきおモダンホラー傑作集ガンジョリ (ビッグコミックススペシャル)
小学館
いがらし みきお

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