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今回紹介いたしますのはこちら。

「DESTRA-デストラ-」第1巻 本田優貴先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。



さて、「東京闇虫」「ただ離婚してないだけ」といった、ダーティーな香りのする作品を描き続けてきた本田先生。
そんな本田先生の最新作である本作は、ダーティーな香りもあるにはあるのですが、今までの作品とはちょっと毛色が違っているようでして……?



俺は今まで2回車に惹かれたことがある。
1回目は小学校の時で、盗んだチャリンコで暴走してたら急に飛び出したタクシーと正面衝突よ。
タクシーとチャリンコはひでー事になったけど、俺はかすり傷ひとつなかった。
今までだってそうだ、骨折ったことねぇし病気もしたことねぇ。
そこでついたあだ名が……
「馬場中学校(クソ中)のベンツ」。
そんな話をしたのは何回目でしょうか。
富沢はコンビニの前で、煙草をふかしながら後輩の神木と田中に武勇伝を語っています。
誰がつけたか知らないけど、俺は車かっつーの、頑丈過ぎる俺も悪いけど。
そんな感じでノリノリの富沢なのですが……そのコンビニに、一台のやたらやかましい車がやってくると、顔色をがらりと変えてしまいます。
俺用事あったの思い出した、とそそくさとその場を立ち去ろうとする富沢なのですが、その車から降りてきた男たちは、そんな富沢に気がついて呼びかけてくるのです。
富沢ジャン、オメーなんで逃げようとしてんだよ!
覚えてるだろ、反館だよ、中学ん時の!!
見るからにガラの悪い風貌の反館の方を振り返った富沢の顔は、あからさまにひきつっています。
反館くん、ひ、久しぶり……
かろじてそう言う富沢と強引に肩を組んだ反館、一緒に車に乗っていた彼の先輩らしき男に、こいつ中学ん時のダチですげー面白い奴なんすよ、と富沢を紹介しだしました。
田中は反館が富沢の知り合いだとわかると、早速「クソ中のベンツ」時代のことを詳しく聞こうとするのですが……
反館はその異名を聞くと、マジか、こいつらに何吹き込んでんだ!?と大笑いし始めるのです!!
富沢は思わず反館を不満げな顔で見つめます。
すると反館、中学ん時はそんな目しなかったよな?と富沢を睨み付け……
耳をつかんで引っ張り、腹にパンチを叩き込み……こんな風によく遊んでたじゃねーか、と富沢をいたぶるのです!!
……目の前で富沢をいたぶる反館を、神木は何も言わず睨み付けます。
その視線に気がつくと、反館の怒りの矛先は上期に向かいます。
何睨んだんだ、ムカつく顔してんな、死にたいのか、ああん!!
神木に因縁をつけ、今にも殴りかかってきそうな反館!!
ですが、そんな反館に富沢がしがみつくのです!
そいつら関係ないだろ、やるんだったら俺を……
そう懇願する富沢に、今度声をかけたのは反館の先輩です。
ねえクソ中のベンツくん、じゃあ俺らとドライブしようぜ!
それか裸で土下座して謝ってみるか!?
…………彼らとドライブなどしたら、どんな目にあわされてしまうでしょうか。
それならば、裸で土下座してこの場を納めたほうが、一時の端で済むのですからよっぽどマシでしょう。
神木は、あんな奴らいいじゃないですか、謝っちゃいましょう、と富沢に持ち掛けるのですが……
富沢はと言いますと……
何通か押し点だ、逆に心配になるわ!と空元気を振り絞って叫び、ちょっくらドライブでも楽しんでくるかな、と自ら反館の下へと向かっていくではありませんか!!
このままではまずいことは火を見るより明らか。
神木は必死に、駄目ですって、土下座しましょう、と富沢に呼びかけるのですが……
富沢は振り返りもせず、
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親指を立てて去って行くのでした……

