本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 エスパー魔美」第1巻です。
小学館さんから刊行されました。
作者は無論藤子・F・不二雄先生です。
現在刊行中の大全集の紹介を「藤子・F・不二雄」のテーマでまとめておりますので、そちらもご参照くださいませ。
さて、この「エスパー魔美」も言わずと知れた人気作です。
アニメ化し、近年にはドラマ化も果たした超能力少女物の草分け的存在が大全集で刊行されました。
主人公の魔美が突然超能力に目覚め、身の回りの些細なことから大掛かりな犯罪までを解決していくというこの作品。
F先生の連載作品としては珍しく主人公が女の子で、そのうえ更に珍しく中学生。
それだけに他の作品よりも大人向けな、シリアスな話が多めに展開します。
メインとなる登場人物も魔美の他には超能力に関してアドバイスをくれる真面目で実直な高畑と、売れない画家である魔美の父親くらいで他のキャラは殆どゲスト出演程度。(あとペットのコンポコがいますが)
少ない登場人物でより人間関係を掘り下げていく形になっています。
高畑との関係はまさに友達以上恋人未満と言った感じで、魔美のほうは心から信頼している友人と言うスタンスですが、高畑の方も異性として意識しないでは無いですが、魔美よりもむしろ超能力に興味津々……と、なんとも不思議な関係。
ですがそれだけに、「ドラえもん+のび太」の要素を魔美と高畑の二人に分け合ったような……他作品にはあまり見られない独特な展開を楽しむことができます。
物語自体も会社の金を持ち逃げして自殺を考える人物を救ったり、誘拐事件を解決する為に奮闘するものの逆に拉致されてしまったりと重いものが多いのですが、特に「魔女・魔美?」のエピソードは恐ろしいものになっています。
ある日、魔美のクラスメートに行動を監視しているとしか思えない内容を書いた脅迫状のようなものが送り付けられました。
クラスメートは友人に相談して犯人を推理するのですが、
魔美がたまたまテレポーテーションを繰り返して移動中に屋根の上にいる姿を見られたことから「魔美が人の家を覗き歩いている」と言う噂が広まります。
それによって魔美は孤立。
潔白を証明する証拠も無く困り果てるのですが、高畑だけは魔美をしんじてくれて噂の真相の調査を手助けしてくれるのです。
高畑が調べると被害者の家には盗聴器が仕掛けられており、その電源を切ることによって犯人が様子を見に来るところを現行犯で逮捕、めでたしめでたし……となるのですが、最後のコマの薄ら恐ろしさが凄いんです!!
誰も信じてくれない絶望感と信頼する人物によっての救済、そして意外な犯人……こりゃ火サスの域を超えてますよ!!
他にも色々と見所は豊富で、たとえばテレポーテーションに使う例の装置がビーズでなく仁丹を飛ばしているのにビックリです!
しかも魔美の好物であるウメ仁丹!!
アニメでは権利関係でビーズに変更したらしいのですが、ウメ仁丹が好物って……77年の連載当時には普通だったんでしょうかね……?
また、父が画家で魔美をモチーフにした連作を描いていると言う設定上、サービスシーンも豊富!
惜しげもなく脱いでます!!
胸だけでなくおしりにまで感じさせるこだわり……F先生は本物だぜ!!
全集ならではの要素として、連載時のカラーを完全再現してあったり、予告カットや「漫画家スタジオ拝見シリーズ」と銘打った藤子先生の仕事場を自らの筆で書いたカットなどが収録されており、資料的な価値もたかいものになっています!
F先生作品上まれに見る女子中学生が主人公の大ヒット作、「藤子・F・不二雄大全集 エスパー魔美」第1巻は好評発売中です!
比較的入手しやすく、全話読みやすかった本作ですが、やはり全集ならではの様々な特典は魅力的の一言!
未読の方ならば特に避けては通れませんよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!