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今回紹介いたしますのはこちら。

「忘却のサチコ」第14巻 阿部潤先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、日々の食事を楽しんでいる効果か、はたまた別の要因か、だいぶトラウマに苛まれることが減ってきたサチコさん。
今巻も敏腕編集者として辣腕を振るいつつ、抑えきれない食への渇望を満たしていくのです!



サチコさん、今日は羽夢先生と打ち合わせ中。
ですが順調とはいかないようで、羽夢先生は頭を抱えて悩んでおります。
新作の執筆にとりかかっている羽夢先生、今回書きたいテーマはすべて固まっているとのこと。
なのですが、ヒロインの前に現れる男性キャラがどうしても見えてこないようで、筆が進まないというのです。
羽夢先生が求めているのは、今まで先生自身が書いたことのないような新しいキャラクター。
考えれば考えるほどわからなくなってきてしまいまして……
二人でいくら相談しても、明暗は浮かびません。
羽夢先生はすっかり落ち込んでしまいました。
キャラクターというのはふとした時に突然現れるというし、そんなに根を詰めないほうがいいのではないか、とサチコさん必死でフォロー。
しかし苦しんでいるほうからすればやはり気休め程度しかならないようで、私の前にも早く現れないかしら、と暗い表情のままつぶやくのでした。

結局アイディアはまとまらずじまい。
ですがいい作品にするためにはここは時間をかけたいところです。
キャラクターを生み出すのは作家の仕事……といっても、何かその手助けはできないものか……
サチコさんの頭の中はそのことでいっぱいになってしまうのでした。

実はこの日、サチコさんは休日でした。
休日返上で羽夢先生と打ち合わせを行い、そのあとの時間の余裕があれば……と予定に入っていたのは美容室です。
子供のころから通い続けているなじみの美容室で散髪をしてもらっている時も、サチコさんはひたすら羽夢先生の新たなキャラクターの事ばかりを考えてしまっておりました。
今までと同じじゃダメ、新しいことに挑戦。
そんなことを口に出して呟いてしまうほどに。
……そして、美容師さんの、じゃあ今回もいつもと同じでいいの?と言う問いかけがされているタイミングであることに気づかないほどに!!
20年来の付き合いである美容師さん、今まで流行に目もくれずひたすら同じ上方だったサチコさんから、新しいものに挑戦、と言われて戸惑いを隠せません……!!
ですが、サチコさんの顔は真剣そのもの。
全く別のことを考えていてその表情になっていることなど知る由もない美容師さんは、よりよく進化、合点承知よ!そう答えて、腕を振るってしまうのでした!!!

翌日。
出社してきたサチコさんは
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物凄い金髪になっておりました。
……サチコさんもいろいろ迷ったようですが、就業規定を見直してもとりあえず服装規定違反ではないようでしたので、このまま会社に来たとのことです。
業務に支障が出るようなら早急に対応する、と編集長に開口一番告げるのもサチコさんらしいところですが、なにせ相手はあのサチコさん。
大きな問題は起こさないだろう、ととりあえずOKを出すのでした。
同僚たちの反応はもうびっくりの一言ですが、とりわけ大きな反応を見せたのは小林です。
サチコさんの見せた新たな魅力に思わず見惚れてしまいまして、あの編集長に、見惚れる前に自分の仕事は大丈夫なのかと突っ込まれてしまうのでした。

ところでその小林の仕事ですが、それは近々行われる創刊300号記念パーティーの準備の事です。
関係者で欠席予定なのは、引きこもり体質のジーニアス黒田先生だけで、そちらの手回しは問題ありません。
パーティーで行われる余興も、小林は黒田先生が執筆し、アニメ化された作品の主題歌を歌う……というちょっと気恥ずかしいもので、それが聞かれずに済むのは小林としてはホッとするところです。
ちなみにサチコさんも、姫村先生作品の主題歌を歌うとのことで……
こういった余興にも全力投球のサチコさん、おそらくそのクオリティはすごいものになるはず。
一同はいろいろな意味で、期待に胸を膨らませるのでした。

