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今回紹介いたしますのはこちら。

「先輩が僕を殺(と)りにきてる」第1巻 助野嘉昭先生&らふすけっち

講談社さんのマガジンKCより刊行です。


助野先生は06年に手塚賞を受賞し、デビューした漫画家さんです。
08年から連載された「貧乏神が!」、13年から連載された「双星の陰陽師」と、立て続けにアニメ化される人気作を生み出すなど、その人気を不動のものとされております。

そんな助野先生が、「双星の陰陽師」を連載する傍らで同時連載を始めたのが本作。
助野先生が同人活動をされる際のサークル名「らふすけっち」が連名となっておりまして、単行本内にもスタッフさんによるキャラデザイン案などが収録されていることから、アシスタントさん達の手が入っている比重が多い……と思われます。
「双聖の陰陽師」は現在も高い人気を誇るバトル漫画ですが、本作はがらりと経路の違う、エロスなサービスシーン多めのラブコメディとなっております。
気になるその内容はといいますと……?


私立自由ヶ浜学園高等学校。
その生徒会執行部室で、二人の生徒が作業を行っていました。
生徒会会長、真宮寺澪は、同じく生徒会の庶務である山田律に声をかけていました。
律が制作している生徒会便りの完成まで、まだかかりそうか、と。
いかにも気弱そうな印象を受ける小柄な男子、律は涙目になりながら、もう少しで終わりそうなんですが、と謝るばかり。
生徒会長さんは先に帰っていただいても……と提案する律なのですが、そういうわけにはいかない、と澪。
仕事を振っておいて自分だけ先に帰るなんてできない、というわけです。
もう少しで終わるなら、早く済ませて帰りましょう、と澪は優しく声をかけてくれるのでした。
律はそんな生徒会長に感服。
美人で頭もよくて性格もいい……校内で彼女を知らない人はいないというほどの有名人です。
そんな彼女のことを考えていたから、というわけではないのですが、何やら律の作業の手が止まってしまいました。
どうしたのかと尋ねる澪、律はパソコンの調子がおかしいと首をかしげます。
澪はさっそく立ち上がり、どれどれ?と律の
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背中にお胸を押し付けながら画面をのぞいてきました!!
澪の豊かなお胸がむにゅりと感じられる、生々しい感触……
口にはとても出せませんが、律の頭の中はその感触で支配され、何も考えられなくなってしまいます!!
澪は素知らぬ顔で、古い型のパソコンだからよくあるのよ、こういう時は一度ここを……と懇切丁寧に教えてくれております。
そして思わず固まってしまっている律に、どうかしたのかと心配までしてくるではありませんか。
生徒会長は気付いていないのか、自分が気にし過ぎているだけなのか!?
律はもはや、うろたえることしかできないのです!!

その後も生徒会だよりの制作は続きます。
気づけばもう時間は19時15分前。
今日もよく働いたわ、と伸びをする澪ですが、その伸びのおかげで澪のお胸が強調されております!!
澪はさっと顔をそらし、Hな目で見てるって思われたら軽蔑されちゃう、とその様子を見ないように努めます!
が、その時でした。
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澪のワイシャツのボタンがはじけ飛び、律の眼鏡に直撃したのです!!
不意の一撃に律は椅子ごと後ろに倒れてしまいました。
ごめんなさい、大丈夫?と駆け寄る澪。
大丈夫、と答える律なのですが……顔をのぞき込んできている澪、ワイシャツのボタンがはじけ飛んだせいで、生の谷間が見えてしまっておりまして……!!!
私はどうしてシャツのサイズが合いづらくて、いつも同じところのボタンばかりが取れてしまう、いい加減特注にすべきかしら、とおもむろに制服を脱ぎ、リボンタイをほどきだす澪!!
奇声を発して驚く律ですが、澪は裁縫セットを取り出してボタンをつけるだけ、気にせず作業を続けてと谷間も隠さずボタンをつけ始めて……
……律は、そんな数々のトラブルを振り返り……こう感じていました。
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殺(と)られるっ……!!!
律は十分自覚するほどの小心者。
澪は、こうして自分をものすごい勢いでドキドキさせることによって、寿命をぎゅんぎゅん縮めて殺そうとしているに違いない……と、そう考えてしまったのでした!!

