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今回紹介いたしますのはこちら。

「横須賀こずえ」第2巻 小田扉先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、小学四年生程度の知能を持つ犬、こずえの日常を描いていく本作。
なんだか不思議な出来事も巻き起こってしまうこの町で、今日は何が起こるのでしょうか!?



こずえはあることに想いを馳せておりました。
お母さんがお化粧を直すときなどに座る鏡台。
こずえも自分の鏡台で、自慢のヘアーを整えてみたりしたい……!

いつものように街中を闊歩するこずえ。
すると講演で普段あまり見かけない男がいることに気が付きます。
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その男は「散歩犬レンタル」と書かれたのぼりを持っていて、二匹の犬を連れておりました。
「可愛い犬とお散歩できます、30分1000円」。
男は二匹の犬を貸し出して、お金を稼いでいる様子。
ちょうどその時も二匹在籍している犬の片方、黒い犬のクロが貸し出されている所でした。
男がお金を頂戴し、クロを見送りますと……背後にこずえがたたずんでいることに気が付きました。
そのどこか知性を感じさせるたたずまい……
思わず男はこずえに話しかけてしまうのです。
野良犬でもないようだが、お前なかなか賢そうだな、うちで働かないか?

そしてこずえは散歩犬レンタルの三匹目のキャストとして働くことになりました。
こずえはなかなかやり手でして、30分の時間制限が来る……と言うところで、もっと散歩したいと言うようなそぶりを撮ることでまんまと延長料金をせしめるなど、利益を生み出していきます。
ついでに、
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取り分として与えられた100円に、もっとよこせと不満をあらわにする主張も欠かしません。
男も商売でやっている以上、取り分はあげられないのでしょう。
これからも働いてくれるならこれをやるから、とこずえ専用のがま口を支給してくれまして、今後の給料はここに入れられることになったのでした。

月日は経ち、こずえは順調に稼いでいきます。
一定の額を稼ぎますと、男に要求してあるものを買ってこさせました。
まずは高さ数十センチくらいの小さいおもちゃのタンスと、その上に置く鏡。
こずえはそれでマイ鏡台を形作ったわけです!
憧れの兄弟を手に入れたこずえですが、欲望はとどまることを知りません。
こずえは男の導きにより、天井裏のネズミ退治だとか、タイムカプセル探しだとか、そのついでに怒気を発見してオークションで売るだとか、もろもろの仕事を行ってどんどんと稼いでいくのです!
そして男に頼み、どんどんグッズを取り揃えて行きます。
ハート形の足ふきマットに、砂場遊び用の熊手……
こずえは自分が寝そべるマットに、紙を梳るブラシ的なものもゲットしたのでした!!

その後も様々な仕事を手掛けるこずえ。
「VR犬」を作ろうとしている会社に協力してみたり、とあるちょっと奇妙なことを教える学校「スクールオブドッグ」に出張してみたり。
おかげさまでこずえのスペースには
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ソファやら椅子やら時計やらまで完備され、異様に豪華になってしまうのですが……お金と言うのはいくらあっても困らないもの。
こずえはまだまだ稼ぐつもりのようです!
その後も本業(?)の散歩犬レンタルでも断トツの一番人気に。
男も、マダム(男のこずえの呼び名)が来てから順調な売り上げだ、とそろばんをはじいてほくそ笑むのです。
ところが、です。
ある朝、なぜか男の飼い犬であるクロとシロが家から出たがらないのです。
体調が悪いのか、今日は休んでろ、マダムにたっぷり稼いでもらうから。
そう言って男は仕事に向かうのですが……どうにも今日はお客さんの数が振るいません、
どうしてかと周りを見てみますと……何と、クロとシロがそれぞれ見知らぬ人に連れられて散歩しているではありませんか!!
よくよく見てみれば、彼らの後ろには「ドッグレンタル」ののぼりを立てた怪しげな男が……!
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しかもそのドッグレンタル、お値段なんと30分900円!!
クロとシロが……裏切った!?
男はあまりのショックに……!!!



というわけで、今巻もこずえの犬らしからぬドッグライフが描かれる本作。
この散歩犬レンタル業、こずえはまだまだ続けるようで、今後も仕事風景が描かれていくことになりそう。
この紹介文でさらっと書いた部分も一話まるまる使って描かれているエピソードもありますので、そちらはぜひとも皆様の目でお楽しみください!!
その他にも様々なお話が用意されております。
こずえが世話になっている王島家の長男、健三の人となりを掘り下げるお話や、こずえと健三の出会いと言った健三系のお話が何話か用意されていますし、近所のちょっと不思議な神社でこずえがまたまた副業を手に入れるお話や、こずえ的なフォルムの犬が主役になった原始時代のお話などの変化球も用意。
そのどれもが小田先生の持ち味である、とぼけた感じの牧歌的な雰囲気が漂う、力を抜いて楽しむことができるお話ばかり。
バカバカしく、深い気もする、時々しんみりほっこりさせてくれる味わいが楽しめるのです。
それはまさしく「団地ともお」を彷彿させる、何でもありありのストロングスタイル!
現実の横須賀と作中の横須賀がリンクする(?)描き下ろしのおまけも満載で、小田先生ワールドが思う存分楽しめる一冊となっているのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!




ところで「コロコロ創刊伝説」の巻末の単行本案内などで「全2巻」表記がされていた小田先生の「
新日ファンタジー」ですが、本作の巻末では「1~2巻大絶賛発売中!」の表記となっております。
20年夏号のコロコロアニキにも掲載はありませんでしたが……連載継続ももしかしたらありうる、のかも……!?
こちらも要注目ですね!!