さて、パーティー当日がやってまいりました。
サチコさんの新たな装いに、羽夢先生をはじめ関係者の皆さんは一様にびっくりするのですが、ビックリはそれだけでは収まりませんでした。
黒田先生がビンゴ大会だけ参加したいからとリモートで出席することになった、のはいいのですが……
なんと小林がよりによってこの日の朝風邪をひいてしまい、まともに話すこともできなくなってしまっていたのです!!
これでは到底歌を歌うことなどできません。
準備自体は行われていますから、お蔵入りにするのももったいないですし、編集の都合でプログラムに穴をあけるのも作家の先生方に申し訳ないところ……
編集長や、ぽっちゃり男子の小野寺が代わりに歌おうかなどと声も上げましたが、なにせこの主題歌が付いている作品の主人公は、中性的な魅力の美青年。
二人ともあまりにイメージが違いすぎます。
一同がうろたえておりますと……そこで、リモート参加の黒田先生本人がこういいだすのです。
そこにうってつけのがいるじゃん、と……!!

姫村先生作品の主題歌を、往年のアイドルスタイルで見ふ毎に歌い上げたサチコさん。
次は問題の黒田先生作品の主題歌です。
舞台が暗転した後、そこに立っていたのは
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作中の主人公を思わせる男装の麗人姿にお色直しした、サチコさんだったので明日!!
サチコさんはクロダ先生の担当もしていたため、先生原作のアニメも勿論しっかりとチェック済み。
緊急事態にもしっかりと対応しきるクオリティの歌を披露してくれました!
突然現れた艶姿のサチコさんに、羽夢先生も興奮!
ですが興奮のあまりノリノリになり過ぎて、バランスを崩してしまうのです!
サチコさんはその様子にいち早く気が付きますと、すかさず駆け寄って
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羽夢先生を支えてあげて……!!
大丈夫ですか、と声をかけるサチコさん。
すると羽夢先生はほほを朱に染めて……
現れたわ、ありがとう佐々木さん、私の前に理想の王子さまが現れたの、と幸子さんをぎゅっと抱きしめるのでした!!

今回のパーティーは少し頑張り過ぎまして、食事をする間もなかったサチコさん。
それでもパーティー中、気になるメニューを見つけておりました。
帰宅の途中にそのメニューを出してくれるお店を発見し、早速突入です。
そのメニューは
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燻製ビールと燻製ローストビーフ!!
燻製されたビールはまず独特の鼻を抜ける香ばしさ、そして麦の甘味がやって来て、最後にホップの苦みが残る変化が楽しい味わい。
そしてローストビーフの方も、肉本来のうまみが凝縮されているローストビーフおなじみのおいしさに、燻製によってごくわずかにつけられた焼き目がさらにその絶妙な味を増幅させているのです!
ヒールもローストビーフも、本来の食材に手間をかけて変身させた料理ですが、さらにそこにひと手間をかけて変身させているこの燻製ビールとローストビーフ。
魔法の様なおいしさに、サチコさんの心もまた変身するかのように弾むのでした!

しばらくたちまして、サチコさんの髪形も元通りになっていました。
やはりサチコさん、長年親しんだいつものスタイルがしっくりくるようです。
その日は羽夢先生との打ち合わせに行くことになっていたのですが……
サチコさん、おもむろに金髪のかつらをかぶって行くではありませんか!!
羽夢先生がこの方が創作意欲がわくようですから、と言ってさっそうと仕事場を出て行くサチコさん……!
羽夢先生の「王子さま」として変身は、しばらく続きそうです!!



と言うわけで、サチコさんが大変身をするエピソードを描いていく今巻。
この他にもサチコさんの仕事風景と巻き起こるトラブル、そしてそこに関連するお食事がたっぷり収録されております。
今回はサブキャラクターの活躍するお話が多数収録されているのが特徴でしょう。
今回紹介させていただいたお話でも、羽夢先生をはじめとする作家先生方がたくさん登場しましたが、それだけにはとどまらないのです!
前巻で登場したヨシ坊と日本文化好きのロッシ先生という組み合わせで行われるお話、サチコさんのライバル(と本人は思っている)である他者の編集者、尾野さんが登場するお話、サチコさんに思いを寄せる二人である小林と梶がまさかの対面をするお話、そして賑やかしの驚き役かと思われていた同僚の小野寺がまさかの主役となるお話などなど、まさに盛りだくさん!!
もはやお食事の方がおまけになってしまっている感すらある、サチコさんとその仲間たちの仕事と日常がたっぷりと楽しめる内容になっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!