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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編」第4巻です。
小学館さんより刊行されています。

本大全集の紹介は、「藤子・F・不二雄」のテーマで記事をまとめています。
よろしければあわせてご覧ください。

さて、F先生の真骨頂とも言えるSF(すこしふしぎ)ワールドを堪能できる短編集となっている本作。
この第4巻には「S-Fマガジン」誌をはじめとしたSF雑誌や、「別冊問題小説」「奇想天外」といったややマニアックな雑誌に掲載された作品をまとめてあります。
読む年齢層が高めであろうと言うこともあってか、ブラックな物や風刺的なもの、後味のよくないものまで実に様々なジャンルを活き活きと描いていらっしゃいます。
そんな中で今回は、F先生の数ある読み切りの中でもとりわけ恐ろしいと言う声もある、「ヒョンヒョロ」を紹介したいと思います!

マーちゃんがお外から走って帰ってきました。
ママのもとに駆け寄って、いの一番に行ったのは手紙を渡すこと。
なんとこの手紙、円盤に乗ったうさぎちゃんがくれたと言うのです!!
ですがママもなれたもの。
この間は緑色の狼男を見たといったり、お星様を拾ったなんていったりしていますから、子供のでまかせだろうとたかをくくり、ウソをついちゃダメと戒めるのです。
マーちゃんはお星様ならまだ持ってるもん、見せようかと反論しますが、まだそんなウソをついてるのかとママは怒るばかり。
その騒ぎを聞きつけたパパは、とりあえずそのお手紙を見てみることにしました。
その手紙はなんと「きょうはく状」!
内容は
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「ヒョンヒョロをください くださらないと誘拐するのてす マーちゃんどの」と言うものだったのです!!

子供のいたずらに過ぎないだろうとは思ったものの、心配性のパパは警察に相談してみることに。
もちろん警察も一応は来てくれますが、そもそも誘拐と言うのはさらってから対価を要求するものだし、宛名が子供宛になっている、さらに要求しているものが「ヒョンヒョロ」……と、ふざけているとしか思えない内容に怒って帰っていってしまうのです。
確かにいたずらとしか思えない内容ですが、どうしても薄気味の悪いものを感じてしまうママは、マーちゃんをしばらくおもてに出さないことにしました。
マーちゃんはつまんないと言いながらもお部屋で遊びます。
するとなんと言うことでしょう。
いきなり壁からにょっきりと兎の耳のようなものが突き出てきたかと思うと、
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おおきなうさぎのような変なのが姿を現したのです!!

うさぎはマーちゃんが字が読めないと言うのをここでしり、なんか困ってます。
そこでマーちゃんと一緒にパパに例の手紙を読んでもらおう!と言うことになるのですが……
パパは目の前に現われた、非現実的にもほどがある巨大兎を受け入れることが出来ないのです!
じゃあママだと標的を代えてみても、反応は同じ。
必死にうさぎとマーちゃんは二人に話しかけるのですが、パパママはこれは幻覚に間違いないと思い込み、無視を決め込むのでした。

そんななか、うさぎはテレビのサスペンスものを見てひらめきます。
場所と時間を指定していなかったから説得力がなかったんだ!と。
そこで認めたのが「続きょうはく状」!
またまたマーちゃんはパパママにその手紙を持っていくのですが、うさぎが見えたとピリピリしているところでその手紙の登場。
パパに拳骨で怒られてしまうのでした。

その夜、拳骨の件で夫婦喧嘩から仲直りしてそのまま……と言う流れでいい感じになってしまったパパママ。
そこにうさぎが乱入してきまして、有性生殖に興味がある、やってくれ!とはやし立てるもんだからたまりません!
今まで無視を決め込んでいた二人は、思わず出て行けと思いっきり物を投げつけてしまいました!
自分とマーちゃん以外にもうさぎが見えている。
そこでようやく二人はこのうさぎが幻覚でないことに気がつき、警察を再び呼び出します。
警察も慌てて飛んでくるものの、めのまえにいるへんなうさぎが犯人で、しかも目の前にいると言う事実にまたふざけていると怒り心頭!!
ぷりぷりと怒りながら帰ろうとするのですが、このままじゃ話にならないとうさぎは行動を起こしました。
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警察が乗り込もうとしたパトカーを、運転手ごとパッと消し去ってしまったのです!!

