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本日紹介いたしますのはこちら、「奇怪噺 花咲一休」第1巻です。
集英社さんのジャンプ・コミックスより刊行されました。

作者は原作が小宮山健太先生、漫画が河田悠冶先生。
どちらもそれぞれがジャンプで漫画賞を受賞し、今作でタッグを組んで10年に同作の読みきりでデビュー。
11年にめでたく本作で連載となりました。

さて、本作は強いて言えばバトルものとなっています。
といっても肉弾戦を行うわけではなく、頭脳戦がメイン。
それも頭脳を駆使して戦う、と言うわけではなく、純粋な知恵比べと言う意味での頭脳戦。
ジャンプでは比較的珍しい作品となっているのです。

茶屋でおっさんに絡まれている男がいました。
といっても変な因縁をつけられたりしているわけではなく、「ふたを開けずに湯飲みの中身を当てろ」という問答を挑まれているのです。
ですがおっさんに「とんち坊主」と呼ばれているこの男、
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その問答に一切取り合わず、自分をとんち坊主と呼ぶなとご機嫌斜め。
そんなつれない態度をされてはおっさんの方もご機嫌が悪くなっちゃうのもしかたないこと。
そんな状態で、自分の店の前で物乞いをしている少年を見つけたおっさん、イライラのはけ口にでもしたのでしょうか……ここで物乞いをするな!と少年を怒鳴りつけるのでした。

その少年、以前にもここで物乞いをしていて、そのときもこのおっさんに注意されたようです。
ここで物乞いすると良くお金を落としてくれるということなのですが、茶屋のおっさんからすればその金がこの茶屋で使うはずのものだったらどうするんだと言う言い分の様子。
やがて怒りはエスカレートし、商売の邪魔をするな!お前は消し炭くさいんだよ!といためつけ始めたのです!
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あまりに酷い仕打ちですが、そのすさまじい剣幕に周りの人々は遠巻きに見ていることしかできません。
そのなかでたった一人動いたのが、先ほどの男……一休です。
先ほどの問答で差し出された湯飲みを逆さまにしておっさんの頭に載せた一休。
そしてそのまま湯飲みを持ち上げ、
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「ふたを開けずに『湯飲み』を開ければ中身がわかる」と屁理屈……いやさとんちを披露したのです!
湯飲みの中にはなみなみと熱いお茶が入れられており……
頭からそれをかぶらされた形になったおっさんは慌てて店の中へ引っ込んでしまうのでした!

そのおっさんのこっけいな姿もあり、周囲の見物人はそのとんちを大絶賛。
しかし一休は、とんちを褒めるくらいならこの少年になにか恵んでやってくれ、とんちじゃ人は救えない、利益が伴わない知恵なんて何の意味もない、と冷めた様子です。
ですがその人情はホンモノのようで、物乞いの少年が宿もないことを知ると、じゃあウチの寺に来い!と坊主として引き取ることを決めたのでした!

そんな一休の姿を見て、周囲の見物人は不思議がります。
子供の頃、どんな難問を吹っかけられてもずばずばととんちで切り捨てていた一休。
そんな彼が、今は一切とんち問答をしなくなった。
一体いつからだっただろう……と。

そんな町の噂を耳に入れた先ほどの少年、とんちが得意なら俺と勝負しないか?などと持ちかけてみたものの、一休はやっぱり「やらない、やりたくない」とシャットアウト。
なんでも、あるとき一休が誇っていたとんちには、刀でたとえるなら切りつける刀身がなかったことに気が付いてしまったのだそうです。
でも俺はそのとんちに救われたよ!と無邪気に一休を慕ってくる少年。
あんなもんその場しのぎに過ぎないよ、と少年の頭をなぜる一休ですが、その時少年の体が高熱を発していることに気が付きます。
朝から調子が悪かったと言う少年は、やがて口から奇妙な黒煙を吐きながら倒れてしまいました。
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この奇病は黒烟病(こくえんびょう)と呼ばれるもので、命に関わる重大な病気である様子。
そんなとき、慌てふためく一休の前に、突然得体の知れない化け物が現われました。
カルマと名乗るこの化け物、
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一本の刀を一休に渡し、その子供を救えるかもしれないからそれをもって寺にもどれと言い出します。
事情は良くわかりませんが、寺の様子も心配です。
その刀を持って一休は急ぎ寺に戻ると、そこには多くの仲間たちがバタバタと倒れ伏し、そこかしこで様々なモノが破壊されているのです。
唯一生き残ったのは和尚一人。
どうやら先ほど現われたカルマがこの惨劇を招いたようです。
坊主達は魂と体を剥離させられ、こん睡状態となっているようですが、ことが終わったら元に戻してやる……とカルマが姿を現して語ります。
そのこととは、一休への知恵試し……とんち問答!
一休に渡した刀は、寺の釣鐘ですら真っ二つにするという「何でも切れる」刀。
その刀で切れないものをもってこいと言う問答に答えられれば寺の皆は救われ、一休が望む願い、少年の山井を治すという願いをかなえてやるとのこと。
ですがその「切れないもの」は固形に限るとのことで、誰でも考え付く水やら空気やらと言う答えは通用しません。
とはいえここで逃げては男が、(元)とんち坊主の名が廃る!
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多くのものの命がかかったこの問答、果たして一休はいかに乗り切るのでしょうか!?

というわけで、とんちで戦う本作。
このあと、刀身が付いていないはずはずのとんちで、世界を救ってやろうという一休の旅が始まります。
いきなりたずねてきた謎の妖怪、カルマが挑んできたとんち問答、そして少年が犯された黒烟病。
この何の菅関係もないかとも思われた組み合わせ、実は一休と深い関係のある組み合わせでした。
そこには一休のとんち問答封印と、一転してとんちで救世の旅にでる理由が秘められていまして……
一見軽い男に見えた一休の、そのうちに秘めた思いはホンモノなのです!

とんちが世界を救う、「奇怪噺 花咲一休」第1巻は好評発売中です!
この先どんな困難が降りかかり、どんなとんちで乗り切っていくのかが見所の本作。
次に襲い掛かってくるとんち問答はいかなるものか楽しみですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


奇怪噺 花咲一休 1 (ジャンプコミックス)
集英社
2011-09-02
河田 悠冶

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