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今回紹介いたしますのはこちら。

「ゴールデンボーズ」第1巻 マツリセイシロウ先生 

スクウェア・エニックスさんのヤングガンガンコミックスより刊行です。


さて、「マイティハート」のマツリ先生が、秋田書店さんから新天地を求めてから初の単行本刊行となった本作。
様々なジャンルに挑戦してきたマツリ先生ですが、今回もまた新たなジャンルに挑戦しまして……!



ケチな犯罪で捕まっていた詐欺師、銚子芳文。
塀の中なんてまっぴらごめん、と言う銚子は、詐欺師仲間の情報を警察にたっぷり自白しまして、司法取引で早々と自由の身となったのです。
警察としても小物中の小物である銚子をいつまでも捕まえていても仕方ありませんし、情報をもらえばどうでもいいというわけです。
……ですが、その代償は小さくはありませんでした。
銚子のおかげでたっぷり情報を手にした警察の一人は、そのお礼としてこんな忠告をしてきたのです。
今すぐ東京から逃げろ。
お前が密告したことが詐欺の元締めのやくざにばれてる、怒らせたら何をするやら。
家に火をつけられるか、消されるか……
それだけ言って、男は去っていきます。
その別れ際、お前に詐欺師は向いてない、前のように真面目に芝居でもやれや、と言い残して。

いくらなんでも消されるは言い過ぎだろう、とぶつくさ言いながら自宅へ向かう銚子。
今路銀はどの適度残っているか確認しようとしたところ、荷物の中に見覚えのない本が紛れ込んでいることに気が付きました。
仏法説話集……?
留置所の係が間違えて入れたのか、と首をかしげる銚子でしたが、ともかく今は家に帰って一休みしたいところ。
自宅に向かう銚子なのですが……そこで、とんでもないものを見つけてしまうのです!
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……銚子の自宅が……燃えている!?
そういえば先ほど、警察の男が言っていました。
「家に火をつけられか、消されるか。」。
軽くとらえていた銚子ですが、こうなるとがぜんその言葉が真実味を帯びてきます。
たまらずその場から逃げ出した銚子、路地裏に駆け込んで頭を抱えてしまいました。
ですがいくら考えても、この状況から助かる方法なんて考えられません。
バタバタしておりますと、例の仏法説話集の表紙が破けてしまい……その中から、奇妙な紙片が出てきました。
「約束した『蝶』一部をお預かり頂きたく」「国の大事のために貴君に頼みたい」。
里見甫、という男がしたためたらしい手紙です。
そしてもう一枚、蝶の写真も付いていました。

何やら勘が働き、ネットカフェで里見甫のことを検索してみた銚子。
すると、60年ほど前に亡くなった大富豪で、一兆円ともいわれる資金を動かす特務機関を仕切っていた男だということがわかりました。
そしてその資金の行方がいまだにわかっていない、ということも!!!
手紙の送り先である場所には、その資金の「一部」が預けられている。
勿論それは見つかっていない……
仮に1%だけ預けられていたとしても、なんとそれでも100億円!!
それを見つけられれば、一気にこの窮地をひっくり返すことも簡単でしょう!!
銚子はさっそく手紙と写真を手掛かりに、資金の預けられた地に向かうのでした!!

お金のない銚子、自転車をひいこら漕ぎに漕いでその地を目指しました。
その目的地……お寺に辿り着くと、疲労と安心感で倒れてしまい……
目が覚めると、お寺の誰かが拾ってくれたのでしょう、広々とした和室に寝かされていました。
すぐ外に飛び出し、ここが目的の場所であることを確認する銚子。
ふつふつと喜びがこみ上げてきますが、同時に腹の虫も泣き始めてしまいました。
とりあえず何か食べるものを……と考える銚子なのですが、そこにこの寺の住人らしき人物が声をかけてきます。
作務衣のサイズ、ちょうどいいですね。
何か食べ物もお持ちしましょうか?
そう語りかけてきたその人物は……なんと、
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喪服の金髪の外人さんではありませんか!!
寺にはあまり似つかわしくないように思えるその女性、ターニャと名乗ります。
この寺の坊守……住職の奥様だとか。
こんな人が坊さんの嫁!?と心の中でそのイメージとのギャップに仰天する銚子なのですが、今度はそんな調子の足をかじってくるものが。
またもびっくり、それは小さなロボットです!
足をかじられた痛みに悶絶している銚子のもとに、今度はセーラー服の少女がやってきまして、そのロボットを拾い上げます。
得体のしれないものを噛んだら菌がうつるよ、と人聞きの悪いことを言うその少女は、この寺の次女、晴とのこと。
ちなみに小さなロボットは、長女の露が家の中から遠隔操作しているとか……
いろいろな方面に奇妙なこの家族、肝心の住職はどんな人なのでしょうか。
尋ねてみますと、二か月ほど前に亡くなったというではありませんか!
余計なことを聞いてしまった形になった銚子ですが……内心では、ほくそ笑んでおりました。
今この寺にいるのは三人(うちロボ1体)だけ。
ということは、隠し資金を探す障害も少ないと言うことです!!
このまま何とかこのお寺に少し厄介になりまして、それを探すことができれば……!
と、そんな時のことでした。
檀家の総代、石原が訪ねてきたのは。
石原は何やら敵意ありありであれこれと文句をつけてきます。
そして最終的には、
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住職のいない状況でターニャたちがここに住む意味はないから、状況が変わらないなら1週間以内に出て行け、というものだったのです!!

