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今回紹介いたしますのはこちら。

「空腹なぼくら」第2巻 友安国太郎先生 

小学館さんのビッグコミックススペシャルより刊行です。


さて、ゾンビのための食糧庫、人間養殖場を作ろうと目論む、知性あるゾンビ・航
予定外の出来事、予想外の出来事も様々ありましたが、ともかく航は当面の持気宇的であった「生きた人間の女性」を手に入れることができたのでした。



あれから三カ月がたちました。
ようやく手に入れた生きた人間の女性……
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それは、まだ小さな赤ちゃんでした。
この赤ちゃんの出自などに思うところがないわけではありませんが、とにかくいま航がすべきことは、壮大なる計画を粛々と進めることです。
赤ちゃんに危害を加えようとするならば、同じゾンビでも容赦はしません。
お前たちのためなんだ、とつぶやきながらも、刀で真っ二つに切り裂くのです。

余計なことは考えない。
今すべきことはただこいつ……エサを増やすこと。
ようやく手に入れた苗を、絶対にからしてはならない。
何千年かかろうと、俺がこの世界の空腹を満たしてやる。
そんな決意とともに、あかちゃんを育てる航。
ですがもう一つの鍵である、クズ男はそんな航の想いも知らずにわがまま放題。
俺の出番が来るのは遅くないか、とぼやいたかと思えば、身体が一人前になるまで待つのは何かエロい、といやらしい笑みを浮かべるのです。
そんな下心がわかるわけではないでしょうが、クズ男が赤ちゃんに触ると赤ちゃんはぐずり始めます。
お前はしばらく触るなと航が赤ちゃんを抱きあげると、赤ちゃんはすぐに泣き止みます。
その様子を見たクズ男、すっかり懐いたな、パパって言ってあげて、ホラ、パパー、と茶化してきまして……
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航は、黙れ、余計な情報は与えるな、とクズ男を一喝するのです、が……

赤ちゃんの世話を始めてから、瞬く間に5年の月日が経ちました。
航はそれなりの教育もしたようで、当たり前の会話ができるのはもちろんの事、一人で本を読めるようにもなっていました。
年相応の感情も持ち合わせているようで、お絵かきをして楽しんだりもしているようです。
女の子を描いたり、星を描いたり……
彼女が寝静まった後、そのお絵かきの数々を覗いてみると、その中には航の姿を描いたものもあり、そこには「パパ」と記されていました。
航は己に言い聞かせるように、フルフルと首を振るのでした。

またある日、いつものように食事を作った航、彼女に出てこいと呼びかけます。
ですが一向に出てくる気配はなく、かくれんぼなんか教えてないぞと舌打ちしながら家の中を探し回っていますと……
玄関の扉が開きっぱなしになっているではありませんか。
まさかここから、外に……!?
背筋が凍りつくような感覚を覚えた航、慌てて外へ飛び出して当りを探し回ると……彼女の靴が転がっているではありませんか!!
ぞっとする航……でしたが、彼女はすぐ近くで何やら屈みこんでいました。
ひとまずは安心する航でしたが、一体彼女は何をやっているのでしょうか。
呆然としてしまう航でしたが、そうのんびりしている暇はなさそうです。
彼女の臭いを嗅ぎつけてきたのであろうゾンビたちが、今まさに押し掛けてこようとしているではありませんか!!
航はすかさず彼女を拾い上げ、その場から逃げ出します。
ですがゾンビはそれでも食い下がってきて……
航は何とかゾンビを追い払いながら、全速力で逃げるのです!
こんな、こんなところで、計画が。
計画が……
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この期に及んでも人間養殖の計画のことを考えている航。
……しかし、その顔には、計画がとん挫すると言うだけではない、悲痛な感情が宿っていて……

帰った後、危険がいっぱいだから出るなときつく言っていた外に、何故勝手に出たのかとしかりつける航。
すると彼女は、ごめんなさいと謝りながら、航に花を差し出してきたではありませんか。
たまたま本で見かけた知識で、彼女は「大好きな人」にお花をプレゼントしようと思いたち、花を摘みに行っていた……
花?
俺のために……?
航の中には、未だかつて感じたことの無かった感情が湧いてきて……

いくつもの季節が巡りました。
三人は、水辺はゾンビが少ないと言う経験則を活かし、浜辺を歩いていました。
船を見つけることができれば、行動範囲も広がりますし、何よりゾンビの脅威の無い場所を探しやすくなるでしょう。
その時、船を探す航にこんな声が掛けられます。
パパ、見て!
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キラキラしてる。
……すっかり成長した、あの赤ちゃんです。初めて見る海、初めて見る水面に反射する太陽。
面白がってはしゃぐ彼女なのですが……
とうとう、その時がやってきました。
……そう、ついに彼女の体は、出産のための準備が整ったのです……!!



と言うわけで、歩く死体、ゾンビのために安定した食糧供給をしようとしていた航。
赤ちゃんの入手と、クズ男を保護しているのはそのためなわけですが……
完全にえさを安定供給するための最初の苗、だったはずの赤ちゃん。
ですがやはりずっと一緒に暮らしてきて、そのあげくパパパパと懐いてきている少女を、無慈悲に繁殖させるためだけの存在だと割り切ることなどできるでしょうか?
航の理性がゾンビと化していたならばできたのでしょうが、残念ながら(?)航の心は人間のまま。
果たして航は心を殺して彼女をクズ男に与えるのでしょうか?
それとも、人の親としての気持ちに抗えなくなるのでしょうか……!!

そして人類養殖のもう一つの鍵であるクズ男にも要注目。
とにかく「したい」という気持ちだけでここまで来たクズ男ですが、刻々と成長していく彼女を見てその気持ちは……揺るぎません!
ところがこのままクズらしく突き進んでいく……と言うわけにもいかないようで……?

崩壊後の世界で、ゾンビとクズに育てられた彼女もまた徐々に変化を見せて行きます。
純真ではあるものの、常識を常識として教わっていない彼女が見せる行動とは……
予想のつかない展開となって行く本作、今後の展開にも注目ですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!