律が作業を終えた時になりますと、日もとっぷりと暮れてしまっていました。
では帰りましょうとなった二人、向かう方向が一緒でした。
いつもは車で送り迎えしてもらうという澪なのですが、今日は運転手さんが休みとのことでして……
やっぱり本物のお嬢様なんだなぁ、と律はまた感心することとなるのでした。
めったに乗ることがない電車に乗った澪。
ですがよりによって、車内は帰宅ラッシュで満員状態。
まともに身動きもできないほどの混雑具合に、帰宅ラッシュというのはいつもこうなのかしら、と流石の澪も苦しそうな表情を浮かべます。
律は、自分の仕事が遅いせいで混雑してる時間になってしまってごめんなさいと平謝り。
あなたのせいじゃないと優しく受け流してくれる澪なのですが、それよりもふらふらとして律のことが心配な様子。
律くんもつり革を持ったほうがいいとアドバイスするのですが……律は何も答えずにうつむくばかり。
もしかして、つり革に手が届かないのかしら?
澪の率直なその言葉に、グサリと心をやられてしまう律。
別に持たなくても大丈夫だからと強がっては見るものの、ちょうどその時タイミング悪く電車が大きく揺れ、バランスを崩してしまうのです!
敢え無く転倒してしまう……かと思われたその時、澪ががっしりと律の体を支えてくれました!!
危ないでしょ、意固地になる必要なんてどこにもないわ、ちゃんとつかまってなさい!
凛々しい顔で律を気遣う言葉をかけてくれる澪……
生徒会長さん、やっぱりかっこいいなぁ。
律は澪に見惚れてしまう……ことはできませんでした。
なぜか澪、
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律の顔を自分の胸の中に埋めてしまったのですから!!!
確かにつかんでしっかり固定されてますけど、絶対におかしい!
正解ですか!?これ本当に正解ですか!?
またまたうろたえまくる律、今度ばかりは澪に指摘しようとするものの、澪は電車の中だから大きな声を出さないで、と発言を許してくれませんで……
律はもうろうとする意識の中、確信を強めるのです。
やっぱり生徒会長さんは僕を殺りに来てる!!
きっと今日のことを根に持っていて、これは生徒会長さん流の制裁……焼きを入れる、というやつなんだ!!

ドキドキ死するかと思われた律ですが、何とか目的地まで生きて帰ることができました。
自宅はまだ先の駅である澪、電車から降りていく律に、また明日、学校でね、と声をかけます。
その言葉の本当の意味が「来なかったらどうなるかわかってるんだろうな」だと勝手に思ってしまった律は、必ず伺います!!と叫びながらダッシュで逃げ去るのでした……

その夜、お風呂を済ませて床に就こうというところの澪。
彼女は椅子に座り、携帯の画面を見ておりました。
その画面に映し出されていたのは……律の画像でした。
律くん、あんなにアプローチしてるのに、一向に思いが届いてる気配がないわ。
私、もしかして異性として見られてないのかしら……?
やはりといいますかなんといいますか、今までの一連の出来事は、彼女なりの愛情表現だったようです。
普通の男子ならばともかくとしまして、相手は小心者で純真な律。
このアピール方法では、好意が伝わるはずもなく……
なぜか伝わらない自分の好意を伝えるべく、さらなるアプローチを決心する澪。
そして自分をドキ死させようとしている、と澪におびえる律……
二人の関係は、これからどうなっていってしまうのでしょうか……!!



というわけで、ずれた二人のおかしな関係を描いていく本作。
この後も澪は、その独特の感性や財力を駆使しまして、律に様々なアプローチを仕掛けていきます!
ですがとある理由によって、澪の仕掛けるアプローチは過剰なスキンシップだったり、トラブルの末男女が密着してしまったりといった、エロスなラブコメの様な……いわゆるラッキースケベ的なものばかり!
律のドキドキは収まることはなく、ますます寿命は縮んでいくばかりなのです!!
この第1話では、まるで澪に羞恥心がないかのような感覚を受けますが、そこはうら若き乙女、もちろん恥じらいもございます。
ですが澪、好きな人の前ではとりわけ冷静を装ってしまうタイプの人物の様で、その恥ずかしさをほとんど表には出さないのです……が!
実際はものすごく恥ずかしがっている部分をさらけ出すお話が用意されていたり、さすがに平静を装うのも限界を超えてしまう場面もあったりしまして、澪の可愛らしい部分も楽しめるのです!!

過剰なスキンシップと大胆極まりないアプローチがなされる本作ですが、お嬢様である澪だけに(?)そのサービスシーンは非常にお上品。
披露されるのは下着姿まで、とお子様でも安心して……かどうかはともかく、過剰過ぎないお色気が堪能できるのです!

そして第1巻の最後に収録されているお話では、二人の関係に変化が起きそうな予感漂う展開となっておりまして……
サービスシーンのみならず、二人の関係の変化にも注目したいところです!!

さらにさらに、巻末には様々な先生方からの単行本刊行お祝いイラストが寄贈されているのも見どころでしょう!
「長瀞さん」のナナシ先生などのマガジン系列の先生方をはじめとしまして、現在もジャンプスクエアで連載をしている助野先生だけに、ジャンプ系列である「To LOVEる」の矢吹先生のイラストも収録!
ついでにまさかの「双星の陰陽師」単行本の宣伝ページまで用意されているという、一味違った味わいのお楽しみも用意されているのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!