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本日紹介いたしますのはこちら、「ブラック・ジョーク」第4巻です。
秋田書店さんのヤングチャンピオン・コミックスより刊行、ヤングチャンピオンにて連載されています。

作者は小池倫太郎、田口雅之の両先生。
本作の紹介は「田口雅之」のテーマにてまとめておりますので、お時間などございましたらご覧いただけますと幸いです。

頭脳派の吉良と肉体派の小玉が賭博特区ネオン島で巻き起こる事件をねじ伏せていく本作。
この第4巻では「紅の虎」と呼ばれる人物を中心に物語が展開します!

吉良たちが所属するホテルに新たな上客がやってきました。
とある王国のプリンセスとその関係者達です。
なんでもその国に革命がおきてプリンセスは追われる身になってしまいまして、革命政府から身を隠すためこのホテルにやってきたのです。
そんな身の上上、危ない目に会うことも多かったそうで、トラブルから守ることも吉良達の仕事のひとつ。
プリンセスを出迎えると、さっそく刺客……ではなく、たまたまカジノで大負けしたチンピラが八つ当たりとばかりに大暴れしながらその場に現れました。
直接の被害はなさそうですが、暴漢の登場に怯えるプリンセス。
吉良はすぐさま小玉に取り押さえさせようとしますが、そこに1人の男が颯爽と姿を現します。
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その男は暴漢をひっくり返すなり「お前の憤りの内側には哀しさがあるのか?」とかっこいいような決してそうではないような台詞を呟きます。
いきなり現れた彼、プリンセスのボディーガードを勤める京極銀次郎という人物。
現在の日本の体たらくを憂う言葉を吐いたかと思えば、川でおぼれる野良猫を真っ先に飛び込んで助けたりする絵に描いたような正義漢です。
更になんでも、かつてプリンセスの国の奥地にある村で隣国の悪漢が暴れていた際にたった一人で数十人を相手に戦い、勝利を収めたんだとか。
勝利の翌朝、返り血を浴び朝日に照らし出された彼の姿を村人は「紅の虎」と呼んで讃えます。
そしてその紅の虎の魔人のごとき強さを耳にした隣国は彼を恐れ、蛮行をやめたそうで……まさしく生きる英雄、という男なのです。
ですがその話を聞いた瞬間、
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いままで「俺様系(笑)」と京極を小馬鹿にしたように見ていた吉良と、彼の格闘術にちょっとだけ興味を惹かれていたし小玉になにか思うところがあった様子。
表情を険しくし、お互い目を見詰め合うのでした。

その後も京極の俺様っぷりを見下すように見つめ続ける吉良。
豪勢な夕食を終え、ホテルへと向かう帰路の途中事件は起こります。
一同の車を取り囲む数名の若者。
おそろいのライダースジャケットと妙にちゃちい銃を構え、プリンセスを渡すように迫ります。
革命政府の刺客にしてはあんまりにもアレな装備におもわず「そぐわなくね?」と呟いてしまう吉良ですが、相手は大真面目。
そして京極も大真面目にマントを翻して若者たちの前に立ちはだかります。
銃を持っている相手にして大仰に見得を切ってどうするんだとあきれる吉良ですが、その瞬間どこかから狙撃されました!!
狙撃手まで用意していたのかと驚く吉良ですが、なにやら襲ってきた若者達も「聞いていない」と戸惑っている様子。
そんな状況も構わず更に銃弾は降り注ぎ、
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吉良の胴を抉り取ってしまいました!!
ですがその衝撃のためその場にいるものが驚き、生まれたほんの一瞬の間に
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小玉が拳を爆発!!
あっさりと賊を退治してしまうのでした。
撃ち抜かれてしまった吉良も、実は腹に仕込んだ血袋のようなもので撃たれた様に見せかけていただけで、襲撃の犠牲は吉良のスーツ一丁だけ。
そんなトリッキーな方法で隙を生み出して勝利を収めた吉良に京極は「面白い戦い方だ」「名演技だ」と手を叩いて褒め称えます。
その賞賛を受けた吉良は京極に「芝居するのは色々と消耗するよなお互い(笑)」と返事を返します。
その言葉に京極は反応してしまうのですが、自分を憧れの目で見つめるプリンセスのおつきの少年のまなざしを受けていることに気がつくと、素直に吉良を賞賛する男前台詞を吐いてスルーするのでした。

その夜、先ほどのおつきの少年は自分の作った干し肉を京極に食べてもらおうと部屋を訪ねました。
部屋のドアは開いており、少年は中に入りますがそこには誰もいません。
ですがその部屋においてあるパソコンの電源は入っており、ディスプレイには京極の写真がでかでかと写ったウェブサイトが映し出されています。
内容までは良くわからない少年は素直に京極が載っててすごいや!!と喜びます。
その時、背後にあった京極の携帯が鳴り出しました。
これもなんだか解らない少年ですが、なんか光っててかっこいい!!と思わず手にとってしまいます。
瞬間、おいと声をかけられた少年が後ろを振り向くと京極が立っていました。
純真な瞳で干し肉を差し出す少年ですが、
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京極は人の携帯を見るなと激怒!!
容赦なく顔面をひっぱたき、部屋からたたき出してしまうのでした!!