ここの様な小さなお寺と言うのは、フランチャイズチェーン店の様なもの、とのことで。
地域にある寺を使い、本山に看板代を払って営業している独立採算店舗みたいなものだ、と晴が教えてくれました。
石原はとっととターニャたちを追いだし、自分たちが寺の実権を握ってしまおうと考えているようなのです!
事情を聞いた銚子、素直な疑問を投げかけます。
ターニャたちだけでここを維持するのも難しそうだし、どうしてもこの寺に住み続けなければいけないと言うわけではないんじゃないか、と。
確かにそれはもっともな話ではあります。
ですがやはり人間には、メリットデメリットだけでは割り切れないものもあるのです。
ターニャがこの後教えてくれたのですが、彼女はある理由で故郷に帰れなくなっていて落ち込んでいたものの、住職のある行動によって救われたとのことでして。
いまや彼女の故郷はこの地で、ここを離れることはできない。
そう語ってくれたのですが……
ここでも銚子、知ったこっちゃない、と心の中では思っておりました!
……と言ってもそれは、自身がアウトローな故に、無頼を気取っているところもあったようでして。
実際にはやはり彼女たちの事情が気になる様で、寺の事情なんて詐欺師や役者崩れがどうにかできる話じゃないけど、と呟いていた、その時。
銚子は何か閃いたようです。
……いや、出来るのか?
詐欺師で役者、なら……!!

翌日。
石原が突如寺に押しかけてきました。
ですが実はそれ、突然ではありません。
石原はここに来るように呼び出されたと言うのです。
呼び出したのは、そう、銚子です。
お呼び建てして申し訳ない、と現れた調子の姿は……
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お坊さんそのものではありませんか!!!
銚子は静かに燃えていました。
燃えるじゃねえか、詐欺師として、役者として。
別にこいつらとは関係なくやったるぜ!
百億円の芝居をよ!!




と言うわけで、百億円のためにお坊さんのふりをすることになった銚子。
とりあえず最も大事な資格といいますか、僧籍関係のことは銚子の口八丁で何とかごまかせばいいでしょう。
実際住職になる気は(少なくとも今のところ)ないわけですから。
ですがだからと言って、口八丁だけではどうにもならない所もある、と言いますか、実際はどうにもならない事ばかり。
みなさん誰しもが思うでしょう、お経はどうするのか?
お経には付き物の「アレ」はどうするのか!?
お宝を見つけるまでの間とはいえ、難問は山積みです!!

そし手他にも問題はたっぷり。
石原は当然、突然現れたどこの馬の骨とも知れない坊主に好き勝手されたくはないわけで。
銚子に恥をかかせて住職の座に居座らせまいと様々な手を尽くしてくるのです!!
しかも脛に傷を持つ銚子に、住職関連とは別の問題も降りかかってきまして。
トラブルだらけでついでに命もかかってしまいかねない大芝居、銚子は乗り切ることができるのでしょうか!?

さらに、マツリ先生作品には欠かせないヒロインの動向にも注目!
好意的ではあるものの、つかみどころのないターニャ。
彼女と打ち解けることができれば宝には一気に近づけるでしょうが……魅力的であることは舞がいないものの、そのつかみどころのなさは障害になる可能性もあるかも……?
とにかくターニャの好感度を上げようとする調子ですが、その際に意図せず晴の好感度を上げてしまっているようで、まだ中学生である晴の気持ちもがっちりキャッチ!?
そしていまだ姿を見せない長女の露もいずれ出てくるでしょうし……ヒロインレース(?)の方も注目ですね!





今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!