警察は血相変えてうさぎを逮捕しようとするのですが、うさぎは文字通り「次元が違う」存在のようで、何をしようにもまるで歯が立たないのです!
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こうなってはもう要求を聞くしかありません。
穏便に済ませたい、言うことを利くから子供を巻き込まないでくれ。
そうお願いするパパですが、子供を巻き込まないのはおかしいと首を傾げるうさぎ。
ですが変則的ではあるが、と約束してくれました。
そしていちおう脅迫状通り、指定した場所に指定したものをもって来いと言う要求の他、地球の週刊どおり警察に捜査をして欲しいと言い出したのです。

相手は何をしても答えないとわかっていながら、そしてその相手の指示で対策本部を作ったり張り込みをしたりする警察の皆さん。
なんだかわけのわからないまま指定された午前0時、約束の時間は来てしまいました。
不安なのは警察もパパも同じ。
相手の異常っぷりもさることながら、「ヒョンヒョロ」がなんなのかわからないのですから!
結局何かわからないまま、家中の金目のものをかき集めて渡すことにしたわけですが……
丁度指定の時間になるまで決してそれを受け取らなかったうさぎ。
時間ピッタリでようやく受け取ったうさぎは、ブツの中身を見てムッとするばかりです。
こんなもので誤魔化す気なのか?と怒るうさぎに、パパと警察はそれしかないんだ、一体ヒョンヒョロとはなんなんだ?ともう直接聞いてしまうしかない状態に追い込まれてしまいました。
ですがうさぎはその質問にすごく驚いています。
宇宙最高最大の価値を誇るヒョンヒョロを知らないなんてなんて非常識なんだ。
いや、信じられない。
驚きの言葉の後に、うさぎはこうしめました。
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誘拐を実行する!!

翌朝。
町は不気味に静まり返っています。
生活の音すら一切聞こえない街の中、マーちゃんは目を覚ましました。
ママを呼んでも返事はなく、仕方なくマーちゃんはおもむろにおもちゃ箱をあさりはじめます。
するとそこから、きらきらと光を放つ小さな玉が転がり落ちてきました。
再びママを呼びマーちゃん。
ママ、僕ウソつかないよ、こないだ拾ったお星様だよ。
ヒョンヒョローって空から落ちてきたんだよ。
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……返事は返ってきません。
おそらくこれからも帰ってくることはないでしょう。
……子供は巻き込まないことに決めたのですから……

と言うわけで、恐ろしいと言うほかないラストを迎えるエピソードとなっている本作。
前半のコミカルな展開から一転して、どん底異常の奈落に突き落とされるラストはもう恐怖の一言しかないでしょう!!
この恐ろしさとコミカルさのふり幅は是非ともその眼で確かめてみていただきたいもの。
F先生のすごさを実感できる作品です!
もちろんこの他にも素晴らしい作品が満載!
有名な作品ながらその寂寥感は未だ色あせない「カンビュセスの籤」、作画がご本人ではないと言うだけでなく、独自の視点で古典を漫画化すると言う珍しい作品「サンプルAとB」、あの小池さんを主役に据えつつ、スーパーヒーローのあり方を描く「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」などなど、どれをとっても注目作ばかりです!!
さらに巻末の特別資料室には、「コミック&コミック」誌で発表した1コマ漫画集「宇宙開拓史」を収録しています!
そのうえなかなか読むことの出来なかった、前述の「サンプル~」「ウルトラ~」について語ったインタビューも掲載されていまして、最後の最後まで目を放すことの出来ない1冊に仕上がっているのです!!

魅惑のすこしふしぎワールドが広がる、「藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編」最終第4巻は全国書店にて発売中です!!
これにてこの「SF・異色短編」シリーズは終了となりますが、12年8月にはまだ「初期SF短編」の発売が予定されています。
こちらも見逃すわけには行かなそうですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編 4 (藤子・F・不二雄大全集 第3期)
小学館
2012-07-25
藤子・F・ 不二雄

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