ft0
今回紹介いたしますのはこちら。

「不安の種*(アスタリスク)」第2巻 中山昌亮先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。


さて、ホラー映画の怖いシーンだけを切り取って集めたかのような、恐怖短編集となる本作。
第3シーズンである本作も、第2巻となりました。
今回も色あせることの無い恐怖を凝縮している本作、その中から今回はこんなエピソードを紹介したいと思います!


それはもう物心ついたころから続いている、奇妙な出来事です。
年に一度、彼女の前に一人のおばあさんが現れます。
優しそうなおばあさんは、にこにこ推しながら一言、こう言いました。
ft1
「六十九年」。
それだけ言うと、すっと消えるようにいなくなってしまうおばあさん。
普通ならば恐ろしくてたまらない出来事でしょうが、なにせ彼女が幼稚園くらいの頃から欠かすことなく続いているわけで。
彼女にとってそれはもう普通のことで、恐怖の対象にはならないのです。
とはいっても、毎年毎年のことなので、変だなとは思っていました。
そして何よりも変なのは、彼女がいくつ年を重ねても、おばあさんの年恰好が変わらない事なのです。
中学時代に会った時にも、社会人になっても。
ただ一つ変わるのは、おばあさんの呟く「年数」です。
「六十一年」。
「五十四年」。
「四十六年」。
それは毎年一年ずつカウントダウンしていて……

年を取ってくると流石にそれが普通ではないこともわかりますし、何となく恐ろしいことであることもわかります。
そこで彼女は、友人にその事を相談してみました。
勿論友人は……頭から食って掛かるわけではないものの、やはり信じてはいない様子。
お化けがカウントダウンねえ、で、その話を聞いて私はどうすればいいの?
友人はそう訊き返してくるわけです。
勿論何かして欲しいことはあるわけではないのでしょう。
ただ彼女は、どうしても相談せずにはいられない奇妙な予感を感じてしまったのです。
彼女は真剣な顔で、友人に語ります。
最近私気付いちゃったんだけど、あのおばあさんって……
実は私自身の様な気がするんだよね。
そう思ったら途端に怖くなっちゃって。
……確かに創刊がると、恐ろしさは倍増してしまう気がします。
そこで友人は彼女に、今はあと何年って言われてるんだっけ、と確認してきました。
彼女は三十六年、と答え、私あと三十六年たったらどうなっちゃうのかなぁ、と尋ねるのです。
どう答えて良いものか友人が悩んでいると……そこで、突然彼女はこう言いました。
あ、三十五年になった。
いきなりそんなことを言う彼女に驚く友人。
そんな友人のそぶりを見て、彼女は確認するようにつぶやきます。
そっか、やっぱり私にしか見えないんだ。
そう言って彼女が見ているのは、自分と友人の愛だの、テーブルの上でした。
そこには
ft2
おばあさんの、顔がにょっきりと突き出ていて……!!
今から三十五年後、自分はどうなるのか。
彼女はそれを考えると、沸き上がってくる不安が抑えられなくなってしまうのです……


自分にしか見えないもの、というもので、こんな話もあります。
ある少年は、「目を閉じると視えてしまう」といって、必死で瞬きを我慢していることがあったと言います。
ですが人間、どれだけ瞬きを我慢しようとしても限界があるもの。
どうしても目を開け続けることができず、とうとう目を閉じてしまうと、その瞼の中で
ft3
異様な女が少年を見つめてきていた、と言うのです!
当然少年はおびえて暴れるものの、周囲にいるモノからすれば何が何やらわかりません。
結果として彼が一人で勝手に暴れているだけに見えてしまうのです。
そんなせいか、彼に対してはこう言ったなぞなぞが成立しませんでした。
目を開くと見えなくて、閉じると見えるものって何だ?
瞼、というのが答えなわけですが……彼だけはこう答えていたと言います。
お化け、だろう?




というわけで、今回も様々な恐怖を描いていく本作。
中山先生といえば、そのタイトル通り得体のしれない不安を感じさせる怪現象や、怪物、異形が登場する恐ろしい物語がウリでしょう。
今回は、普通のおばあさんでありながら不気味極まりないおばあさんと、じっと見つめてくる奇怪な女、という異形が登場するお話を紹介させていただきましたが、もちろんこれだけでは終わるはずがありません!!
ショートストーリーで前後編となっている「寄り拠り依り」「たすけて小僧」は何とも筆舌に尽くしがたい、不気味過ぎる霊が登場。
ただでさえおそろしい「能面」の恐怖の変貌を描く「悦の面」「毒すすり」は異形のインパクトだけでなく、その後にさらに続いていく不安が恐ろしいお話。
普通は恐ろしいはずのない、他のお客さんもそれなりに入った電車内が突如として異様な空間になってしまう「亜通路」、あの都市伝説を彷彿させる「二番ホーム」と駅や電車にまつわる物語も用意されております。
その他にもクリーチャーが登場したり、何も姿を見せないのにただただ恐ろしかったり、人を「変えて」しまう恐ろしさを描くお話だったりと、実に様々な恐怖がたっぷりと収録!!
今巻でも中山先生らしい恐怖の瞬間がたっぷりと楽しめるわけです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!