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今回紹介いたしますのはこちら。

「巨蟲山脈」第1巻 原作・藤見泰高先生 漫画・さざなみ陽輔先生 

秋田書店さんのヤングチャンピオン・コミックスより刊行です。


さざなみ先生は10年代前半ごろから活躍されている漫画家さんです。
漫画以外にも児童書のイラストなども手掛けられておりまして、手掛けられるジャンルによって「マリモ」「小川マリモ」「さざなみ友裕」などなど、様々な名義を使い分けていらっしゃいます。

そんなさざなみ先生が藤見先生とのタッグで描かれるのは、まさかの(失礼!)劇場アニメ化を果たした「巨蟲列島」シリーズのスピンオフ作品です。
本編では巨大化した昆虫の脅威を、人間の知恵を駆使し、昆虫の習性を活かして潜り抜けて行く、という作品でした。
ですが本作では巨大化した昆虫に人間が立ち向かうと言う構図こそは一緒ではあるものの、その戦い方は少し違っているようで……?



8月15日、深夜。
G県双子山岩峠を越える国道を、一台のワンボックスが走っていました。
ハンドルを握っているのは那古野大学の2年生、プロレス同好会に所属している神宮司剛です。
そしてその車に同乗しているのは、あまり柄のよろしくない男子2人と、セクシーな服、ゴスロリ、ジャージと三者三様の服を着ている3人の女子。
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この奇妙な面々で、一同が向かっているのは一部で有名な心霊スポット、二子山岩トンネルです。
言い出しっぺはガラのよろしくない男の一人、元ラグビー部の三年生、篠塚大。
彼は最近動画配信者として活動をしているらしく、その動画のネタの一環としてこの旅が企画されたのです。
いかにもチャラチャラしていて、自分の事以外何も考えていなさそうな彼ですが、そんな彼でも自分だけでは動画再生を伸ばすことに限界があることを悟っているようで。
そこで、ミス那古野大学にして、剛の幼馴染でもあるゴスロリ美少女、南山久々利をゲストに招いたのです。
ちなみにこの久々利、見た目の美しさのみならず、文武両道にして性格も美人と非の打ち所がない人物……と思わせておきまして、重度のオカルトマニアで、その為なら多少アレでも首を突っ込んでしまう悪癖があるのです。
ですが流石の久々利も、今回向かうトンネルはこの辺りで一番ヤバいと言われている曰くつきですし、誘われたのが大だと言う事に警戒せざるを得ませんでした。
大は暴力事件でラグビー部を退部になったとか、女性関係の悪い話が絶えないなど、良い噂を聞かない人物。
そこで久々利、プロレス同好会として体を鍛えまくっている剛をボディガード兼運転手として誘ったのでした。
ちなみにジャージ姿の若尾志野は忍者研究会というちょっとアレなサークルに所属しているちょっとアレな美人さん。
彼女もそのビジュアルが買われてゲストにやって来たわけですが……彼女は彼女なりに真面目に忍者を研究しているようで、ここには修行の一環としてきたとのことです。
残りの二人、セクシーな女の子はアシスタントとしてきている華道部の林田悦子、もう一人のチャラい男は元ラグビー部でカメラマンとしてきている鈴木徹。
悦子は相当心霊スポットを怖がっているようで、涙ながらにやっぱりやめようと懇願するのですが……どうやら彼女、大に逆らうことができないようで。
相当強く頭を殴りつけられ、空気読めや、とすごまれますと、なんちゃって、到着が楽しみです、と無理しておどけて見せるのでした。

その後も大と徹はわがまま放題、到着が遅いと剛を罵倒するなど、目に余る横暴ぶりを続けます。
剛は……体は鍛えているものの、心の方は今一つ強くないようでして、言い返せないまま愛想笑いしてやり過ごすばかり。
決して楽しくない時間をしばらく過ごしたのち、ようやく目的地にたどり着きました。
トンネルの前で、今回の成功を祈って清めの酒、と日本酒を紙コップに注ぎ、皆で乾杯。
……剛にもコップが渡されましたが、帰りも運転しなければならないわけで……剛はそっと中味を捨てるのでした。
そんなことも知らず、徹は大にささやきます。
例の薬、男と女の子二人に入れてありますから。
あと10分くらいっすかねぇ。
その言葉を聞くと、大はにやりといやらしく笑い……!

