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本日紹介いたしますのはこちら、「ZOO(ズー)」です。
集英社さんのヤングジャンプ愛蔵版にて刊行されました。

作者は原作が乙一先生、漫画が矢也晶久先生。
矢也先生はキャリア20年以上を誇るベテラン漫画家で、ジャンプ系列の雑誌で多く連載をされています。
近年では「なんだかコワレ丸」などを連載し、精力的に活動をされています。

本作は乙一先生の短編集、「ZOO」の中から数編抜き出して漫画化されたものです。
ラインナップは「カザリとヨーコ」「陽だまりの樹」「ZOO」という映画版にもピックアップされた作品に「神の言葉」を加えた4作です。

「カザリとヨーコ」は、双子の妹カザリと母にいじめられ続けて生活するヨーコが主人公。
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彼女は母からものすごくかわいがられているカザリと違い、虐待としか言いようのないひどい扱いを受けて暮らしていました。
カザリもそんなヨーコを馬鹿にしてぞんざいに扱っているという救いのない毎日を過ごしていたのですが、ある日迷子の犬をたまたま見つけて探していたおばあさんに届けたことからヨーコの運命が変わるのです。
おばあさんに気に入られ、今まで味わったことのなかった幸せな日々をすごすことができたヨーコ。
ですがある日ささやかな幸せを壊す事件が起こり、その上おばあさんの身に不幸が降りかかってしまいます。
ヨーコは今の生活から脱出する決心を固め、ある計画を実行するのでした。

「陽だまりの樹」はロボットの少女とある男の生活を描いた作品です。
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まもなく死ぬ男の埋葬をするために作られたと告げられる少女。
そして男は自分を正しく埋葬するためにロボットである少女に「死」を学んで欲しいと語り、生活させるのでした。
徐々に人間らしさを学んできた少女。
「死」が何なのかということもある出来事で学習するのですが、それは同時に死に行く男に対して今まで持っていなかった感情を持ってしまうということ。
更に男には隠された事実があって……

表題作「ZOO」は主人公の男のもとに毎日写真が届くところから始まります。
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行方不明になったはずの彼女の遺体が毎日写真に取られてポストに投函される……
猟奇的ともいえる異常な行動に男は怒り狂い、毎日のように犯人を捜して奔走。
ですがどこからともなく聞こえてくる自分を否定する声。
振り切って復讐の捜索を続ける主人公ですが、毎日繰り返されている捜索、実は毎日同じ結果にたどり着いていて……

そして「神の言葉」。
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主人公は声によって生物を自在に操る能力を持つ少年。
彼はそんな能力を持ちながらも、日常では冴えない高校生に過ぎず、あらゆる出来事にストレスを感じつつ生きてきました。
ですがある日とうとう精神の均衡が崩れてしまいます。
気がつくと自分の机の前で手に彫刻刀を持っていた少年。
衝動的に自殺する寸前にわれに返ったのかと考えた少年ですが、どうやらそうではない様子。
それから後もふと気がつくと机の前に彫刻刀をもってたっており、そのたびに机に刻まれた傷が増えていました。
毎日が妄想なのか現実なのか、自分自身すら分からなくなってきた彼は机の上に「ずっとおいてあったラジカセと大量の電池」にその時気がつきます。
ラジカセからは自分の声が再生され……恐怖の現実を語り始めたのです……

といった乙一先生ワールド全開のストーリーを矢也先生の丁寧な筆致でつむがれている本作。
ストーリーはあの乙一先生ですからもちろん秀逸。
感動に恐怖に、高レベルで各種取り揃えられています。
その各話に毎回用意されている驚きの仕掛けは読者の度肝を抜いてくれることうけあいです!
そこに矢也先生の絵柄がマッチ。
かわいらしい女性キャラは感情移入をより濃いものにしてくれますし、描き込まれた描写は恐怖や狂気をより加速させてくれています!

映画化もされた人気作品のコミック版、「ZOO」は好評発売中です!
どの作品も「死」と深い係わり合いのあるストーリーゆえにちょっと暗い気分になってしまうかもしれませんが、それでも話の面白さは折り紙つき!
読めばきっとあなたに驚きを与えてくれますよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


ZOO―コミック版 (ヤングジャンプ愛蔵版)
集英社
乙一

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