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今回紹介いたしますのはこちら。

「夏目アラタの結婚」第3巻 乃木坂太郎先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、連続殺人犯「品川ピエロ」こと品川真珠の口から、事件の真相を聞きだすため奮闘するアラタ。
なりいきで新たは真珠と結婚することを約束してしまうのですが、なんとかアラタはそれを回避しつつ、真珠に真相を話させようとするのです。
が、真珠はその魔性の魅力と人心掌握術をもって、新たのみならず、周囲の人物まで巻き込み始めて……!?



決定的な証拠こそ掴まれてはいないものの、真珠はアラタがいくつか嘘をついていることに気付いているようです。
そして真珠に完全に心酔してしまっている弁護士の宮前を通じ、脅迫めいた要求をしてきたのです。
控訴審が始まる前に婚姻届けを出さなければ、アラタだけではなく、拓斗や被害者の妹である沙菜まで訴える、と。
いろいろなことを考えた結果、アラタは……

白のタキシードは貸衣装屋で借り、席を入れる関係上一応母親にも事情があるからすぐわかれる予定で結婚する、と断りを入れたアラタ。
最後に桃山に相談しようとしたのですが……桃山もまた、真珠の人心掌握術にからめとられてしまっていまして、何やら彼女の肩を持つようなことばかり言うのです。
実際結婚詐欺同然にだましていたのは事実だし、あの子のハクバノ王子サマになってあげrのも悪くないんじゃない?式には呼んでね!
結婚かあ、あたし、すこし羨ましいかも。
「人殺し相手」である事を全く考えない桃山は、そのまま愚痴を言い始めました。
ことあるごとにみんなから「結婚は?」と尋ねられるのが面倒くさい、と。
その点に関してはアラタも同意できなくはありません。
結婚することでその面倒なやり取りが回避できるようになるなら、この結婚にも一つだけメリットがある、のかもしれない。
真珠は外に出てくることなどないでしょうし、生活は独身と変わらない。
死刑になるから手間をかけて離婚しなくていい。
そんなひねり出すようにして考えた「メリット」が、最終的にアラタの背中を押すことになったのです。

アラタは、真珠が指定した白のタキシードで面会に挑みます。
真珠は面会室に入ってくると、日数を数えるようなそぶりをして、10日も悩んじゃったんだね、と白々しく言いだします。
アラタはそこで、準備していたであろうこのセリフで返しました。
そりゃ悩むさ、誰も幸せにできない、
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クズとの結婚だからよ。
……面会室の中の空気が凍り付きました。
いくらなんでも言い過ぎだ、と真珠も、係員も思ったのでしょう。
ですがアラタはすぐに言うのです。
俺のことだ。
カッとなってすぐ暴力に訴えちゃうし、貯金はないし。
コメは炊き立てじゃないとだめだし、煙草で家ん中野に臭くするし。
ゴミとかいつも溜めちゃうし、トイレはガンガン跳ねさせるし、食うのが遅い女はいらいらする示唆、一緒に暮らすのに向かねえ奴なんだ、俺は。
王子さまなんかじゃねーんだ、ぜんぜん。
その言葉を聞いた真珠は……
ヤだったら、コロス。
そう言って、大笑いをするのです!!
そして婚姻届けを見せるよう促します。
アラタは迷うことなく、面接室のしきりに貼りつけるように婚姻届けを叩きつけます!
そして沙菜とはたまたま知り合っただけで真珠をどうこうしようとしていたわけではないと言い訳を師、字は走り書きしてこんな感じだけど、本当の字はあの手紙のような字なんだ、と苦しいながらも拓斗の存在を隠し続けることにしました。
最後に、自分は思い入れのある今の苗字を変えない、いやならこのまま持って帰る、と付け足すのです。
真珠は……
いいよ、
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「品川」なんてどうでもいい。
そう言って、上着のファスナーを外し、差し入れしてもらったブラを見せつけてきます。
京はこれが自分の礼装だ、という真珠。
真珠の警戒が晴れたところで、新たは最期の一押しをするのです。
今からこれを差し入れるから名前を書け、そうすればすぐに役所に出す。
その日、その瞬間から
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俺の女房、夏目真珠だ。
それを聞いた真珠は
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うれしい、ありがと、と笑ったのです。
それは、いつも自分の思うように言った時に浮かべる、勝ち誇ったような笑いではありません。
新たが何よりも弱い……心を許した子供のような笑顔だったのです……




というわけで、とうとうアラタと真珠が結婚してしまう今巻。
順調に真珠の思惑通り事が運んでしまっているようにも見えますが、本当にそうなのかわからないのがこの真珠と言う女の恐ろしさです。
桃山や宮前が、彼女が無実であると「信じたくなってしまう」不可解な魅力を持つ真珠。
彼女が浮かべた子供の様な笑顔は、心の底から浮かべたものなのか、計算づくのものなのか、それとも心の底から浮かべたものでありながら、それに惹かれるものがいることをわかっている全てを計算したあげくのものなのか……?
アラタもまた、真珠の不可思議な魅力に取り込まれている、とまではいかないものの……取り込まれかねない状態になってしまっているのです。

そして物語はアラタな局面へ。
いよいよ控訴審が始まり、アラタも傍聴することとなるのですが……そこでアラタは、真珠と結婚したことによる思いもよらない事態に巻き込まれることになるのです!!
それは真珠の付け入るスキを新たに作ることになってしまうのですが、アラタもただでやられっぱなしにはなりません。
アラタと真珠の奇妙な心理戦と結婚生活は、さらに混迷していくことになりそうです……!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!