大の何の個性もないトークとともに始まった動画撮影。
トンネル内が温かくなったり氷のように冷たくなったりするだとか、通り抜けるた時にメンバーが減っているだとか、足をつかまれるだとか、様々なうわさがあるのだとか。
悦子は相当怖がっているようですが、その他のメンバーは……久々利も含めて意外に怖がっていない様子。
中でも剛が全く怖がっていない事が、徹には不満な様子。
人間より怖いものはないと思っている、と平然と言ってのける強しにイラつき、タックルまでかましてくるのです!
練習に比べたら大したことはない、と強がる剛ですが……それは結局二人に逆らえない事を表しているのです。

そんな時でした。
久々利と志野が意識を失ってしまったのは。
それはもちろん先ほどの薬のせい。
酒を飲まなかった剛は、男二人の策略だと言うことに気が突き、悦子に助けを求めて一緒に逃げようと持ち掛けるのです……が。
悦子はこの集まりの前、同じような手で乱暴され、動画まで取られてしまっていたのです。
その動画を握られているせいで、悦子は大に逆らうことができなかったのです。
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いかに体を鍛えているとはいえ、敵は元ラグビー部が二人、こちらには意識を失った女子が二人となれば太刀打ちなどできるはずもなく。
剛は手ひどく痛めつけられ、その目の前で興奮した大と悦子の行為が繰り広げられる、という地獄の様な光景を見させられるのです。
……が。
本当の地獄はこれからでした。
カメラで撮影している徹の背後から、巨大な「はさみ」がのびてきて……
その身体を
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真っ二つに切り裂いてしまったではありませんか!!
そして闇の中からそいつは這い出てきます。
6人が乗って来たワンボックスよりも大きな……ハサミムシが!!
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ハサミムシは徹のはらわたを貪り始めます。
恐怖に震え、身動きできなくなってしまう剛。
ですが彼の体を、かつての想いが突き動かします。
小さなころいじめられっ子だった剛。
そんな彼を一生懸命かばってくれたのは久々利でした。
ですがエスカレートするいじめからかばいきれなくなり、中学の頃には涙を流しながら、もう自分の力では助けられない、ごめんね、と泣いて謝って来た彼女……
そんな彼女を、今度は自分が守る。
そう決意して、剛は体を鍛え始めたのです!!
今久々利を助けられるのは自分だけ。
今動かなければいつ動く!!
震える体に力を籠め、走り出す剛!
久々利を助け起こしますと、そこに志野が駆けつけて手を貸してくれました。
流石忍者(研究会)、自分の手をきつく噛んで強引に覚醒したようです!
今は逃げの一手。
三人が逃げ出す中、大はというと……凄い動画のネタだと大興奮していました!!
悦子を乱暴に投げ捨て、徹の持っていたカメラを拾い上げると、食い入るように動画を撮り始めます。
これをアップしたら、どれだけ稼げるかわからない!
自分の身の危険も顧みず、大は興奮しながらカメラを回し続け……!!
ほどなくすると、ハサミムシ内臓を貪りつくし、動きを止めました。
そして今度は、なぜか大や悦子を無視して、剛たちを追いかけてきたではありませんか!!
何でこっちに来るんだよ、あんなハサミで襲われたら絶対死んじゃうよ!誰か助けて!!
そう言って叫びながら逃げる三人!!
とにかくペースを上げようと声をかけてくる志野なのですが、そこで聞き覚えの無い声が聞こえてきたのです。
動くな!ダメだ!
肉食昆虫は動くモノに反応する!!
そう叫びながら、暗がりから姿を現したのは……
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白衣に身を包んだ、長い黒い髪の女性だったのでした!!



というわけで、巨蟲シリーズのスピンオフ作品となる本作。
紹介いたしました第一話の最後に登場した白衣の女性は、藤見先生作品読者ならおなじみのあの人、榎稲穂さんであることは言うまでもないでしょう!!
こと虫に関しては誰よりも詳しく、その知識は「列島」シリーズの主人公である睦実を上回っています。
彼女が現れたことで、剛たちの生存する確率は大きく上がったと言っていいでしょう。
ですが相手は規格外の巨大昆虫。
しかも「列島」シリーズでは野外が主な舞台で、自然環境を利用したり、虫の苦手な場所や建物の中に逃げたりと、様々な解決手段がありました。
しかし本作の舞台は、今後広がる可能性があるとはいえ、今現在狭いトンネルの中。
榎の装備も限られているでしょうし、「列島」以上に困難かもしれない状況です。
そこで本作のテーマがクローズアップされるわけです。
本作のテーマは、ずばり人間VS巨蟲!!
鍛えぬいた体を持つ剛が、榎先生に知識を教わりながら、徒手空拳で虫に挑む!!
逃げ道がないなら倒すしかない、という、「列島」とは一味違うお話になっているのです!!
さらに藤見先生の音が気によりますと、昆虫が巨大化した謎にも後々迫って行くのだとか。
榎先生という知識最強のキャラの登場に、巨蟲列島ブレイクの一因でもあるであろうエロスなシーンもしっかり用意され、様々な見どころが用意された本作。
環境的に新キャラの投入も難しいでしょうし、キャラクターの掘り下げも一層行われていくはず!!
今後も本作から目が離せませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!