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今回紹介いたしますのはこちら。

「寄生列島」第1巻 江戸川エドガワ先生 

講談社さんのヤンマガKCより刊行です。


江戸川先生は08年にちばてつや賞の佳作を受賞し、デビューした漫画家さんです。
その後13年より押川雲太朗先生原作による「デスペナ」で連載デビュー。
そして16年から連載された「生贄投票」は電子書籍を含めて220万部を発行する人気作となりました。

そんな江戸川先生の最新作となる本作は、そのタイトルから予測されるように、寄生虫が物語の鍵となるスリラーとなっております。
気になるその内容はといいますと……?



とある片田舎の離島、花山島。
そこに千堂千尋が父親と二人で引っ越してきて、一か月が経とうとしていました。
ですが千尋にとって、この島の生活は楽しいものではありません。
早くみんなと打ち解けようと、積極的にクラスメイトに話しかけていっても、取りつく島もなく。
それどころか、話しかけるならここの空気を読んだ話題にしろ、と冷たくあしらわれてしまうのです。
帰ってくるのはそんな言葉と、冷たい視線ばかり。
いた隊まれなくなって教室から出ていけば、そんな彼女に聞こえるように、東京もんが、と余所者は受け入れないという意思を暗示する言葉がつぶやかれるのです。

そもそもこの島に来たのは、父と母の離婚がきっかけでした。
母は父に完全に愛想をつかしていたようで、口から出てくるのは悪口ばかり。
「新しいお父さん」として紹介された人物は予想よりもずっといい人そうな印象を受ける人物でしたが、千尋にはどうしても父を一人にはできませんでした。
結局千尋は父についていくことに決め……
父は東京の地を離れ、ここ花山島の診療所に勤めることになったのです。

離島や山奥の無医村によそから医師がやってくると、受け入れてもらえない……というのはよく聞く話です。
この島でもどうもそんな扱いを受けてしまうようで、その日の父は酒の席に誘われたものの、まともに歩けないほど強引に酒を飲まされてしまっていました。
想像以上に飲まされてしまったのか、父は酒の席で戻してしまったとか。
島の男衆三人の連れられて帰ってきた父を介抱する千尋……その際にうっすら透けてしまっていた下着を、男衆の一人は下卑た視線で見つめています。
千尋はその視線に気が付きません。
その視線に気が付かないまま、父に肩を貸して何事もなく家に帰ることができればまだよかったのですが……
男衆はこんなことを言い出したのです。
ヤブ医者、結局この島に来るのはヤブ医者だけだ。
祝いの席がお前が戻したせいでぶち壊しになったんだ。
父がヤブ医者であるというのも何の根拠もない言いがかりですし、戻してしまったのも強引に生瀬多成なはず。
千尋はたまらず反論しようとするのですが、父はというと……土下座で謝るばかり。
男衆は全面的な謝罪に毒気を抜かれたようで、その日はあっさり引き下がってくれました。
ヤブやし腰抜けの医者やな、とまた侮蔑の言葉を言い残して。

トイレでもう一度戻して床に就いた父。
千尋はそれを片付けると……
近くの自動販売機で飲み物を購入し、ぐったりと座り込んでしまいます。
疲れた。
ここの島の人は誰も外から来た私たちに心を開いてくれない。
なんでこんなかたくなに私たちを拒むのか、今時こんな島があるなんて……
飲み物を一口飲んで人心地つくと、やおら立ち上がる千尋。
するともう日もとっぷりと暮れた夜の道を、とてもこの場にそぐわない人物が歩いてくることに気が付きました。
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大きなぬいぐるみを片手に持った、パジャマ姿の女の子です。
彼女は、先ほどの男衆の一人、中島の家の娘さん、莉子ちゃん。
こんな時間にどうしたのかと問いかければ、お父ちゃん知らん?帰ってこない、とのこと。
中島、あのまま他の連中と飲み続けているのでしょうか。
寂しそうにたたずむ莉子ちゃんでしたが、その時彼女のおなかが小さくなりました。
このまま放っておくこともできず……千尋は、莉子ちゃんおにぎり好き?と声をかけるのです。

よほどおなかがすいていたのでしょうか、莉子ちゃんはおにぎりを一心不乱にほおばります。
千尋は莉子ちゃんがおにぎりを食べている間に連絡を取り、中島に迎えに来てもらうよう手配しました。
莉子ちゃんは安心したのでしょうか、今度は千尋が持っているスマートフォンが気になりだしたようです。
父以外にまともに話しかけられるのが久しぶりで嬉しかったのでしょうか、千尋はスマートフォンの中に保存されている画像を何枚か見せてあげます。
その画像は、東京の友達と遊んだり、部活を頑張ったりしていた楽しい思い出の一部。
莉子ちゃんもそんな楽しげな画像に興味津々の様です。
だいぶ打ち解けてきたところで、千尋は莉子ちゃんに牛乳飲む?と問いかけました。
牛乳きらーい、と答える莉子ちゃんに、千尋は私も!とすぐさま同意!
妙なところで気の合った二人、一気に打ち解けることができたのです!!