残された二人は、何事もなかったかのように帰路につきました。
が、その心の中には大きな変化が起きています。
なんだかんだ富沢を尊敬していた田中は、がっかりだ、前から怪しいとは思ってたんだ、と富沢への落胆を隠しもしません。
神木は……実はとっくに富沢の過去を知っていました。
富座をと同じ中学の友達から話を聞いていたと言うのです。
学校中を裸で走りまわらされたり、校門の前で用を足させたり……毎日酷かった、という話を。
周りも先生も知っていてみて見ぬふりをしていた……今日の俺達と一緒だ、と神木はつぶやくのです。
神木の心は、徐々に徐々に怒りで満ちていきます。
あいつら、ほんの一瞬、その場が楽しいだけの何となくのノリだけのために、首を吊る奴が、ビルの屋上から飛び降りるやつがいる!
やっぱあの時やるんだった。
こいつで
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アイツの目玉抉って、ぐちゃぐちゃにしてさあ!
いじめられ側の痛みを思い知らせてやればよかった!!
……上期は、いつも密かに死の場sているカッターナイフを取り出してそう言いました。
マジで死んだほうがいい社会のゴミがいるのに、殺したらなぜかつかまるんだよ。
でも、世間や国が許さなくても、神様は許してくれると思うんだよな。
もし俺に無敵の力があったら……
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真っ先にあいつ等を、ぶっ殺してぶっ殺してぶち殺しまくってやる。
……深い恨みのこもった瞳。
田中はそんな神木に、引かずにはいられないのでした……

反館は仲間たちと、たっぷり富沢をいたぶって楽しみました。
ひとしきり楽しんだ後、山の中に富沢を捨ててそのまま別の遊びに向かっていきます。
……そこからしばらくたって、日も暮れてきたころ、ようやく目を覚ます富沢。
クソ中のベンツと言う異名はともかく、その身体の頑丈さは本物だったようで。
体中痛いものの、普通に歩くことができるようです。
とにかく家に帰ろうとする富沢ですが……ここがどこなのか全くわかりません。
真っ暗な、どこかもわからない森をさまよう富沢。
その脳裏には様々なことがよぎります。
何でこんなことになったんだ。
あの時土下座した方が良かったかな。
いや、そんなブザマな姿、あいつ等の前で晒すわけにはいかん。
それだけは、絶対に。
やっと出来た俺の居場所……
やっとできた俺の仲間なんだ。
これだけ痛めつけられても、富沢には神木たちの方が大事なのです。
体の痛み、見知らぬ土地、暗闇、そして溢れ出る涙。
そのせいで、富沢は足を滑らせ手転び、急斜面を猛烈な勢いで転がり落ちてしまいました!!
転がった先にあった木に頭をしたたかにぶつけ、気絶してしまう富沢……
……これが全ての始まりだったのです。
富沢のぶつかった木は、ただの木ではありませんでした。
その幹を不気味に折り曲げ、先端を富沢へと近づけていき……
こぶのようになったその先端はぱっくりと口を開き、
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富沢を、飲みこんでしまったのです!!



と言うわけで、とんでもない幕開けを迎える本作。
いじめっこを強く憎む神木がこの事件をきっかけとして暴走していく、というお話かと思いきや、まさかの異常事態に。
この謎の木に呑み込まれた富沢は……死んでしまう、というようなことはなく、その見た目や才覚は全く変わらずそのまま惑ってくるのですが……
本人御知らないうちに、とんでもない「力」を身に着けてしまっていたのです!!
そしてその力が、数々の事件とトラブルを起こしていき……!!

物語の鍵となるのは、やはり富沢と神木です。
富沢の身に着けてしまった力と、神木の並々ならぬいじめへの怒り。
それが合わさり、物語はどんどんと後戻りできない方向へと進んでいきそうです。
神木はある理由により、いじめっ子を殺す力があるなら皆殺しにする、と言ってしまうような過激な思想を持っています。
ですが富沢はそのビジュアルやいじめられていた過去とは裏腹に、いじめっ子に復讐してやろうなどとは全く思いもしない、やさしく根が真面目な小心者。
似ているようでいて似ていない二人が、この後距離をより近づけるのか、袂を分かつのか?
富沢の「力」の正体も含め、どうなっていくのか予想のつかない物語となっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!