紅の虎を怒らせてしまったと1人外で泣きじゃくる少年。
そこへ小玉がやってきました。
慰めようとやってきた、というわけでは勿論ありませんで、少年の持つ干し肉の臭いにひかれて分けてもらいに来たようです。
素直に上げる少年、そして美味いと食いまくる小玉。
とりあえず腹が膨れたからか、小玉は少年が泣いていることに気がつきました。
京極に、紅の虎に嫌われてしまったと涙をぽろぽろとこぼす少年。
そんな姿を見た小玉は、干し肉を一から作ることの出来る少年ならそいつに嫌われても生きていけると力づけるのでした。

翌朝、ホテルの屋上に吉良たちやプリンセスたち、そして京極が勢ぞろいしていました。
そんな場面で吉良の口から出たのは
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京極をプリンセスのボディーガードから解雇すると言う言葉でした。
吉良はお得意の頭脳とコネを持って京極を解雇する4つの理由を説明。
ひとつは昨夜のテロリストが思わずもらした「聞いていない」という言動から京極の仕組んだ狂言であろうことがわかるというもの。
二つ目はひとつめの証拠のようなもので、狂言テロリストが持っていた銃は低品質で安価なもので、テロリストが持つはずのないチープすぎるものだということ。
三つ目は更に決定的な証拠で、ある筋によって狂言テロリストたちと京極がメールのやり取りをしていることがわかったこと。
そこまで語ると、吉良はついでに調べた京極の生い立ち……大財閥の次男坊で、親の金で自分探しの旅なんかをして喜んでいる依存症のナルシストだと小馬鹿にするのです。
その言葉に京極は遂にブチ切れ。
なりたい自分を追い続けることを馬鹿にするのかと激昂します!!
ですが吉良はそんな熱い主張をもういいからとあっさり受け流し、悪あがきしたいならこいつとやってくれと小玉とバトンタッチするのでした!!

なんだかんだいって武術の心得がある京極。
小玉が負ける姿はあまり想像が付きませんが、一応珍しい武術を使いこなすようで油断は出来ない……かもしれません。
そんな二人が戦っている中、吉良の口から語られる4つ目の理由……
京極ではない、本当の「紅の虎」の正体が明らかにされるのです!!
物語はそのまま真・紅の虎誕生編へ突入!!
舞台や時が変わっても一向に変わらない、デンジャラスでバイオレンスなアクションげ再び幕を開けます!!


というわけで「紅の虎」尽くしとなる本作。
とにかく胡散臭い京極ですが、与太話にも思えた紅の虎が本当の話で、しかも今まで本作にでまくっていた人物が正体だというのですからまんざら単なるカッコツケマンではありませんでした!!(かませ犬ですけど!)
後半の紅の虎誕生編では語られたとおり、一対数十人の壮絶なバトルが繰り広げられるのです!!
更にそんな紅の虎関係意外にも、この「ブラック・ジョーク」の元となった読みきり、「KAORU」が掲載!
元といっても割としっかり関係があるようで、吉良や小玉なんかは登場しないものの、本編と同一の登場人物が出るなど、きちんとした番外編として成立しています!
こちらも本編に負けず劣らずバイオレンスでいい意味であほらしい作品にしあがっております!
更に更に今回は田口先生による「聞かれてもいないのに質問に勝手に答える」コーナーが収録!!
田口先生の熱すぎる情念のほとばしりはやっぱり必見ですよ!!

田口先生曰く、怖くてグロくてカッコ良くて奇妙でちょっと笑えるB級アクション「ブラック・ジョーク」最新第4巻は好評発売中です!!
とにかく勢い任せの楽しさが溢れだしている本作、漫画にテーマ性なんかを求めない人ならば一層楽しめる娯楽作品にしあがっています!!
ある種のナンセンスが溢れるストーリーに加え、迫力溢れる絵作りもすごいの一言!!
後半のエピソードで突然一部キャラの画風が変わっているところにも要注目(?)ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


ブラック・ジョーク 4 (ヤングチャンピオンコミックス)
秋田書店
田口 雅之

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