その後、中島が迎えに来て、莉子ちゃんは帰っていきました。
迎えに来た父親を見た莉子ちゃんは、安心するどころか、千尋にギュッとしがみついて帰りたくないようなそぶりも見せるのですが……だからと言って、実の父親が連れて帰るのをただの高校生である千尋が咎めることはできません。
何とも後味の悪いお別れとなってしまった千尋、二人を見送った家に戻りますと、父が台所に水を飲みにやってきているところに出くわします。
やり場のない思いは、ここで父にぶつけられます。
お父さんは悔しくないの?
ヤブ医者とかいいように言われて、土下座までする必要ある?
情けないよ!
そんな思いを真っ向からぶつけられた父ですが、どうにも言い返すことができず。
頭を掻きながら、笑ってごまかすほかないのでした。

千尋がこの島に対する不信感を募らせる原因は、排他的な住民だけにとどまりません。
廃墟のようにぼろぼろのまま打ち据えられている神社。
至る所にある立ち入り禁止の看板。
そして、そんな島の中でもひときわ異彩を放つ
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不気味な三つの塔……
それでもまだ、今までならば千尋たちがぐっと耐えているだけでなんとか暮らしていけたのかもしれません。
その日、この島の様相をさらに異様に変貌させる、事件が起きてしまったのです。
診療所に舞い込んだ一報。
千尋の父は血相を変え、中島の家へと向かっていきました。
異常なものを感じて千尋もそれを追いますと、そこに待っていたのは……
なんということでしょう、中島の惨殺死体……!!
家の中には、そんな無残な死体と、カタカタと震える莉子ちゃんが残されているばかりだったのです。
この小さな島で起きた、残酷な殺人事件。
島の住民の疑いの目は……当然のように、「東京もん」である千尋たち親子に注がれます。
勿論千尋は自分たちじゃないと弁明するのですが、島民はそれなら自分たちの中に犯人がいるというのか、自分たちは一つの家族のようなものなのに、とにらみつけてきて……!!
幸いその場は、物事の審議は県警がきちんと判断してくれるからこの場はひとまず、と駐在さんが納めてくれましたが……島民の、千尋たちに対する悪感情は止まりません。
二人を侮蔑しながら島民が立ち去った後、千尋はうずくまり……
この島、気持ち悪い。
そう、うめくのでした。

残された莉子ちゃんは、駐在さんはいったん引き取ることになりました。
ところが、その駐在さんの家でもとんでもない出来事が巻き起こります!!
なんと駐在さんが、中島と同じように……血塗れの死体となってしまう、という!!
そしてその犯人は……
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なたを手にした、莉子ちゃんではありませんか!!
今際の際に、どうして、なんで君が?と尋ねる駐在さん。
莉子ちゃんは一言、こう答えました。
わかんない。
莉子ちゃんは駐在さんにとどめを刺しながら、こんなことを考えています。
うるさい、しつこい、だまれ、ころす。
じゃまなにんげんはころしてへらしたほうがいいでしょ。
なんで殺しちゃいけないの?
莉子ちゃんはすべてを終えた後、全身を汚す血をぬぐいもしないまま冷蔵庫に向かいました。
取り出したのは、嫌いなはずの牛乳です。
パックから直接口に流し込んで飲み干していく莉子ちゃん……
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その目の中には……奇妙な虫のようなものが……うごめいていたのです……!



というわけで、不穏な空気の漂う島で、あまりにも恐ろしい事件が起こってしまう本作。
この一連の殺人の犯人はこの莉子ちゃんであることは明白なのですが、もちろん彼女が単純な殺人狂である、というわけではありません。
彼女の眼球の中を這う、奇怪な虫。
それがこの事件の……いや、これから起きていくおぞましい出来事と、もしかすると今までこの島の風土を作ってきた元凶の様です!!
この後物語は、さらに危険度を増していきます。
頼るもののない千尋に降りかかる、さらなる苦境。
虫に憑りつかれたものの変貌。
突然やってくる、あまりに予想外な訪問者たち。
この島に脈々と受け継がれる、異常極まりない風習。
そして、島全体を覆い隠していく深い絶望……!!
物語はどんどんとおぞましく、恐ろしくゆがんでいきます!
千尋と父はこの絶望の島から抜け出すことができるのか?
この島にはびこるあの虫はいったい何なのか?
さらに異様さを増していくことは間違いないであろう、この先の展開からも目が離せませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!